社山(しゃざん)1826.6m


H21.4.11

        半月山−社山(1753m−1828m:日光市・足尾町)

 前日まで登る山が定まっていなかったが、朝からの快晴で気温も上がりそうだ。下界では、お花見の季節で近場の低山は混み合うだろう。まだ花見の出来ない日光の山へ進もう・・と言うことで、一路、鹿沼・日光の竜ヶ原峠を越えて中禅寺湖を目差す。


半月山展望台にて
 近くのコンビニを出たのが7時45分と遅くなったが、小来川(おころがわ)経由で峠を越える。1時間強で開通したばかりの中禅寺湖道路に入り、半月山下の第二駐車場に車を止める。いつもなら歌が浜から湖畔の道を歩き、阿世潟から社山に行っているが、今回はチョット冒険してみようと、きついと思われるコースにしてみた。

 広い駐車場には、車5台ほどしか止まっていない。さすがに敬遠されるコースなのか、少しためらいを感じながら身支度をする。何時しかバイクの若者がやって来て、山の話など談笑しする。足尾から霧降高原あたりを回って行くらしい。バイクのエンジン音が消えて、やっと歩き出す。

 まずは、半月山に向かってのややきつい傾斜を行く。背の低い笹原に安定した道が続く。数分でコメツガがポツポツ現れ、緩い道に変わる。半月山の南西側を巻くように進むと、日の射さないツガ林に入り残雪が氷に変っていて滑らないよう慎重に進む。そこから程なく、半月山への分岐と展望台が現れる。山頂はあまり視界が良くないと聞いているので、パスして展望台へ上がる。

 展望台は、絶景である。すぐ下方に八丁出島、対岸にはデンと構えた男体山。約330度の大パノラマが開けている。袈裟丸方面は少し霞があるが、庚申山や皇海山も直そこに聳えている。それにしても・・なんと、社山はかなり遠く見える。中間にはピークが2つ、あれを登り返さなければ社山の登りに取り付けない。ため息を吐きながら約150mの下りに入る。


半月峠より足尾側・袈裟丸方面を望む
 最初は緩い下りだが、すぐに急傾斜となり、くぼんだ道には下が氷の残雪が足場を悪くしている。時には岩片も現れて、かなり下りづらい。慎重に膝をかばいながら時間をかけて降りる。やがて半月峠1580m地点に着き、大休止を取る。ここは、中禅寺湖湖畔の狸窪(むじなくぼ)への分岐でもある。


最初のピークより男体山を望む
 再び次のピークへ登り出す。標高差約80mで背の低い笹の中に道が続き、やがて松林が現れ傾斜がゆるむ。比較的広いピークで、背の高い雑木林となっているが、冬枯れの立木は見通し通い。この日から動き出した、遊覧船が良く見えている。少し休んで再び下り出す。

 次ぎも長い下りだ。相変わらずの笹の道で、残雪が時折現れ歩調が狂う。もう・・膝が疼きだしている。と、ピーと鹿のかん高い声。遙か下に鹿の姿、早い一瞬で見えなくなった。・・あのくらい早く歩けたら・・と、このコースを選んで後悔しながら、更に下る。なんとか次の2ピークに登りなおし、またまた阿世潟を見下ろしながら小休止を取る。

 つぎは、阿世潟峠までの下りだ。遊覧船のエンジン音が恨めしく聞こえる中、慎重に下る。足尾側が崖崩れを起こしているところは、氷の残雪でかなり滑る。小枝を杖にしてバランスを保ちながら下る。11時21分やっと阿世潟峠に到着する。半月展望台から、約320m下ったようだ。もう、社山からの下山者が3名阿世潟方面に下っていく。これから本当に標高差約400mも登れるのかと思いながら、大休止を取る。


ミネザクラと白根山
 カンカン照りの微風の中、何か獣の臭いがする。鹿の臭いか良く解らなかったが、そこいらじゅうに鹿の糞が転がっている。吉永小百合の鹿の糞を口遊みながら、社山への登りに取り付く。唐松林にはいると、もう息も上がるが、足は上がらない。なんとかロボット観測塔を過ぎたが、すぐ近くの小ピークで大休止となる。

