木曾駒ヶ岳

2006.8.11


 木曾駒ヶ岳 帰省ついでに8月11日、木曾駒ケ岳に登りました。天候に恵まれ山岳展望を欲しいままに至福の一日になりました。


南アルプス遠望 (右中に富士が見える)
 西那須野を未明に出発して日光から足尾を抜け、伊勢崎ICから北関東自動車道に入る。佐久ICで降りて和田トンネルを抜け、岡谷ICで再び高速道に戻り、駒ケ根ICまで走る。菅の台バスセンター駐車場はすでに7割方駐車しているが、午後から日陰になる場所に駐車場所を見つけることが出来た。時間的にもほぼ計画通りで目的地に到着。IT割引券を印刷して持参することでバス・ロープウェイ往復乗車券が割引され、駐車場代分は戻ってくる勘定になる。この時期バスはダイヤ通りではなく臨時で乗客見合いで随時出発してくれる。


千畳敷カールにて

木曽御岳遠望

三沢岳と中央アルプス
 先月の長野地方の大雨で山の斜面が崩れて道路を押し流し、迂回ルートを採りながらシラビ平へと向かう。車窓からはそんな荒れた渓谷が痛々しい景色として眺めることが出来る。ロープウェイは新しくなっており、待ち時間もわずかで1300mから2600mへ一気に標高差1000mを持ち上げてくれる。眼下に伊那谷の向こうに南アルプスの峰々が大きく南北に連なって見える。標高が増すほどに富士山も見えるようになってくる。ロープウェイの8分間の時間で山岳展望が堪能できる。


駒ヶ岳山頂
 千畳敷カール駅に到着するや、伊那谷を正面に見る展望台を目指して進む。見える、見える。北から奥秩父の峰々、鋸岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、富士山、塩見岳、悪沢岳、赤石岳、聖岳、茶臼岳など南アルプスの全容が見える。カメラを構えていても感動でしびれてくる。今日は予備の電池も持参している。安心してシャッターを押し続ける。

 出端からこの調子では山頂へたどり着くのはいつになるか分からない。意識を山モードに切り替えて、カール側に向かう。そして宝剣岳の岩峰からカールになった千畳敷のお花畑を見ると、またしてもカメラを構えて動かなくなってしまう。登山道入り口に、すでにエゾシオガマ、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマなどが足元を彩っている。カメラを構えて背景に岩山を入れると、何処でも絵になる構図が出来る。やっぱり遅々として進まない。イワカガミ、クロユリ、ミヤマダイコンソウ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、グンナイフウロなど次々と顔を出して、途中からカメラをやめて帰路に写すことにして、少し先を行くことに集中する。

 八丁坂の登りにかかるとガレ場になりイワツメクサ、チシマギキョウ、ウサギギク、タカネツメクサなど背の低い花が増えてくる。所々にシナノキンバイの花畑が広がり、アルペン的なお花畑の風情を見せてくれる。サクライウズの群落も見事だ。高山に来た印象を強く与えてくれるチシマギキョウには何度もカメラを構えた。浄土乗越に到着すると天狗岩が見える。何度見ても印象的な黒い岩の造詣に圧倒される。三沢岳も気になる存在だが、過去2度の登山でまだ山頂を踏んだことがない。

 浄土乗越から大勢のハイカーが歩く駒ケ岳山頂を目指して中岳方向へ向かうが、私はピークを避けた南側の岩場ルートを採り、一人で木曾谷の急峻な景色を見ながら歩く。家内は危険と書かれた本ルートを避けて時間のかかるピーク経由の安全ルートを進む。頂上山荘のある鞍部で合流し、木曾駒ケ岳本峰へと最後の登りをゆっくりと進んでいく。抜けるような青空が頭上を覆い、一等三角点と二つある祠が建つ山頂に到着。三角点にタッチして山岳展望を楽しむ。


北アルプス遠望
 やはり気になるのは北アルプスの展望だが、ここも素晴らしい景色が広がっていた。まず槍ヶ岳を見つける。あとは順次同定するが、槍ヶ岳の右に遠く立山や剱岳も見える。穂高から左に目を転じると笠ヶ岳、乗鞍岳や木曾御岳が別格の大きさである。蓼科山の左に浅間山も見える。八ヶ岳だけは雲がかかり一部が隠されているだけで、360度の大展望が得られる。南には三沢岳の後方に恵那山が見え、中央アルプスの中核をなす南駒ケ岳、空木岳が聳える。絶景である。南アルプスの山々と富士山は少し霞んできたが、まだまだ展望を楽しむには十分だ。3000m峰の全てが見えていると言っても過言ではない。こんなに素晴らしい展望に恵まれて、それを肴にして昼食をする。なんと贅沢な昼食だろう。


左下サクラウイズ
 山頂からは木曾側に木曾小屋まで降りて、そこから迂回ルートで往路に戻ることにする。小屋付近にはコマクサが大切に守られていた。また往路との合流点付近で待望のコマウスユキソウに出会った。この山の固有種でウスユキソウとしては一番小振りだが、厳しい環境に大きくなれないとのこと、いじらしく咲き残っていて、思わずカメラを向ける。帰路は往路を戻るが余韻を楽しみつつ下る。

 浄土乗越から池めぐりをすべく、ハイマツ帯を少し下ったが、雪も消えて花も少なさそうだったので途中で引き上げて千畳敷カールへと向かう。カールの底にはチングルマが咲き乱れていた。タカネヨモギやイブキトラノオに混ざってクロユリも目に付く。少し混雑してきたのを潮時と、ロープウェイ駅に向かう。殆んど待ち時間なしで下山でき、バスも臨時で乗り継いでスムーズに駐車場へ戻ることができた。  沖 記

コースタイム:西那須野2:30==(伊勢崎、佐久ICおよび岡谷、駒ヶ根IC経由)==7:00駒ヶ根菅の台バスセンター駐車場7:20==(バス)==8:00シラビ平8:20==(ロープウェイ)==8:30千畳敷カール駅8:50---9:45浄土乗越9:50---10:20木曾駒ケ岳山頂(2,956m:昼食)11:20---11:55浄土乗越(散策)12:15--(カール散策)--13:30千畳敷カール駅13:42==(ロープウェイ)==13:50シラビ平14:00==(バス)==14:40菅の台駐車場15:00===16:00天竜峡温泉