南会津・七ヶ岳(七ヶ嶽)


H19.10.21

 (1635.79m:福島県南会津郡南会津町大字糸沢)


登山道から見上げる紅葉
 ブナ、ナラ、カエデ、ダケカンバなど広葉樹の樹海が眼下に広がる紅葉を求めて七ヶ岳に登ることにした。七ヶ岳の登山ルートは平滑沢と急坂の羽塩ルート、初心者向けの高杖スキー場ルート、護摩滝と下嶽を周回する黒森沢ルートの3ルートがある。今回は黒森沢ルートを登り下嶽まで正確には11あると言うピークを忠実に辿りながら紅葉を楽しむことにした。このルートは数年前の初夏に歩いており、そのときは新緑が眼下に広がるのを楽しんだ。


護摩滝を下部から望む
 針生で国道289号を離れ林道七ヶ岳線に入り、約5.3Kmのダートを走ると黒森沢登山口駐車場に着く。先客は夫婦連れが一組、丁度歩き出したところだった。自分も車をその隣に駐車して山の支度をし、歩き出すと3台目の車が来た。

 RV車なら何とか走れそうな登山道を20分ほど歩くと、ぬかるんだ本格的な登山道になる。足元に注意しながら頭上の紅葉を楽しみつつ緩やかに高度を稼いでいくと、登山口から約1時間で黒森沢と合流する。ここからは沢の中を濡れないように飛び石を拾いながら上流へ進んでいく。するとまもなく本ルートの核心部・護摩滝に到着する。ここで先行した夫婦連れに追いついた。彼らは七ヶ岳は初めてとのことで先に行く気配も無く、自分が先に登ることにした。


夫婦連れが登ってくるところ
 今日は気温が低くシャワークライミングするような状況ではないので出来るだけ飛沫を避けて登りたいが、足場は滑りやすいところもあり無理は出来ない。滝の下部で写真を撮ってカメラを濡れないようにベストの中に入れて、右岸に移動して滝に取り付く。左岸に巻き道があり夫婦連れに巻道のあることを教えたが、彼らも滝に取り付いて登りだした。


七ヶ岳山頂の沖氏
 他人の登山を心配するよりわが身が緊張状態にあり、とにかく足場やホールド場所を確認しながら右岸から左岸へ、また左岸から右岸へと滝のテラスで行ったり来たりしながら一気に上り詰める。そして岩場を抜けて滑沢下部まで登ったところで、夫婦連れが無事に登ってくるのを待つ。水量は多くて大変と言うほどではないが、前々日の雨で平均的な水量はある。滝を登っている間は心に余裕は無く、カメラを取り出すことさえ思い及ばなかった。飛沫で濡れて写真撮影できる状況でなかったかもしれないが、とにかく今回はそんなゆとりが無かった。滝上部に到着して、やっとカメラを取り出し夫婦連れが登ってくるところを沢の雰囲気として記録した。

 無事に滝上部まで登ったからと言ってまだまだ安心できない。滝上部から上流は滑りやすい滑沢が延々と続き、どこまでも緊張を強いられる。登山道がこの沢の中だから靴を濡らさないように飛び石を上手く使って、右岸左岸を使い分けながら標高を高める。流れが藪に消えて登山道が左折して水場と分かれる。ここから潅木に囲まれた中を黙々と進み、高杖スキー場ルートと合流すると一気に視界が開け、紅葉した七ヶ岳が望める。


山頂部から眼下に広がる樹海の紅葉
 楽しみの景色の愛でるのは山頂付近まで我慢して、とにかく先を急ぐことにする。山頂直下で岩場の上に立って足元を見下ろす。高度恐怖症でなくとも足元が切れ落ちた絶景に足がすくむ。冒頭に書いた期待した景色はまだ柔らかな初々しい紅葉と言った状況だが、この若葉が萌えるような紅葉が例えようもなく素晴らしい。


七ツ岳山頂から縦走路を望む
 足元から水平線の方向を見ると高原山が全容を見せている。しかし大佐飛山から那須岳の山頂部はガスで閉ざされている。荒海山の後方には日光の山々が望める。しかし燧ケ岳や会津駒ケ岳はガスで見えない。遠くの山は見えなくても眼下に広がる樹海の紅葉が柔らかく丸い樹冠を隙間無く敷き詰めていて壮観だ。

 七ヶ岳山頂には会津百名山七ヶ岳山頂と書かれた標識と一等三角点(点名:七ツヶ岳、標高:1635.79m)があり、遅れて登ってきた夫婦連れとお互いに写真の撮り合いっこをする。また山頂からこれから進む下嶽への稜線を眺める。紅葉が進んで丁度見頃になっていて、大いに期待しながら勇んで出発する。


途中のピークから北方向を望む
 3番目のピークを登るのが一番きついが、まだこの頃は体力に余力があり景色を眺めたり、カメラの構図を考えたりと心にもゆとりがある。1568mの標柱で呼吸を整え、標高を徐々に下げながら次々とピークを果てしなく越える。また縦走路の所々で背丈より深い笹に覆われて、藪漕ぎではないが視界が無くなる。そして濡れた笹を押しのけながら進むため、ズボンがしっとり濡れて冷たくなってくる。


下嶽山頂から歩いてきた縦走路を振り返る
 こんなに下嶽まで遠かったかなと不安になるほど歩いて、やっと下嶽山頂に到着。狭い山頂に下嶽の標識と三等三角点(点名:下岳、標高:1509.80m)があり、三角点の設置された岩場で濡れたズボンを乾かしつつ、簡単な昼食をして体力回復を図る。

 下嶽から先もいくつかのピークを越えてやっと分岐に到着。過去の記憶はいい加減でもっと楽に歩いたように思ったが、意外と骨があってゆとりのある山とは言い難い内容だった。林道歩きは通常40分程度を要するが、今日は随分急ぎ足で歩いたため30分で駐車場に戻ることが出来た。

 過去の記憶では比較的楽に歩いたような印象だったため、心に油断があり予想以上に滝で緊張したり縦走で辟易したりと散々であったが紅葉の景色は期待通り素晴らしかった。 沖 記

コースタイム:西那須野6:40==(約75Km)==8:10黒森沢登山口駐車場8:15--8:35登山道入口--9:15黒森沢--9:30護摩滝下部--9:37護摩滝上部9:50--10:20七ヶ岳山頂(1635.79m)10:40--11:55下嶽山(1509.80m)12:10--12:40下山路分岐--13:00林道(下嶽登山口)--13:30駐車場13:40==(約75Km)==西那須野