 ここで戻るのもしゃくだ。気合いを入れながら、再び急登に取り付く。それにしても、絶景が続く。12時を過ぎているが、目標の時間を設定、数回立ち止まりながらぐんぐん高度を稼ぐ。笹に付いた残雪が足下をくるわすが、慎重にその場をクりヤー。膝はガタガタ・・疲れてないのは、目のっ玉だけか・・。空きっ腹を抱えて、更に高度を稼ぐ。やがてコメツガ林が現れ、傾斜がゆるむ。設定より少し送れて、12時48分やっと山頂に到着する。


社山 山頂
 山頂には誰もいなく静かだ。霞んだ絶景を眺めながら、のんびりコンビニおにぎりをほうばる。例により、半月下の駐車場が見えている。乾燥した心地よい風が汗ばんだ体を乾かしてくれるが、あそこまで帰る余力は有るか心配しながら体を休める。しかし、足はまだパンパンだぁぁぁ。

 疲労が蓄積した体にムチ打って下山開始。笹に覆い被さる残雪は、腐って滑りやすくなっている。登りより苦労しながら慎重に下る。とは言え、さすがに下りは楽だ。一気に阿世潟峠に近づく。と、10m程下の登山道に白い顔をした黄金色のテンが現れる。一瞬こちらを覗き、すぐに茂みに頭を隠して何かを始めた。慌ててビデオを回すが、尾っぽと尻しか映らない。少し下りテンを確認するが、崖側に小さな落石を残し姿はない。崖を転げたわけでは無さそうで、巣穴でもあって潜り込んだのだろう。


皇海山(右)と鋸山
 程なく峠に着き、これからの登り下りに備える。完全にバテ気味である。まだ体調が山登り仕様になっていないようだ。半月峠まで1.1kmと書いてある。二つのピークを越えて最後の半月山までの登りが控えている。数分休んで、重い腰を上げる。登りは、さすがにつらい。10m程高度を稼ぐと足が良く上がらない。なんとか二つのピークを越して最後の登り。超ローギアに切り替え、意気揚々と半月展望台に着く。

 陽は、かなり西に傾いてきた。最後の大展望を満喫して、駐車場へ急ぐ。倒木の枝と平行に、お世話になった枯れ木の杖を丁重に置いて駐車場に出る。以外と膝は保っている。今日は、後ろ立山縦走より疲れた。下のゲートが閉まる時間が迫っているので、体を休める暇もなく車を走らせる。・・結局、往復6時間も掛かってしまった。道が良ければもう少し短時間で歩けたのになぁぁ・・と、負け惜しみ。いろは坂は空いていた。清滝の桜開花は後4−5日は掛かりそうだ。  阿部 記

コース時刻:第二駐車場9:50−10:08半月山展望台10:13−10:30半月峠10:36−10:46、1ピーク−11:02、2ピーク11:12−11:21阿世潟峠11:28−11:53ロボット観測塔上部小ピーク12:05−12:48山頂13:15−14:01阿世潟峠14:10−14:27、2ピーク14:37−15:06、1ピーク15:14−15:20半月峠15:26−15:51半月山展望台16:05−16:18第二駐車場 

H20.6.7

      社山(1826.6m 日光市・中禅寺湖湖畔)


八丁出島と社山
 5月は藪用と天候不順で、まともに山歩きをしていなかった。7日は曇天の予報だったが、ためらう事なく家を飛び出した。しばらく足を動かしていないので、まともに歩けるか心配しながら中禅寺湖の南側対岸にそびえる社山を目差す。6時少し過ぎ自宅を出て約1時間50分、順調にいろは坂を駆け上がり歌ヶ浜駐車場に到着。


歌ヶ浜より男体山
 曇り空を予想していたが、日が射して奥白根山もクッキリ見えている。白根山へ進みたいのを我慢して、身支度を整え阿世潟を目差して歩き出す。・・・アカヤシオもシロヤシオも終わっているだろうなぁぁ・・でも、山頂付近はまだ良いかも・・。等と思いを巡らし、新緑の中を快適に進む。旧イタリア大使館別荘を過ぎると、湖側の視界が開けて風の弱い水面に映る社山の姿が何時もと違ってなかなか優美に見える。


手入れされているような見事な森
 木影からのぞく水面と釣り人達、ハッキリ見えないのがまた何とも言えないもどかしさをかき立てる。狸窪(むじなくぼ)付近からブナ等の大木が林立し、それらの配列や天井一杯に繁る新緑が素晴らしい光景となって目に飛び込んで来る。異国の森を思わせる光景に、春ゼミの大合唱も加わり疲れは全く感じられない。これだから好きだ、何度来ても飽きることのないコースである。


