※報告書は参考人等の個人名は省略しています

議員海外視察研修問題調査特別委員会報告書

一 関 市 議 会

議員海外視察研修問題調査特別委員会報告書

平成14年9月30日

一関市議会議長 千 葉 匡 介 殿

議員海外視察研修問題調査特別委員会委員長 千 葉 光 雄

 平成14年4月22日の本会議において、議員海外視察研修問題調査特別委員会に付託された案件について、会議規則第103条の規定により次のとおり報告いたします。

1.特別委員会設置の経過

 本特別委員会設置の経緯は、平成14年3月29日、市民団体から市議会議員を相手とした不当利得返還代位請求の民事訴訟の民事法廷において、平成9年7月15日から同年同月28日実施の東欧3ヵ国海外研修視察について、派遣議員であった吉田博之前市議会議員(以下、吉田博之前市議と言う。)が、出発日ロシア便ではなく、ソウル便に搭乗していたことを認めざるを得ないと証言したこと並びに同年4月4日、吉田博之・佐藤照男前市議連名により、議長あて平成9年7月15日から同年同月28日実施の東欧3ヵ国行政視察についての顛末書<資料1>が提出されたことに起因する。

 議会は新たな問題が生じたとして、平成14年4月5日議員全員協議会を開催し、吉田博之・佐藤照男前市議出席のもと、顛末書の内容等について質疑及び協議を行った。また、同両名が派遣された平成8年7月26日から8月2日実施の後継者対策中国研修視察についても併せて質疑が交わされた。議員から解明すべき点が多々あるという意見があり、今後の議会としての対応については、@中国視察について、A訴訟当事者議員の釈明の場について、B再監査について、C東欧3ヵ国視察の告発について議会運営委員会で協議していくこととなった。

 平成14年4月11日、議会運営委員会を開催し、4月5日の全員協議会で議会運営委員会に委ねられた事項について協議し、次のとおり決した。

@ 中国視察について
 ・100条権限は付与しない特別委員会を設置して調査する。
 ・調査は中国視察に限らず、平成8年度から平成11年度までに実施された議員海外研修視察について行う。

A 釈明の場について
 ・特別委員会で調査し、報告の場を検討する。

B 再監査について
 ・平成8年度から平成11年度までに実施された議員海外研修視察について監査請求(98条2項)を行う。報告期限は9月30日とする。

C 告発について
 ・東欧3ヵ国視察について、全議員に呼びかけして、吉田博之・佐藤照男前市議両名を告発する。

D 特別委員会設置と監査請求について議決を要するため臨時会招集請求を市長に提出する。

 平成14年4月16日、議会運営委員会を開催し、具体に (1) 臨時会招集請求について、(2)特別委員会設置について(名称、構成人員、期間)、(3)監査請求について(内容、期間)、(4)告発についてを協議し、決した。

 平成14年4月22日、第326回臨時会において、発議第10号議員海外視察研修問題調査特別委員会の設置について満場で原案のとおり可決され、議員海外視察研修問題調査特別委員会が設置された。

2.特別委員会委員   委員長   千 葉 光 雄
              副委員長  尾 形 善 美
              委  員  武 田 ユキ子
              委  員  大 野   恒
              委  員  小野寺 藤 雄
              委  員  槻 山   隆
              委  員  小野寺 正 昭
              委  員  小 岩   榮

3.特別委員会の開催月日と主な議題(出席委員、参考人省略)

第1回(平成14年4月22日)
    議  題 / @ 正副委員長の互選

第2回(平成14年4月26日)
    議  題 / @ 今後の進め方について

第3回(平成14年5月9日)
    議  題 / @ 調査書類の確認について

第4回(平成14年5月16日)
    議  題 / @ 参考人質疑

第5回(平成14年5月20日)
    議  題 / @ 議員海外研修視察調査表の分担調査の結果について

第6回(平成14年5月27日)
    議  題 / @ 議員海外研修視察調査表の調査評価について

第7回(平成14年6月5日)
    議  題 / @ 参考人質疑

第8回(平成14年6月19日)
    議  題 / @ 調査票の回答について
           A 中国視察研修の調査事項について

第9回(平成14年6月25日)
    議  題 / @ 調査票の回答について
           A 中国視察研修の調査事項について
           B 参考人招致について

第10回(平成14年7月1日)
    議  題 / @ 参考人質疑

第11回(平成14年7月8日)
    議  題 / @ 参考人招致について

第12回(平成14年7月9日)
    議  題 / @ 上申書について

第13回(平成14年7月15日)
    議  題 / @ 参考人質疑
           A 参考人招致について
           B 正副委員長辞任許可について
           C 委員長互選について

