須川岳 須川温泉口 パトロール



H23.9.10

     須川岳  パトロール   登山者:森、阿部


お花畑
 久々に農作業の合間をぬって森さんと須川パトロールに出かけた。10日は朝晩雨との予報だが、薄曇りのまあまあの空模様。少々の雨は覚悟の上、7時少し前に森さん宅を出発する。


ゼッタ沢上部徒渉点
 8時頃、須川温泉に予定通り到着。山頂部はガスに覆われているが、しばらくは降りそうにもない。身支度を整えて温泉に声をかけて8:15出発する。温泉周辺も3.11以降の震災の大きな影響はない様子。最短コースをお花畑に向かう。ウメバチソウやシラタマの実がちらほら見える中、順調に進む。台風12号接近時の雨が降った割には、道が荒れていると言うことはなく何時も通りの登山道だ。

 お花畑を過ぎると軽い登りにはいるが、運動不足がたたり少し辛い。ひざのウオームアップが進むと少々慣れて来ていつもの感が戻ってくる。自然観察路分岐付近から水場付近の道は、いつものように少しぬかるんでいる。ズボンの裾を汚さないよう注意して進む。周りにはウメバチソウやイワショウブが小さな群落を作っている。再び灌木の中の登り。丸太の階段の段差が不規則で息が乱れる。間もなくゼッタ沢徒渉点となる。沢側にロープが張られているが、細い金棒で支えているので弱く掴まることは出来ない。ロープに頼らず慎重に沢に下ろう。

 沢を渡ると程なく、硫黄の臭いのする見通しの良い道となる。ロープが通された丸太が不規則に並んでいるが、倒れた物やロープのない物もあり注意して登る。左側の谷筋からは、硫化水素が吹き出しているので時間をかけずに進もう。道が平坦になると程なく昭和湖に着く。この日は登山者も少なく閑散としていたが、ステッキが置いてあり忘れ物かと思っていたらトイレに行ったお客さんの物だった。自分の物なら、しっかりと管理しよう。昭和湖のトイレは今のところ利用可能のようだ。


昭和湖
 小休止後、コース最大傾斜の登りに取り付く。道側に迫り出したエゾオヤマリンドウには目もくれず、黙々と高度を稼ぐ。丸太の階段で整備されているが、相変わらず不規則な段差に息が乱れる。背の低い灌木帯を抜けると傾斜も緩くなり少々視界も開ける。ガスは更に濃くなり山頂方面も見えない。道はいつもの所は少々腐っているが、比較的乾燥して歩きやすい。漆の仲間やミネザクラの紅葉が始っているが、全体としてまだ夏色。半袖シャツに心地よい風を受けながら黙々と分岐に向かう。


天狗岩−山頂中間付近の工事現場
 途中の休み時間が長かったが、ほぼ予定通り天馬尾根分岐に着く。周辺のドウダンの紅葉はまだ早く、ミネザクラが色づいているだけ。ガスは少し粒が大きくなったのか、霧雨っぽくなったきた。10分ほど休んで山頂に向かう。風は少し強くなっているが、寒気はなく心地よい。

 視界が全く聞かない中、天狗岩を過ぎ、少し進むと登山道整備の業者さんが黙々と作業していた。歩きやすくすると言うより、道が崩れるのを防止することの工事だ。軽く挨拶をして通り過ぎる。数人とすれ違いながら、10:13山頂に到着する。10名程が休憩中だ。我らも写真を撮ったりして休んでいると、阿部氏がパトロールでやって来た。談笑していると、今年は須側界隈も熊が多いという。見通しの効かない時や単独での灌木帯歩きでは、熊除けのスズなどを付けた方が良いようだ。


山頂にて
 阿部氏と分かれ、東栗駒コース側へ下る。東斜面の広い草付きは少し茶色に変わり始めているが、草紅葉と言えるのはまだ先のことだろう。道は砂利等で危なっかしい整備方法だが、沢になった場合を考えてか格段平面・両側に逆八の字型に丸木が添えられている。あまり効果は無いように見える。やはり小砂利は、下の方に流されている。いっそうのこと、アスハルトで固定した方がよいかも知れないと思えるほど、ずさんな工法だある。そうこうしていると、宮城側から登ったパトロール員さんと出会い、しばし談笑する。話によると、東栗駒コースに中央コースは勿論湯浜コースは健在のようだ。裏掛けコースはNGで御沢コースも危ないようだ。


