奥日光散策 小田代湿原に幻の湖出現  竜頭の滝−千手ヶ浜−西ノ湖−小田代原−戦場ヶ原−竜頭の滝

H19.9.22



斜面に続く快適な道

赤岩より千手ヶ浜を望む
 報道によると奥日光・小田代原(おだしろがはら)に、幻の湖が出現したとのこと。台風9号による大雨の影響で、4年ぶりに湖が出来たそうだ。最初の報道からしばらく時間は経つが、見ておかなくては損する気持ちで出かけることにする。行くなら、山の上からしか見ていない湿原や他の湖の様子も見なくては、と言うことで気になっていた奥日光を時間をかけて散策することにした。

 天候は上々、近くのコンビニを出たのが7:20頃、土曜日とはいえ道が混んでいたので鹿沼の滝ノ原峠を越えて日光・清滝に出る。ほぼ予定通りに9:10、竜頭の滝少し手前の駐車場に到着する。早速、竜頭の滝・茶屋を右奥に見ながら進み、カーブを少し過ぎてプリンスホテル方面へつづく道にはいる。程なく、小さなスキー場が現れ「千手ヶ浜」への指導標が立っている。ここから、いよいよ中禅寺湖北西岸にへばりつく山道となる。

 湖からの高度差、約20mを登る緩い傾斜がミズナラなどの大木が茂る中に続く。何時しか道はほぼ水平となり、快適な散策路となる。傾斜角約40度の斜面を水平に横切るように続く道からは、水面がチラリとのぞき一気に深くなっている様子。木の間から時折日が射し、そよ風が半袖からむき出しの腕にあたり心地よい。アップダウンは殆どないが、手摺りの付いた木道や階段が現れると、高度も30m程になっている。


千手ヶ浜より男体山
 立派な階段を上りきると、大きな岩稜が現れ赤岩に着く。小休止を取りながらこの岩に登ると、遙か彼方に千手ヶ浜がよく見える。しばし景色を堪能して先を急ぐ。この先、地図上ではガレ場とあるが、下りの階段や少し岩場がある程度で危険は感じない。相変わらず大木に囲まれた道だが、ヤシオツツジ類の木も目立つ。紅葉の時期も良いが、春先も良さそうだ。やがて道は高度を下げて、湖面の直ぐ脇や砂浜に出る。高山や戦場ヶ原に続く分岐を過ぎるとやや登り気味となり、再び水面から15mほどの上の水平散策路に変わる。冠石付近に差し掛かると、木の間から覗く水面に大きな魚影が二つ。70−80cmはありそうだ。鯉に見えたが、鱒の種類のようだった。


千手ヶ原の樹林帯
 やがて広い砂浜が現れて、千手ヶ浜となる。広い中禅寺湖の西岸、左奥には男体山がドッシリと立つ。写真でしか見たことのない風景を、のんびり堪能する。・・名残惜しいが、腰を上げて西ノ湖(さいのこ)へ進路を取る。広い千手ヶ原の樹海にはいる。ほぼ平坦でミズナラ等の大木の繁る樹海は風の通りも良く、行き交うハイカーも少ない。マイタケなど生えていないか目を凝らして進むが、意外に茸類は少なくガッカリ。林が唐松に変わると、立派な吊り橋が現れて西ノ湖分岐に着く。


台風の影響で水あふれる西ノ湖
 小休止後、吊り橋を渡り約8分ほどで西ノ湖に着く。カメラを立てる人やハイカーが、10名ほどが集っている。神秘的な湖のはずだが、台風の影響で水が多すぎるようだ。普段は砂浜が広がっているはずが、森まで濁った水にあふれている。洪水の後の様な異臭が気になり、写真を撮って間もなく引き返す。再び吊り橋たもと、昼食を取り大休止を取る。

 12:02小田代ヶ原に向けて、腰を上げる。唐松林に続く道を10分ほど進むとアザミ橋が現れる。橋手前から歩道があるが、台風の影響で通行止めとなっている。やむなく、橋を渡り低公害バスの走る車道を進む。先の弓張峠までは標高差約150mある。約3.8kmの車道をのんびり進んでいると、自転車の親子が登ってきた。父・男児2名・女児1名、10段ほどの変速器付きのようだが、結構難儀している様子。峠近くまで追いついてきたが、結局、歩いた方が早かった。