第14回(平成14年8月1日)
    議  題 / @ 参考人質疑
           A 今後の進め方について
           B 上申書取扱にかかる議長、事務局見解について

第15回(平成14年8月6日)
    議  題 / @ 参考人質疑

第16回(平成14年8月9日)
    議  題 / @ 参考人質疑

第17回(平成14年8月19日)
    議  題 / @ 参考人質疑

第18回(平成14年8月26日)
    議  題 / @ 報告書のまとめについて

第19回(平成14年8月30日)
    議  題 / @ 報告書のまとめについて

第20回(平成14年9月12日)
    議  題 / @ 報告書のまとめについて

第21回(平成14年9月18日)
    議  題 / @ 報告書のまとめについて

第22回(平成14年9月24日)
    議  題 / @ 報告書のまとめについて

4.調査の経過と結果

本委員会は、付託された『平成8年度から平成11年度までに実施された議員海外視察研修について(平成11年8月18日から同年8月29日実施分を除く)』調査対象一覧表<資料2>、その内容を次の3件に分類し調査を進めた。

@ 平成9年7月15日から同月28日に実施された、吉田博之・佐藤照男前市議両名に係る東欧3ヶ国行政視察について(以下、「東欧3ヵ国行政視察について」と言う。)

A 平成8年7月26日から8月2日に実施された、吉田博之・佐藤照男前市議両名に係る後継者対策中国研修視察について(以下、「後継者対策中国研修視察について」と言う。)

B 上記@Aを除く、平成8年度から平成11年度までに実施された議員海外視察研修全てについて(以下、「その他議員海外研修視察について」と言う。)但し、<資料2>番号9の平成10年度実施の東北市議会議長会海外行政産業視察は、派遣議員が亡くなっているため本調査から除外した。

 調査は、厳正、かつ公正を旨とし、各案件毎に、申込・議会審議・決裁・事前調査の研修事前過程、視察内容等の報告書検証・研修後の精算の研修事後過程について、記録の精査、資料の要求、参考人からの聴取の方法を採用し行った。
 また、会議は全て公開を原則とし、公正性を保持するよう努めた。

 この度の調査は、平成13年12月21日設置された「議員海外研修に係る虚偽報告問題調査特別委員会」、いわゆる、百条委員会とは調査権限に大きな差異があり、当委員会の資料要求過程で一部混乱が見られたことや、また、6年前の事案も含まれたことから、参考人からの聴取にあたって時の経過という限界も感じられた。しかしながら、委員会に対する各委員の積極的で真摯な対応により委員会設置の趣旨と付託された内容に対し、的確で適正な調査結果を報告できたものと思料する。

 分類された案件ごとの経過、結果については以下の通りである。

@ 東欧3ヵ国行政視察について

A 申し込みから打ち合わせ(決裁)の状況について

 海外視察研修の申し込み手続きは、吉田博之前市議にあっては平成9年4月15日付申込書(同年7月実施予定、視察内容・視察先共記載なし)で、佐藤照男前市議にあっては同年4月15日付申込書(同年6月実施、民間旅行会社企画の東欧食料事情、福祉と記載)で行われている。この時点で両名共に具体的な行程表は作成していない。
 その後、6月10日開催打合せ会議録<資料3>によると、吉田博之前市議は民間旅行会社企画のモスクワ7日間、目的不明、概算費用545千円の研修として、また佐藤照男前市議は民間旅行会社企画の東欧15日間、食料事情・福祉、概算費用856千円の研修として、同年度の他の参加申込者及び議長・副議長・局長・次長が出席のもとで打合せを行い、予算の範囲内で実施する事を申し合わせ、両名を含む申込者全員の実施が了承された。その際、佐藤照男前市議から吉田博之前市議と行程を共にしたいとの申し入れがあり、この件についても了承された。また会議録には、吉田博之前市議から行政視察を目的としたものに変更する旨の申し入れがあったとの記述も見られる。
 次に7月9日回議用紙<資料4>に添付された平成9年度議員海外視察研修参加者についてNo2には、吉田博之・佐藤照男前市議両名は自主企画の東欧三カ国、概算費用744千円に同行するとある。
 上記6月10日打合せと7月9日回議用紙の間には、事務局の記憶で6月27日頃受領した事務局のメモ<資料5>があり、株式会社ユーラスツアーズ作成と思われる視察、旅程内容に関連して、日程の変更・ビザの申請・申込金の送金等について吉田博之前市議からの報告と打合せ内容が記述されている。