宮城側下り
 間もなく遭難碑のある分岐に着く。調査のため磐井川源流方面に向かう。道は草木が迫り出し、足下が良く見えない。しかし誰が付けたか、要所要所にピンクのテープが付けられて迷うことはない。黙々進むと源流部のガレバが現れる。しばらく整備の手が着けられていないので、大きめの石も転がり不安定な道となっている。浮き石や大きな段差に注意しながら、旧道に沿って慎重に下る。花々は既に終わっていたが、一部のチョウジギクが咲き残っていた。源流の沢を渡り灌木帯にはいる。道は残っているが、木の枝が覆い被さり足下が見えない。両手足をフルに使い慎重に進む。再び源流沢を渡ってブッシュ帯をトラバース気味に進む。やがて沢状の草付きが現れ、季節はずれのお花畑見物となる。


東栗駒方面
 残雪が遅くまで覆っていた所だろう。エゾシオガマ、アオノツガザクラ、イワカガミなどがが花盛り。圧巻は、キンコウカの群落だ。しばし写真取りに忙しい。

 ガスが又濃くなり霧雨状になってきた。撮影を切り上げて源流部水場へと進む。少し喉を潤してから、笊森山荘へと向かう。一部刈り払いされているが、殆どは手つかず状態。ガス(霧)で迫り出した木の葉などが濡れているが、さほど気にならずそのまま藪こぎ状態。足下も良く見えず、細った道に転がった石に躓き、時々よろけながら進む。


咲いていた花々
 12:05笊森山荘に到着。先の客と入れ替わるように中に入り、昼食タイムとする。日記を見ると、全員小屋の綺麗さに感激していった様子。訪れた回数の多い吉家さんに思わず電話。以外とすんなり繋がり、一関側のロケーションの良いことを実感する。しばし休憩後、引き戸周りの掃除をしていると、霧は雨粒となりカッパを着込んで小屋を後にする。


ウメバチソウとキンコウカ
 源流部に近づくと、ずぶぬれの数名の登山者とすれ違う。小屋までの間で更に濡れるだろうと心配だが、まだ暖かいのでやり過ごす。水場を過ぎると灌木帯に入り、所々の腐れ場に注意しながら黙々と進む。このコースも殆どが道端の小枝や草が覆い被さり、雨の日はカッパが必要だ。しばらくして自然観察路分岐と合流する。相変わらずの霧雨で、周りを見渡すことなく黙々と下る。時々、ミネザクラの赤い紅葉やノリウツギの白い花や黒く熟したムシカリの実が現れ目を奪う。三途の川上部で8名ほどのパーティを追い越すが、膝でも悪くしたのか少し難儀をしている様子。

 三途の川(沢)でカッパの上を脱ぎ、小休止する。先ほどのパーティが通り過ぎていく。見渡せば、ナナカマドの実が鮮やかな赤に変わっている。腰を上げて赤い実を写真に収めて、黙々と温泉へ急ぐ。ゼッタ沢に到着すると先ほどのパーティと出会い、分岐点まで登ったところで道を譲って貰う。全体的に異常なし。14:33、温泉に無事到着する。いつものように温泉を貰って汗を流し、帰途につく。  阿部 記

紅葉しはじめたミネザクラ


観察路−小屋分岐付近の池
コース時刻:須川温泉8:15−9:00昭和湖9:10−9:45天馬尾根分岐9:56−10:13須川岳山頂10:33−11:52磐井川源流水場11:54−12:05笊森山荘12:55−13:52三途の川13:57−14:33須川温泉 


H22.10.2

    須川岳(栗駒山) 1628m     須川岳ー秣岳パトロール  山行者:森、阿部


ゼッタ沢の徒渉点
 前日に農作業の延期が決まり、急遽須川のパトロールに森氏と出かけることになった。
 8時、森宅を出発。途中でガソリンを満タンに入れ、一路須川温泉に進む。本寺辺りからは、ほのかに赤くなっている山頂が見えて心が弾む。
 9時少し過ぎに温泉に到着。駐車場にはまだ余裕があるが、好天に誘われて程なく満車状態になるだろう。