ヤマツツジ
 9時少し過ぎ、阿世潟(あせがた)の分岐に到着。耳が痛くなるほどの春ゼミの大合唱を聞きながら、大休止を取る。先に着いていた数組のパーティが腰を上げて登っていくが、まだ男の子を連れた親子がミズナラの木を見上げ何かを探している様子。この親子が立ち去った後に、我も木を見上げると蝉の抜け殻が沢山着いていた。ついでに、木にとまる春ゼミを見つけてシャッターを押す。

 なだらかな登りを20分程進むと、阿世潟峠の分岐となる。森林浴は、ここでおおかた終わりとなる。小休止後、先客を追うように尾根道を進む。結構傾斜はあるが、凹凸も小石も少なく乾燥した歩きやすい道となっている。最初の小さなピークを越え、再び痩せ尾根の登っていると満開のヤマツツジに出会う。もしかするとヤシオ類もまだ期待できそうだとぬか喜び。


戦場ヶ原方面遠望
 ロボット雨量計を過ぎる頃見通しも良くなり、山頂方面も見えてくる。何と言っても、対岸の男体山や中禅寺湖の眺めは最高だ。足尾側からの心地よい風を感じながら、ややきつい傾斜をジックリ踏みしめながら高度を稼ぐ。10時を過ぎる頃、湖がにわかに騒がしくなってきた。遊覧船やジェットボートが繰り出して、時には飛行機の音にも聞こえる。水面に船の引く筋が弧を描き夏を感じさせる。


シロヤシオ
 尾根中間部より少し上の見晴らしの良い肩で小休止を取る。竜頭の滝や戦場ヶ原が、手に取れるように間近に迫る。湯泉岳や太郎山の山並みも素晴らしい。先ほど追い越した先客達もやって来て、結構賑やかな展望スポットに変わった。10分ほどして腰を上げ、まだまだ続く急傾斜へ取り付く。更に高度を上げると、丁度見頃のシロヤシオが現れる。奥白根山とのコントラストも良い。目を凝らせば湯滝が新緑の中に白い筋を作っている。終始、絶景を楽しみながら山頂を目差す。


奥白根山遠望
 9合目付近に来ると、足尾側からガスが沸き出して山頂を覆い始めた。奥白根の立つ群馬側はまだ好天気。男体山の頭もガスがかかり始めている。天候の急変は無さそうだが、ピッチを上げて進めば程なく山頂に出た。登山者は意外に少なく7−8名で、展望もあまり良くないので降りていったのだろう。満開を少し過ぎたアズマシャクナゲを一通り鑑賞して、雲の下の足尾の町並を眺めながら雲の切れるのを待つ。20分程待つが、黒檜岳への稜線が少し見えただけ。日が射さないとさすがに寒く、先ほどの展望ポイントまで降りることにする。


アズマシャクナゲ
 11時30過ぎ、例の肩まで降りて腰を下ろす。弱い陽射しを浴びて暖まり、湖を眺めながらコンビニおにぎりで早めの昼食。昨年のモーターパラグライダーからの紅葉の映像を思い出しながら、大展望を楽しむ。上ってくる登山者も多くなったが、湖はボートで賑わいを増している様子、少し早いが元のコースをたどり下り出す。


旧イタリア大使館別荘(特別公開中)
 再び、蝉時雨の中を約1時間の森林浴。釣り客の中には、昼寝を始めた者もいる。こちらも少し眠気を誘われながら、快適な森の中を進む。歌ヶ浜は観光客で大賑わい。さすがに日本の一大観光地、いろは坂はすんなり降りられたが東照宮付近も渋滞気味。15時頃になったら、大渋滞だろうな・・と思いながら先を急ぐ。 久しぶりの山歩き、やはり中禅寺湖湖畔の森は一攫千金の価値がある。紅葉の時期にも行ってみたい場所だが、大混雑だろうなぁぁ・・。 阿部 記

コース時刻:歌ヶ浜第二駐車場8:15−9:06阿世潟9:20−9:40阿世潟峠9:47−10:17尾根の肩10:35−10:52山頂11:13−11:38尾根の肩11:52−12:14阿世潟峠12:20−12:33阿世潟12:45−13:32歌ヶ浜第二駐車場   

H19.5.26

    社山 中禅寺湖南方湖畔1826.6m


駐車場(歌が浜)より男体山
 26日、雨の予想が一変して晴天、準備もそこそこに中禅寺湖を目指して出発する。明智平のトンネル入り口で小猿の歓迎を受け歌ヶ浜に進み、中禅寺湖道路ゲート近くの駐車場に着くと既に満車状態。仕方なしに県営第二駐車場に戻り、身支度を整える。