≫問題点

a.視察先が二転三転しているにも関わらず、それら内容を協議した議会運営委員会、会派代表者会議等の機関決定記録が見当たらないこと

b.提出された顛末書の事実関係を明確にする為、平成14年4月30日に旅行会社ユーラスツアーズに対して、吉田博之前市議が旅行申し込み(申込金の送付)をしたかどうか、また吉田博之前市議に対してロシアでのガイド・ホテルの手配が間に合わないという連絡をしたかどうかを照会し、電話での回答<(資料6)を得た。
 また、吉田博之前市議が参考人として述べたビザ申請についても旅行会社2社に問い合わせを行い、1社はその事実はない、もう1社は書類廃棄により調査不能との回答を得た。
 その結果、旅行会社作成と思われる旅程の真実等両者の説明は食い違い事実関係の解明はできなかった。

c.事務局のメモにもあるように、電話による連絡で視察行程が変更される等、議員の行為及び事務局の対応には、旅費支給に関する条例上認め難い事項がある。

d.何れにしても、平成9年7月9日付回議用紙には、前日開催の会議内容は、<資料4>添付旅程内容を吉田博之・佐藤照男前市議両名共変更なく実施することで事務が進められている旨記述され、また両名から変更等の告知を伺わせる内容も一切ない。このことから、<資料4>が示す海外研修視察に行く意思がなかったのではないかとの疑念が残る。

B 研修から報告書まで

 議長決裁された東欧3ヵ国行政視察については、裁判証言、顛末書、全員協議会質疑が示すとおり、本来の行程とは全然異なる韓国、インドネシア、バンコク、ベトナムの4ヶ国アジア旅行をしていたものである。吉田博之前市議・同佐藤照男両名によればガイド・ホテルの手配が間に合わないとの理由で急遽旅程を変更したもので、アジアでは施設見学を含め行政視察を行ってきたと述べている。
 報告書について、吉田博之前市議は過去のロシア視察と1、2度のプライベートで訪問した際の記憶により作成したものであり、偽りを書いた論外の報告書であり虚言であった事は事実であり、お詫びを申し上げると反省の弁があった。佐藤照男前市議は、実際には行っていない所をとても自分では書けなかった。吉田博之前市議に書いてもらったと述べている。ただし吉田博之前市議は佐藤照男前市議の報告書について書いた記憶がなく、一切関与したり指示したりしていないと否定している。

≫問題点

a.旅程を急遽変更した理由について、そのような事実があったかについて株式会社ユーラスツアーズに問い合わせたところ、6月24日付で主催者側が告知したものの手配が間に合わないという事はあり得ないとする回答があり、この件についても食い違いが生じ事実関係の解明はできなかった。

b.提出された報告書は何れもワープロ作成のもので、吉田博之・佐藤照男前市議両名共に自分がワープロ打ちしたものではないこと、特に佐藤照男前市議名の報告書は、当事者をしても誰が作成したものかも不明という不可解なものとなった。

C 旅費精算

 平成9年9月30日吉田博之・佐藤照男前市議両名は、東欧三カ国行政視察(モスクワ、ドイツ、パリ)として概算払いと同額の704千円を支払ったとする精算手続きを行っている。<資料7>また、同年7月9日付の議長決裁出張命令票には、東欧3カ国行政視察(モスクワ、ドイツ、パリ)として704千円の金額が記載されている。

しかしながら、吉田博之・佐藤照男前市議両名は決裁された行程の視察ではなく、全く異なるアジア方面へ旅行を実施した。

≫問題点

 一関市旅費支給に関する条例第6条には、「旅行者は、公務の必要又は天災その他やむを得ない事情により出帳命令等に従って旅行することができない場合には、あらかじめ出帳命令権者に出帳命令等の変更の申請をしなければならない。」と規定している。したがって、本件では急遽変更せざるを得ないとする吉田博之・佐藤照男前市議両名の主張が正当であると仮定しても、出発までに相当の日数がある本案件では変更の申請がなされなければならなかったと判断される。

 本件は、吉田博之・佐藤照男前市議両名を告発する方向が明確になったことから、第7回議員海外視察研修問題調査特別委員会において、告発の後は検察当局の厳正な調査に委ねることとしたい旨の意見があり、満場で調査を打ち切ることと決した。