 身支度を整え、温泉に挨拶して9時22分出発する。道は、数日続いた雨の影響で、所々に水たまりも出来ている。鳥海山を後ろに、坦々と進む。温泉上部付近はカエデり類が黄色に色づき始めたばかり。ナナカマドはもう少しだが、ちぢんで枯れたような葉も見られ少々気になる。
 お花畑を過ぎると、黄色い灌木帯へ入る。道は相変わらず泥濘み慎重に進むが、色づいた木々に目を奪われる。

 昭和湖は益々白く濁っている。紅葉は、この辺りから赤系が濃くなってきている。小休止をとり、新装のトイレを覗くに行くと柵に通行止めの看板。何時になったら使うのだろうか・・。ツアー登山の30名ほどのパーティが2つ程みえているが、利用しようとのそぶりは全くない。

 少し休んで腰を上げ、尾根分岐に向けて高度を稼ぐ。木の階段が整備されて心地よく進むが、陽に打たれ結構暑い。森氏は、半袖になりやや冷たい風が心地よさそうだ。約250段(番号)を過ぎる頃、傾斜も緩くなり山肌を覗く余裕も出てきた。道は、水も流れきって乾き極端に滑ることはない。山頂からの斜面は、丁度紅葉の見頃になっている。

 降りてくるツアー客に、登る一般登山者がすれ違うのに苦労している。あとからもツアー客が続き、シーズン最高の人出のようだ。

 焼石岳も、標高1200m付近から上部はほんのり赤く染まっている。ともあれ、左手の山頂斜面は見事な紅葉である。 

昭和湖上部にて


山頂からの斜面の一部
 分岐の広場は登山者で一杯。

 人々を掻き分けるように、宮城や山形方面の景色を堪能。

虎毛山や神室山は勿論、月山や朝日連峰も見えている。小休止後、山頂へ進む。

尾根の分岐


中央上は、天狗岩
 山頂へは、小石の混じる乾いた道ではあるが、降りるツアー客に一般者でごったがいし足下が怪しくなる。

 転倒しないよう、気を配りながら紅葉を満喫してゆっくり進む。

 いわかがみ平の駐車場は満杯の様子。登山道には人気がない様子だが、時計を見るとみんな山頂に居る時間帯だ。

11時17分、山地様到着。案の定、道まで登山者であふれている。記念撮影をして早々に、山頂をあとにする。

山頂にて(森氏)


 展望岩頭より龍泉ヶ原方面
 分岐まで降りて天馬尾根に入る。色づいた灌木が互いに道に迫り出し、顔を撫でて歩きづらい。道も細くなり、溝にはまった様でバランスを取るのに少々難儀をする。

 展望岩頭に出ると、もう邪魔するものはない。岩に腰を下ろし、大パノラマを満喫しながら昼食を取る。

展望岩頭より昭和湖


この辺りから長い下りになる 奥は秣岳
 秣方面に進むツアー客も多い中、時間を気にしながら坦々と下る。一部灌木が迫り出す所もあるが、足下の草が刈り払われて結構広い道だ。

小石と滑りやすい土道を慎重に下る。

しろがね草原入口


草紅葉が最高  しろがね草原
 なかなか鞍部に着かない・・と愚痴を言っていると、緩い登りが始まる。再び小さなピークを超すと小湿原。池塘を覗き更に登ると、しろがね草原が現れる。

 比較的歩きやすい道が続き、写真撮影以外は休まずに草原に出た。

見事な高層湿原に感動する。

左写真のピークより秣岳を望む


秣岳にて  奥は須川岳
 しろがね草原のピークで小休止。宮城・山形方面の展望と、目の前の紅葉を満喫する。

 秣へは、少し下って小さな草原を通って最後の登りとなる。高台から見るより、あまりきつくない登りだ。

 黙々と少し高度を稼ぐと秣岳山頂となる。あとは下り、最後の景色を目に焼き付ける。

秣岳より須川湖遠望


管理棟前の駐車場より須川岳遠望
 秣岳からの下りは、小岩と滑りやすい土の道。木の根も所々に迫り出し慎重に下る。急傾斜にはロープも張られているが、下りでの利用は難しい様子。