貴婦人とその前の幻の湖
 峠を過ぎると程なく、小田代ヶ原分岐。車道から散策路に反れて樹海を下る。途中大休止を入れて進むと、鹿除けの柵があるり、網を張った回転扉を回し湿原側にはいる。樹海から抜けると小田代ヶ原、幻の湖へは右手に5分程進まないと見えない様子。ハイカーも多くなる中、進むと貴婦人展望台はあちらと指導標。ほどなく、報道写真の半分ほどの水をたたえた幻の湖が現れる。太郎山をバックに貴婦人と言われる大きく真っ白な白樺も立っている。滅多に見られない光景に、ハイカーの皆さんも大満足の様子だ。中にはスケッチをする女性が二人、みんなでのぞき込む。ウン!うまい、じょうずだぁぁ・・。


湧水100%の泉沼
 本日のメイン・イベント、感激もさめやらぬまま、戦場ヶ原方面に進む。右手奥には雲を被った男体山がチラチラ木の間から覗く。丈のそろった白樺林や草紅葉を眺めながら、背の低い笹の中の木道を坦々と進む。再び樹海に入り、二つ目の分岐を湯川に向けて進む。地形的には沢は見えないが、いきなり水の音。三日月形の池が現れ、ここが泉池のようだ。ベンチ等が整えられ、少し降りると散策路の下辺りから音を立てて水が沸き出していた。冷たく美味そうな清水の湖、下の方ではカモが藻でも食べているのが人目を気にすることなく遊んでいる。小休止して風景を堪能する。


戦場ヶ原 左太郎山、続き小真名子、大真名子山
 5分程進むと、湯川に掛かる下田代橋が現れる。ルアーやフライをする釣り人が数人戯れている。上流の小滝へ行こうと思うが、時計を見ると14時を回っていた。小滝は、次回の楽しみに取っておくことにして引き返す。泉池先の分岐からいよいよ、戦場ヶ原方面へ進路を取る。樹林帯と湿原の間に流れる湯川沿いに木道を進む。草紅葉や日光連山が覗く中、アップダウンも全くないまま、快適に進む。青木橋下には、カルガモか4羽が交互に尻を持ち上げ藻を食べているのか、姿が滑稽である。先日の台風で、木道が浮き上がる程、水かさが増した様子も伺える。葉を泥で白く汚したエゾリンドウが花盛り。

 やがて、広々とした戦場ヶ原の核心部。周りの山々も遮るものはなく、始まったばかりの草紅葉が雄大に広がる。脇を流れる湯川には、相変わらず釣り客が竿を振るっている。魚影は全くない。聞けば、あたりはあるらしいが、藻に触っただけかもしれない。すると突然バシャバシャと大きな音、首まで釣り人が川に浸かっていた。


竜頭の滝 核心部
 道は樹林帯に入り、赤沼茶屋への分岐。少し進み再び分岐、竜頭の滝方面にコースを変える。千手ヶ原へ続く車道を横切ると、湯川に小さな滝が目立ち始める。滝が大きめになると程なく国道120号線、道を横切り橋のたもとから、もう竜頭の滝だ。観光客でごった返す中、展望ポイントを探しながら階段を下る。下の茶屋との中間より少し下に、絶景ポイントが開ける。豪快だ、先日の男体登山の仲間に見せたかった。紅葉が始まると、かなり賑わうようだ。豪快な風景を堪能して、駐車場に戻る。それにしても、良く歩いた。気になっていた奥日光の核心部を殆ど回ってしまった。機会があったら、季節を変えて楽しんでみよう。・・まだ、足が痛い・・。 阿部 記

コース時刻:駐車場9:16−9:50赤岩9:54−10:40千手ヶ浜10:50−11:22吊り橋11:28−11:35西ノ湖11:43−11:50吊り橋12:02−12:58弓張峠分岐13:10−13:26小田代ヶ原13:36−14:00泉池14:08−14:15下田代橋−15:05戦場ヶ原中間少し過ぎ15:12−15:35竜頭の滝上部15:40−15:55駐車場