A 後継者対策中国研修視察について

A 申込から決裁まで

 申込から決裁までの経過を、資料<資料8>でみると議会運営委員会が2回(6月12日、同月21日)と、5名による協議(7月4日)が1回開催されている。
 その内容を見ると、議会運営委員会の確認は日中交心会・岩手県南国際結婚推進議員協会の要請<資料9>に応えて「支援していく」こととしており、人選、予算の扱いについては確認をしていない。
 ところが、7月4日開催の5名による協議で人選は議長と相談の上決定する、とし、更に予算については補正予算で対応するとなっている。

≫問題点

a.議会の意思決定機関である議会運営委員会での確認は「支援していく」ことのみで人選や予算の扱いは意見集約をしていない。
b.決裁文書の内容は何ら権限も根拠もない5名による協議の結論が議会の決定になっている。
c.したがって、人選、予算の扱いの議長決裁は議会の意思にもとづいたものではなく、議会ルールを逸脱したものである。
d.また、回議用紙には申込書、旅程表等決裁に必要な書類の添付もなく、極めてずさんな事務処理が行われた。
e.要請団体が提出したとされる「要請書」は参考人が作成したものではなく、誰が作成したか、本調査では解明するに至らず、ナゾのままである。

B 研修から報告まで

研修目的は
a.一関地方農業従事者の伴侶(妻)迎え入れについて
b.一関地方出身中国残留者の日本帰国について
  要請団体に同行して現状を調査することであった。
視察実施日程報告書によると
・8日間のうち吉田博之・佐藤照男前市議両名が要請団体と行動を共にしたのは3日間となっている。
・したがって、5日間は単独行動をしている。その中に9月18日事変陳列館、撫順戦犯管理所 iロリマ肄ゥ鬼A%{コ'Zゴ戰2晢l.2晢`:NVリH ゥ_Apple.Com{zPj TEXTdosaゥ_AppleComNAV QuickScan 5.0NVflNVfLケタz!NAVQUIC0 DesktopPrinters DB遞dtpldcdc@ケタ(ケタ(DESKTO~1 020924-004.jpgャ`遞JPEG8BIMケキ`8ケキe3O:ー020924~1JPG any key IO SYSMSDOS SYSAサ~顱Uェ したがって行動を共にせず連絡が不十分であった。
b.中国残留者との面談について「連絡がとれなかった」としているが、十分な事前研修や日程調整(確認)等前段の準備を派遣議員として主体的に行わず、「他人まかせ」「頼まれ仕事」的であり目的を果たしたとはいえない。
c.中国視察が緊急に対応する必要があるとのことから補正予算で行ったものであるが、緊急対応について要請団体の代表は「8年6月に自ら解決しており、派遣の必要性はなかった」と述べている。
緊急に対応する必要性があったのか疑問である。
d.報告書<資料11>の日程表の記載等について明らかになった虚偽箇所は次の通りである。
・7月26日大連の宿泊先は雲山賓館ではなく、渤海飯店であること。
・7月30日瀋陽市人民政府結婚管理公室及び同日本領事館には、佐藤照男前市議は同行せず吉田博之前市議の単独訪問であったこと。
・8月5・6日の行動は北京ではなく大連参観。帰国経路は北京〜成田でなく、大連〜仙台であること。
・瀋陽日本領事館を訪問し面会した関係者として添付された名刺は「要請団体代表からもらった」ものであること。
・研修目的に直接関係ない訪問先が多く見受けられ、今後これらを検証するチェック体制をつくる等も含め検討する必要がある。
以上のこと等から、報告書の通り行動したか信憑性について尚疑問の残るところである。

C 旅費精算<資料11>・事後の取組み

a.精算額は770,120円となっている。その内容は、宿泊料・日当・支度料は旅費規定どおりの支払いになっており、仙台・大連間の往復航空料金の受領書は添付されている。しかし、中国国内移動の航空料金などの支払ったことを示す受領書などの証がない。
 結果として、概算払い額と精算額が一致している。
b.研修の取り組みについて、要請団体に対する報告(説明)も、以後の接触も行われていない。
 行政側に対しても働きかけがなく、報告書の「結語」で指摘している事項についての具体的な取り組みが行われていない。
c.本年4月5日の議員全員協議会で吉田博之・佐藤照男前市議両名は次の様に述べている。
・「残留孤児も視察目的だったとは知らなかった。花嫁だけだと思っていた。」(佐藤照男前市議)
・成果について「すぐに現れるか現れないか分からない。あったのかという気がする」(佐藤照男前市議)
・「帰ってから口頭で議長に伝えた。隠された部分は報告書に書かなかった。」(吉田博之前市議)