八丁出島と社山

阿世潟峠

中間部付近からの展望
 風が強く湖面はかなり波立っているが、風に立ち向かい必死にフライを延ばす釣り客を見ながら湖畔を阿世潟(あぜがた)へ向けて歩き出す。イタリア大使館別荘を少し過ぎると見通しの良い広い浜に出る。湖の遙か向こうに残雪を被った白根山が、黄砂に霞んで優美な姿を見せている。一方、左側には八丁出島と奥に目指す三角形の社山が構えている。


ミツバツツジ
 満開のシロヤシオをじっくり眺めてから、再び新緑が輝く湖畔の道を先へ進む。湖畔の波の音、ピンクのミツバツツジやシロヤシオの自然な造形を楽しみながら、爽快な気分で進む。釣り人も波の少ない場所で、点々と散らばっている。出遅れた?釣り客が自転車に乗り換え時折追い越す。狸窪(むじなくぼ)付近からは、大木が生い茂り外国の森林帯を歩いているように感じる。新緑に満ちたこの光景が、たまらない。

 小一時間後阿世潟に着き、小休止を取る。ここから湖畔の周遊道路から離れて、登山コースへと移る。緩い傾斜から始まり、丸木の階段が始まるとやや傾斜もきつくなるが程なく阿世潟峠に出る。休憩には少し早いが、これからの長い登りを思い休むことにする。中年のご夫婦が二組、後を追って腰を上げる。


桜と白根山

社山山頂 奥男体山

山頂付近のハクサンシャクナゲ
 痩せた尾根がしばらく続くが、まだ背の高い灌木が多く弱まってきた風が心地よく全身をなでる。唐松の新緑、濃いピンク染まるミツバツツジの大木が目にしみる。安定した道が続き、黙々と高度を稼ぐ。ロボット気象計の建つ丘を過ぎると絶景が飛び込んでくる。相変わらず黄砂の影響で霞んではいるが、足尾方面や眼下の中禅寺湖の景色がたまらない。芽吹いたコシアブラが美味そうだが、ストックを使っても届かない。生唾を飲んで更に進む。

 小さなピークを巻きながら更に高度を稼ぎと、やや中間部のテラスに出る。ここまで登ると、竜頭の滝や戦場ヶ原も見えて来る。雄大な景色を眺めながら一服たてていると、追い越したご夫婦や単独行者がやってきた。今日はかなり登山者が少なく、静かな山歩きになりそうだ。のんびり楽しもうと、なかなか腰が上がらない。チョッキを脱いで、汗ばんだ背中を風にさらす。

 先に行っている単独行者を追うように、腰を上げ登り出す。結構息が上がるが、足は持ちそうだ。まだ新芽の少ない小さな笹が茶色の草原のようになっている。時折ダケカンバが素通しの林を作っているが、見通しにはそれほど邪魔にはならない。快適に高度を稼いでいると、山桜がまだ咲いているものがあった。白根をバックに写真に収め、更に先へ進む。

 やがてコメツガ林が現れると傾斜もゆるみ、山頂が現れる。山頂は一部が開けているだけなので、少し下り気味に進み見通しの良い広場で、絶景を眺めながら甲羅干しをする。風の当たらない所のシャクナゲが満開となっていた。ビデオを取ったり、おにぎりを食べたりして時間をつぶしてもまだ11時半にならない。二組の登山者も時間を持て余しているようだ。風もかなり収まりいい天気だが、景色を堪能して帰路に就く。


新緑の中のイタリア大使館別荘
 笹原を降りていると家族と思われるグループが登ってきた。礼にのり、やはり5年生位と2年生ぐらいの女の子が一緒。この日は中禅寺湖周遊道で男の子は見かけたが、不思議な現象。先ほどのテラスまで戻り昼食を取っていると、次から次と4〜5人のグループがやって来た。カメラのシャッターを押して上げたりで、にぎやかになってきたので腰を上げる。

 12時を回っても行列が続き、結構人気のある山を実感しながら、静かなうちに下山できたことに感謝しながら峠に出る。再び静けさが戻り、湖畔の周遊道路の森林浴をのんびり楽しみながら駐車場に戻る。帰り道は、日光・清滝から渋滞が始まっていた。少し戻り、やしおの湯から滝ヶ原峠を越えて鹿沼に出る。  阿部 記