 ブナ林が現れ、林を楽しむと程なく車道に出る。全下り40分ほど。小休止をして膝を癒してから車道を須川湖へ進む。

 須川湖は、左側を巻くようにキャンプ場経由で進む。道端にシラタマの実の群落が点々と並んでいる。ん十年ぶりに立ち寄るが、バンガローや炊事施設も整備されて昔の面影は全くない。

 再び車道に戻り、一気に須川温泉へ進む。もらいゆをして汗を流し、帰途につく。紅葉は、標高1300mより上の方。温泉付近は、次の土・日あたりが良さそうだ。 阿部 記

コース時刻:須川温泉9:22−10:00昭和湖10:12−10:47尾根分岐10:58−11:17須川岳11:25−11:54展望岩頭12:17−13:26しろがね岩山13:32−13:57秣岳14:10−14:53車道出口16:10−16:55須川温泉


H22.6.27

      須川岳  国道342号再開通記念登山    登山者:森、吉家、阿部


出発  温泉脇にて
 5月30日の午後、国道342号が真湯から須川温泉までの区間、約2年ぶりに再開通された。6月27日、それを記念する「国道342号再開通記念登山」が開催された。主催する市から声がかかり、当会からは3名が参加することになった。


お花畑
 27日、前日から須川温泉入りしていた県内外から募集した一般客と関係者約80名が温泉前広場に集合。8:15より出発式が行われ、市長の力強い挨拶と吉家氏の登山注意事項等を聞き、8:30昭和湖経由で栗駒山山頂に向けて出発した。

 朝方の雨はあがったものの終始ガスに覆われ、怪しい空模様の中元気に進む。参加者の中には80代に近い方もおられ、急ぐことなく景色や花々を鑑賞しながらの行程。お花畑に付く頃には先頭グループは見えなくなっていたが、ワタスゲやタテヤマリンドウ、トキソウなども顔を出し、お花を堪能しながら各自マイペースで進む。


ゼッタ沢上部徒渉点

ウラジロヨウラク
 お花畑を過ぎると、いよいよ新緑の鮮やかな灌木帯の登り道となる。灌木のトンネルの中は風通しも悪く、湿度100%を思わせるようにかなり蒸し暑く直ぐに汗ばんでくる。ツマトリソウやショウジョウバカマにイワカガミのピンクに目を奪われながら黙々と進む。息が上がり出す頃、自然観察路分岐に付く。山頂方面は相変わらずガスに覆われているが、沢を挟んだ対岸の湿原にワタスゲの白い穂が群がり夏山を感じさせてくれる。

 立ち止まる程度の小休止の後、早々に列を追う。道が階段状となるとペースは乱れるが、直ぐに隊列もゴムの様に伸びて後を追うのも結構大変だ。ゼッタ沢を渡ると、見通しも少し良くなり昭和湖が近い。さすがに大人数、この辺りからペースを落とす人も多くなるが、火山性ガスが良くないので早めに通過しよう・・と促しながら後を追う。程なく傾斜も緩くなりイワカガミの群落を見ながら昭和湖に着く。


ヒナザクラ
 先頭集団はもう居ない。後から来る人を待って、10分程の休憩。ここからの登りは少々きつくなるが、励ましながら一気に進む。時折現れるウラジロヨウラクのピンクが目を癒す。野営場管理人の阿部さん言いわれ、ヨウラクのガクを見ると長いもの、中位のもの、殆ど無いものと三種類あることが分かる。花も色や形が少し違い、不思議な思いで改めてヨウラクを見つめる。


山頂
 やがて傾斜はやや緩くなり、残雪が現れる。少し進むと市長が、報道の方と談笑中。・・マイヅルソウ、もう少しで白くツブツブの小さな花が付き・・秋には実が・・等と説明している。市長は高山植物についても詳しい様子。頼もしい市長に感心しながら、先を追う。ミネザクラやムラサキヤシオツツジを見ながら更に進む。遠く天狗岩が見え出す頃、雪が溶けていくらもしないだろう・・ヒナザクラも現れた。やがて最後の灌木帯、程なく尾根にある分岐に着く。