≫問題点

a.旅費精算の際に支払いを証明できるものの添付を義務づけるべきである。
b.また、概算払いの額=精算金という「使い切り」のような支出の在り方は抜本的に見直しする必要がある。
c.研修成果を反映させるための取り組みについて研修当事者はもちろんであるが、議会全体がその責任を果たす必要がある。

したがって、成果を反映させるための「在り方」について検討を急ぐべきである。

Bその他議員海外研修視察について

 先に述べた東欧3カ国行政視察、後継者対策中国研修視察は参加者自身が計画立案した自主企画であるのに対し、本件のその他議員海外研修視察は、東北市議会議長会、岩手県自治体、旅行会社の企画である。平成8年度の東北市議会議長会海外行政産業視察、岩手県自治体訪米視察、アジア地方行政調査、平成9年度の地域活性化 北米の特色あるまちづくり、海外行政専門調査オセアニアプログラム、北米危機管理行政視察、平成10年度の欧州廃棄物処理リサイクル事情調査、平成11年度の岩手県自治体訪豪視察団オセアニア総合行政視察の9件を同一調査内容として作業を行うこととし、十分な意見交換を行い、調査項目を明確にした上で調査票にもとづき、4班に別れ分担調査を行った。
 また、当時の議長を参考人として招致をし、派遣者決定手順や報告書の確認等について調査した。

調査方法及び調査結果

 申込みから精算、報告書提出までの帳票類の書類調査を行うとともに、調査票を作成し、
 a.申込みから精算までの書類で本人が書くべきものが書かれているか。
 b.決裁(決定)の方法はどうであったか。
 c.研修目的が的確であったか。
 d.旅費の支給と精算の仕方がどうであったか。
 e.報告書の作成がどうであったか。
に視点をおき調査を行った。

 調査の中で出された指摘事項等を指摘意見一覧<資料12>としてまとめるとともに、海外研修を行った当該議員に対し、報告書記載行程通り視察研修を行っているか、申込みから精算まで自身が作成した書類を議会に提出したか、視察研修を選んだ理由、研修成果と反映(利活用)等8項目の質問を行いそれぞれから回答<資料13>を得た。
 さらに、議員海外研修視察の一連の諸手続きに関与した当時の議長を参考人として招致し、説明をもとめ、派遣者決定手順や報告書の確認等について調査した。
 参考人は、派遣者決定については会派代表者会議に諮り決定し、その決定内容は議会運営委員会に報告していると説明し、また一関市議会の海外研修は昭和39年から始まっているが、平成7年までは、申込み、研修あるいは目的を明快にというようなこともなく、ほとんど議長一人の判断で決まっていたので、平成8年に内部取り決め(議員海外研修視察について)がつくられ、平成10年・12年に見直したと述べた。さらに平成7年まではそういう事情できていたので、平成8年はまだ惰性が残っていたということが言えると思う、またいかに新たな要綱をつくろうと、一人一人の倫理観に尽きるわけで、倫理観の欠如があったと言わざるを得ない。なお、市民を騒がせたという責任を取って議長職を辞したが、私は代表として申し訳ありませんでしたと言わざるを得ないとの発言もあった。

≫問題点

b.決裁(決定)の方法では、議会運営委員会や会派代表者会議の資料がなく、どの機関で話し合われたか不明であった。
c.研修目的が的確であるかについては、記載欄が研修内容となっており、研修目的が明示されていないものが多くあった。
d.旅費の支給と精算の仕方については、精算書作成に本人が関与したか、確認の後押印したかが不明であり、領収書等の添付はなかった。
e.報告書については、本人作成の報告書ではないため視察結果について参加者自身としての感想等が不明であったり、当市の施策に活用すべきものがどの点にあるのか理解できないものもあった。

5、む す び

@ 問題点の指摘

本特別委員会が調査対象とした事項は、自主企画の2件と、議長会・自治体・旅行会社企画のいわゆる企画もの9件の計11案件である。その内容も偽りの旅程・報告書を議会に提出した東欧3カ国行政視察、目的・緊急性が判然としない後継者対策中国研修視察、民事訴訟の対象となっている企画もの研修視察と多岐にわたり、全体を統一的にまとめ記述することは難しいのではないかと思われた。しかしながら、本調査報告書が示すように、各案件を<申込・議会審議・決裁・事前調査の研修事前過程>と<報告書・精算の研修事後過程>に分解し調査を進めた結果、次の事項が共通の問題点として浮かび上がってきた。