コース時刻:駐車場8:14−9:08阿世潟分岐9:16−9:32阿世潟峠9:40−10:11中間部肩10:22−10:47山頂11:19−11:41中間部肩11:48−12:17阿世潟峠12:25−12:38阿世潟分岐12:44−13:55駐車場

H17.5.28



三角のとがった山が社山

中央奥が白根山

男体山
 予報を見ると何とか持ちそうと、28日ろくに眠らず飯も食わずに中禅寺湖へ向かう。この日の夕方送別会が入り、黒檜山を考えていたが時間のかからない社山に切り替える。修復が終わり公開されている日光の神橋を眺めたいと、山道から日光市内を通りいろは坂に取り付く。男体山はガスで見えなかったが、上部のトンネルを抜けると快晴、奥白根や男体山がどっしりと構えていた。


阿世潟の分岐

阿世潟峠直下にて

社山山頂

黒檜山への尾根

雨量計近くから上部を望む
 県営第二駐車場に車を置き、早速湖畔の散策路を左岸に沿って歩き始める。湖から約4−5m上部に続く道から、所々に居る釣り客や木の間から覗く山々を眺めながら快適に進む。シロヤシオやムラサキヤシオの群落が新緑の雑木林に色を添え、時々まだ定まらない釣り客の往来とすれ違いながら気持ちは森林浴。避暑のため作られている各国の大使館別荘の建物も、森にとけ込み風情を添える。

 岸辺の波の音を聞きながら、ブナの大木が林立する西洋風の林の中を快適に進む。やがて八丁出島を過ぎて、大きな砂浜を持つ阿世潟に着く。ここまで1時間弱で殆ど平坦部、小休止を取っていよいよ阿世潟峠の登りにかかる。だらだらとした登り、木の間からの日差しと心地よい風を受けながら大粒の汗をかくことなく進む。木製の歩きづらい階段が出てくると、登りは少しきつくなるがヤシオの群落に目を奪われ苦しさは無い。ビデオを回し登ってくる登山者を交わしフ゛ラフ゛ラと進むと、いきなり周りが更に明るくなって峠のコルに着く。


八丁出島遠望

アズマシャクナゲ
 小休止後、西に続くなだらかな尾根をのんびり進む。少し霞み始めているが、足尾方面からハルゼミの合唱する声や時折カッコーの声が聞こえる。唐松の新緑やヤシオのピンクや白が点在して目に心地よい。やや緩い黒土の安定した道を心地よく進むと小さいピーク、そこを過ぎると小さいジグザクの道に変わり少しきつくなる。黙々と登り雨量ロポットのあるピークを巻くと一気に視界が開け、山頂方面から中禅寺湖や男体山の絶景が望めた。

 小石が散らばるやせ尾根を進み、小さいピークを一つ過ぎると更に展望は良くなりやや広い台地に出る。北方の湖岸に白く光る物を発見、奥は戦場ヶ原か。どうやら白く縦に光るのは竜頭の滝のようだ。ここで大休止を取って景色を楽しむ。上部には登山者の列が見え、これまで数人としか合っていなかったが山頂は込み合いそうだ。

 そこから上は背の低い笹に覆われ、所々にカンバの木が点在する開けた登りが続く。風が少し冷たくなった中、下る登山者を交わしながらゆっくり進む。やがて傾斜が緩くなりコメツガの林が現れ社山山頂に着く。南側が少々開けているが、狭いので少し進んだ西側の広い場所で昼食を取る。シャクナゲの小さな群落もあり咲きだした花に登山者が群がる。真っ赤なつぼみやピンクの大輪、なかなか良い色をしている。黒檜山方面のガスはどす黒く変わり今にも降り出しそうになっている。

 山頂では20名ほどが楽しんでいた。殆どが半月山を通ってきたようで、阿世潟峠までの尾根歩きはピーク・コルが数回続き大変だったようだ。今回のコースが一番楽で楽しい様だ。足尾方面の見通しがガスで悪く残念だったが、比較的静かで思った以上に展望も良く面白い山だった。 30分ほど昼食休みを取って下山開始する。  阿部 記

コースタイム:歌が浜駐車場−0:55−阿世潟−0:25−阿世潟峠−1:10−山頂−1:00−阿世潟峠−0:20−阿世潟−1:05−歌が浜駐車場(休憩時間込み、昼食時間含まず)