 雨にはならないが、風も弱く相変わらず見通しは効かない。小休止後、後800mの看板に励まされながら先を急ぐ。尾根筋には、コメバツガザクラやオノエラン等々、風当たりが激しいと思われるが咲き終わったものも多い。気が付くと後ろに数人、前には登る人影は無く、歩きやすくなった尾根を黙々と進む。10時半少し過ぎ、大勢でごったがえす山頂に到着する。


チョットいい風景

リンドウの種
二枚の花びらのような所で
雨を受け種をはじき飛ばす
 高湿度のため体は濡れているが、暑からず寒からずの山頂で早めの昼食を取る。程なく全員がそろい、市長の先導で震災犠牲者や行方不明者に黙祷後、万歳三唱で無事の登山と国道342号の再開通を祝った。しばし山頂を堪能・・11時半、下山開始。再び、しんがりを追うようにゆっくり下る。登りでは見落とした花々もあり、カメラに収めたり説明したりの下山となった。13時半少し前、全員の下山を報告して解散、温泉で疲れを癒した。

コース時刻:須川温泉8:30−10:40山頂11:30−13:20須川温泉

H21(2009).9.26

      須川岳 パトロール   参加者:森・吉家・阿部


工事中の温泉
 森さんから声が掛かり、私としての秋の須川岳は9年ぶりのパトロールとなった。7時、お迎えを受けて一路、須川温泉に向かう。天候はまずまずで、笊森や山頂方面は心なし赤く染まっている様に見える。・・一部、省略・・。駐車場には、災害復旧者の車や少々の一般車両が有るだけ。7割方は空いている。陽は射しているが、ヒンヤリした空気の中身支度を整える。


お花畑
 8:25出発。温泉は突貫工事中で、工事車両や重機が忙しそう。硫黄の香る源泉の沢沿いに進むが、いつもより沸き出す湯の量が少ないようだ。直接お花畑に出るコースを取り、最初の緩い上りに取りかかる。道は壊れる事もなく何時も通りの姿。周辺の紅葉は始まったばかりのようだが、ナナカマドの色づきが少しおかしい。まぐさ(秣)岳の下の方には、雲がかかり出している。須川山頂方面も怪しい雰囲気。

 心なし背丈の高くなった灌木帯を抜けると、程なくお花畑に着く。山頂に向かって雲の帯が進むのが見える。木道脇には、咲き残ったウメバチソウがポツリ・ポツリ覗いている。草紅葉が素晴らしいと言いたいところだが、ヨシの勢力が増して6割方ヨシヶ原となっている。ゆげ山を望めば、気温が低いせいか吹き出すガスの量が増えているように見える。


自然観察路分岐
 草原を抜けると緩い登りが始まり、真黄色に色づいたカエデ等を眺めながらジックリ進む。時折、灌木が切れて紅葉の山肌が現れてカメラを回す。吉家さんが坦々と進み、景色を堪能していると距離が出る。森さんはマイベースで、景色を見ないのが勿体ない様子で撮影に集中。自然観察コース分岐付近まで来ると、紅葉も最盛期の様子。立ち止まってジックリカメラを回して小休止。

 水場を過ぎると灌木帯に入り、傾斜も少々きつくなる。細い丸太の階段は段差が大きく息も上がり出すが、今のところ膝の調子は上々。道に迫り出した小枝に注意しながら、黙々と高度を稼ぐ。小学生らしき少女を連れたご家族もしんどそう立ち止まり、に道を譲ってくれる。見栄を張るかのように、空元気を出してそれに応える。小さな沢(ゼッタ沢)を渡ると見晴らしも良くなり、昭和湖までもう一踏ん張りだ。

 9:00昭和湖に到着。湖面は白っぽいコバルトブルーに輝き、周りも鮮やかな紅葉で素晴らしい光景だ。湖面に向かって右奥方向では、トイレ工事が始まっている。今年は基礎部分のみの工事で、来年の完成になるようだ。工事の様子などを観察して、20分程の休憩となった。ここでの登山者は6−7名、談笑後山頂に向けて出発。

 また、段差の大きくなった丸太の階段。周りの灌木も、9年前より全体的に背が高くなったようだ。何度か枝が頭をかすめる中、慎重に高度を稼ぐ。以前は見えていた昭和湖も良く見下ろせず、立ち止まることなくしばし息を上げる。何とか灌木帯を抜け出すと、山頂部は雲に覆われて見えないが、グリーンと錦に染まる斜面が広がり大感激。時折スポットライトのように陽が射し、鮮やかさを増す。汗ばんだ体をなでる風はさすがに冷たく、幾分強くなってきているようだ。