≫事実関係の問題点

 <研修事前過程>
 A.申込時点での目的・研修内容が明確でない案件が多く見受けられたこと。
 B.議会としての、派遣決定審議の内容が判然としないこと。
 C.議長が派遣決定の決裁権者であるが、決済に至る経過が判然としないこと。
 D.特に、申込内容が変更された場合における事務手続き・審議・決裁のいずれの内容も経過を示す書類がなく、不適切なものであること。

 <研修事後過程>
 A.報告書には、参加者本人作成のもののほか、企画団体が作成したもの、同行者作成によるものが見られたこと。
 B.報告書に目を通した議会関係者はごく一部で、議会派遣の主旨に照らし活用の仕方に問題が残ること。
 C.参加者の報告は報告書の提出だけで、報告会の開催等研修結果の周知に欠けていたこと。
 D.概算払いの額と支払い額とが同額の場合における精算行為が、口頭によるもので、領収書等の提示の必要性が規則上ないこと。

≫背景の問題点

 A.公金に対する自覚の甘さが見られること。
 B.結果として議長裁量に委ねられ、議会のチェック体制が不十分であったこと。
 C.偽りの旅程・報告書を議会に提出した案件では、議員としての倫理観以前に、参加者の人格を疑わざるを得ない内容であること。

A 再発防止、改善へ向けての提言

 一関市議会においては、平成13年に生じた議員海外研修に係る虚偽報告問題に係る議会運営委員会調査結果にもとづき、平成13年12月25日「一関市議会議員の海外行政視察派遣実施要綱」及び「同運用指針」<資料12>が定められ、また地方自治法の改正に伴い、平成14年6月議会において一関市議会会議規則の一部を改正し、「議員を派遣しようとするときは、議会の議決でこれを決定する」とした。この結果前記@の問題点は大方改善されたものと考えられるが、なお適切な海外視察研修を実施するためには以下の事項について十分な対応が議会として求められる。
 A.海外視察研修派遣の目的を、参加者はもちろん議会もより明確なものにする必要があること。
 B.参加者は目的の達成のため、十分な事前調査行うこと。
 C.申込から決裁、精算に至る過程の内容を、公文書記録としてより明確に作成されるべきこと。
 D.報告書の作成は参加者自身が行い、目的・成果・所感等を広く周知できる報告書の作成に努めること。

 なお、議会において当提言を検討する際には、平成14年2月26日報告「議員海外研修に係る虚偽報告問題調査特別委員会報告書35ページ記載(3)再発防止に記載されている「議員海外視察派遣審査会」の設置を含め行われるよう要望する。

B おわりに
 
この度の調査項目の一部には、市民及び議会の名誉を損ねた事案があり、一義的には参加者自身の問題であるとは言うものの議会としての責任は重く、心からお詫びを申し上げる次第であります。私ども議員は以上の報告事項を謙虚に受け止め、改善に向け努力を重ねると共に、海外視察研修のみならず、あらゆる議会活動を通じて信頼回復に努めなければならないと考えます。
 本特別委員会設置にあたり全員協議会・議会運営委員会で協議した釈明の場については、回答<資料13>を本報告書に添付することとした。
 最後に、参考人をはじめ関係者各位には積極的なご協力をいただき御礼申し上げます。また議会事務局の献身的事務作業に対し、敬意を表するものであります。

6.関係資料一覧 資料 1 ‥‥‥「顛末書」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  22
           資料 2 ‥‥‥「付記一覧」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  24
           資料 3 ‥‥‥「打合せ会会議録」‥‥‥‥‥‥‥‥  25
           資料 4 ‥‥‥「7月9日回議用紙」‥‥‥‥‥‥‥  28
           資料 5 ‥‥‥「メモ」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  31
           資料 6 ‥‥‥「電話での回答」‥‥‥‥‥‥‥‥‥  34
           資料 7 ‥‥‥「精算書」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  35
           資料 8 ‥‥‥「議会運営委員会・協議の会議録」‥  36
           資料 9 ‥‥‥「要請書」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  44
           資料 10 ‥‥‥「上申書」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  45
           資料 11 ‥‥‥「報告書」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  49
           資料 12 ‥‥‥「指摘意見一覧」‥‥‥‥‥‥‥‥‥  56
           資料 13 ‥‥‥「回答」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  57
           資料 14 ‥‥‥「要綱・指針」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  74

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