山頂からの山肌
 大分なだらかになった斜面は、草紅葉も見頃となって周りの紅葉と良くマッチしている。間もなく背の低い灌木帯に入り、数分で山頂に続く分岐に着く。速く雲が流れていたが、やはり風が強い。これから山頂を過ぎるまで、強風帯を歩くことになる。腕まくりを降ろし防寒の準備。吉家さんは、まだ半袖でカンバっている。小休止も程々に尾根道に向かう。

 尾根筋のドウダンの葉っぱは、色づく間があったのか全て吹き飛ばされて枝がむき出しだ。少し寒さを感じながら黙々と天狗岩へ進む。ここまでの登山道は震災の影響は無かったが、岩の一部が欠けている。もう一方の岩蔭で森さんが風除けを着込む。速い雲の流れが時折途切れ、いわかがみ平が一瞬顔を出す。南斜面の紅葉のコントラストも素晴らしい。道は水平道に変わり、坦々と先を急ぐ。


秋なのに初夏の花々
 10:30ガスに煙る山頂に到着。イワカガミコース側には、ロープが張られ立入禁止の看板が付けられている。ブッシュの影で、風を避けながら大休止を取る。大休止しながら秣岳に回るか協議するが、強風とガスが巻いているので笊森山荘に進むことにする。・・・一部省略・・・。途中、磐井川源流部に寄り偵察。沢上部の一部に岩片の崩れた所が有るが、殆どは原型を保っていた。虫取りスミレやチョウジギクはみんな無事だ。次のガレバは雪解けが遅かったらしく、春の花から夏の花がかなり咲き残っていた。(写真参考)思いがけず全員、春と紅葉を満喫する。


観察路中頃にて
 雲はドンドン増えて、源流部近くまで下がってきた。時にはかなり薄暗くなり、雨でも落ちてきそうな空模様。逃げるように笊森山荘に急ぐ。偵察・道草で遅くなったが、12:20頃笊森山荘に到着。先客の登山者と談笑しながら、ゆっくり時間を掛けて昼食を取る。山荘は、震災の影響を全く受けていない様子。相変わらず、りっぱな小屋だ。一晩でも、二晩でも止まっていたい感じ。

 単独行の女性も帰り、1時間ほど談笑して源流部に戻る。笊森山荘からの道は刈り払いされて快適な道になっているが、水場からの灌木帯は、道の一部が腐って歩きづらい。泥を跳ね上げないように注意しながら黙々と進む。やがて視界が開けて自然観察路に出る。再び陽が射して、山頂や秣がクッキリと見えるようになった。秣岳に行けなかったことを、少し悔やみながら黙々と下る。更なる灌木帯の下りも段差が大きく、ストックを突きながら慎重に降りる。三途の川を渡る頃には、膝が少し疼きだした。視界が開けた場所で、紅葉を眺めながら立ち止まって小休止。


ゆげ山分岐
 更なる傾斜を降りるとゼッタ沢が現れ、本道と合流する。振り返り、改めて山頂の紅葉を眺めてお花畑まで下る。お花畑からゆげ山側へコースを移し、剣岳の下に進む。一般の観光客やハイカーの姿もちらほら見える。分岐で小休止を取り、ふかし湯経由で温泉に戻る。いつもなら大混雑の時期だが、国道342号一ノ関側が通行止めのため、比較的閑散としている。こんな感じが山としてはベストなのかも知れない。今回周遊した登山道は震災の影響は全く受けず、灌木が生長していたことを除けば依然とあまり変わらず安心する。

 須川温泉で貰い湯を浴び、ラーメンで小腹を満たし、28日の田部井さん御一行・同伴の打ち合わせをして帰途につく。我としては、9年ぶりに初秋の須川岳を満喫。膝は少し疼くが、大満足の山歩きとなった。 阿部 記

コース時刻:須川温泉8:25−9:00昭和湖9:18−10:28山頂10:55−12:18笊森山荘13:25−15:13須川温泉