岩手低山

ちょっと低い山を集めてみました。


三ツ石山、八幡平・七滝、室根山、種山ヶ原(物見山)、矢越山、東根山、愛染山、片羽山・雄岳、祭山、鯨山、七時雨山、氷上山、石上山、六角牛山、羽山(北上市)、駒頭山(花巻市)、高倉山・三角山、八方山(花巻市)、仙人山(北上市・和賀)、東根山・春、青松葉山、兜明神岳・岩神山、女神山、東根山・冬櫃取湿原、安家森、峠の神山、白見山、砥森山、和賀・駒ヶ岳



H27.6.24

  三ツ石山    参加者27人、講師2人、引率者2人


三ツ石山頂
 6月24日、一関市体育協会主催の「初心者のための登山教室」の講師として参加してきました。

 6時Uドームを出発。網張温泉スキーセンターでトイレタイムで下車したところ、登山リフトが運転していない日は利用できないと言うことで、国民休暇村のトイレを借りて用を済ませ、奥産道のバリケードまでバスを乗り入れたが、バリケード前駐車場は満車。登山者と荷物を降ろして、バスは後方の駐車場で待機してもらうことにして、支度を整え出発。


登山口

三ツ石湿原にて

ミツガシワ
 舗装道路の照り返しもあり暑い中、木陰をつなぐように登山口へ進む。途中数人の下山者に会ったが皆大きなリックを重そうに下りてくるところを見ると、タケノコ狩の皆さん。よく注意してみると、ナンバーの無いバイクや、キャリヤカーなどガードレールに厳重につながれている。皆、山菜取り用のものと思われる。


シラネアオイ

イワウメ

オオバキスミレ
 森林帯の登山道は、涼しく、道も乾いていた。走り根につまずかないよう進むとまもなく、滝ノ上温泉からの登山道と合流する。少し登ると視界も開け、眼下に滝ノ上温泉・地熱発電所の湯煙、その上部には乳頭山が見える。

 一呼吸入れて大きな石ころ道路を登り森林帯に入るとマイズルソウ、石楠花、少し平坦なところにはシラネアオイの群落。参加者も「自然のシラネアオイは初めて」「やっぱり自然のものは綺麗」などと感激しなから進むと、唯一の水場がある。渇水を心配していたが、とうとうと流れており、柄杓で救って飲む。五臓六腑に染み渡る。

 湿原はミツガシワ、コバイケイソウ、周りにはハクサンチドリが咲いていた。小屋で小休止して頂上へ向け出発。

 イワカガミ、オノエランが道脇に咲いている。短い雪渓であったが、歩行技術を指導する。崩れた階段状の道路を登ると、石を積み上げたように頂上がある。頂上付近にはイワウメ、ベンケイソウ、チシマゼキショウが盛りと咲いていた。チングルマは花が終わり穂を輝かせていた。

 条件がよけれは東に岩手山、西に八幡平の山並みを眺望することが出来るが今日はあいにくガスっていてよく見えない。駒ケ岳方面は見えた。昼食して下山。山荘についたら、出発する時一緒だったオバチャンたちがリック半分くらい膨らませ、更にタケノコを取りながら下ると言う。帰りは、網張ビジターセンターに寄り、入浴と見学して帰路につきました。 森 記

コースタイム:駐車場 8:35~登山道入り口9:10~滝ノ上合流点9:15~三石山荘10:10~頂上11:05昼食 11:40出発~奥産道12:50~駐車場13:25


H25.10.21

     八幡平市・七滝   報告:森


登山道入口

岩手山への分岐

展望台より
 10月21日、八幡平市・七滝に行って来ました。20日、網張で宿泊の懇親会があったので、21日、ちょうど岩手山の反対側にある七滝へ足を伸ばす。


砂防ダムの上流部

展望台から七滝
 出発の朝はきれいな虹に見送られ、県民の森へ車を走らせる。時折霧雨や雲の切れ間も覗かれるが大きく崩れそうも無い。県民の森の最上部と思われるところが岩手山・七滝登山口である。3台ほど駐車していて中年の3人の女性グループが支度を整えていたので「岩手山登山ですか」と尋ねると「いや、ちょっそこまで」と言って出発する。

 事前の調査では急なのぼりもなさそうなので長靴で出発する。10分ほどで、「野鳥監査舎」を左に見て、更に15分ほど進むと岩手山登山コースと、林道コースの分岐に着く。ここから林道コースに折れて登る。このコースは土木工事の取り付け道路らしく、登山道と並行して作られ道幅も広くて歩きやすい。

 色づいた樹林帯を進むと谷音が高くなり、滝に近づいたかと思ったら砂防ダムから落ちる水音である。林道コースはここまでで、ここから左側の登山コースに入る。唐松林を過ぎ、再び広葉樹林帯にを登りまもなく、登山コースと七滝の分岐に出る。

 滝まで200mちょっと下り気味を進むと滝見台。駐車場であった3人のグループが「オォー、思ったよりすごい」と写真を撮っていた。私もザックを置いて写真撮りの準備をしているうちに女性グループは引き返していった。

 左側にロープを張った急な下り道があったので、カメラだけを持って降りてみる。標高差95mを下から見上げると豪快である。真夏だったらさぞ爽快であろうことが想像される。帰りは、登山道を下ったが、U字状にえぐられ、滑りやすく歩きずらいので途中から林道コースに戻り下山した。女性グループはまだ帰っていないところを見ると、岩手山コースを更に登ったものと思われる。 森 記

コース・タイム:駐車場9:40野鳥観察舎9:50林道分岐10:05砂防ダム10:20七滝分岐10:25滝見台10:28  11:15発 駐車場11:50

H25.11.16

     和賀・駒ヶ岳 (標高1129.8m)   参加者:森、吉家、阿部


山頂より経塚山〜牛形山〜鷲ヶ森の大展望
 16日、足慣らしのため夏油三山の一つ、駒ヶ岳にいつものメンバーと登る。7時吉家宅を出発し、小一時間で「うがい清水」登山口に到着する。この時期、普通タイヤでは少し心配があったが、道は雪もなく濡れた路面は凍っておらず順調に到着できた。先客の車が2台止めてある。天気は上々、後を追うように出発する。

 背が高いミズナラやブナの林は、葉が散っても美しい。そんな中に、なだらかな安定した道が続き、木々の間から白く輝く経塚山も望まれる。その少し右手に駒ヶ岳を見つけ気持ちがはやる。快晴の空、陽射しが強く体温が上がって暑い。両側には雪が少々積もっていて気温は低いはずだが、約30分で我慢が切れて上着を脱ぐ。腕まくりをして涼を取りながら黙々と高度を稼ぐ。


うがい清水

素晴らしい森が続く

下の賽の河原にて

山頂の奥宮前にて
 約1時間少々で、下賽の河原に到着する。このあたりは登山道にも10cm程の雪が積もり、初冬の雰囲気が大である。経塚方面の景色を眺めながら、大休止を取る。駒ヶ岳の山頂・奥宮も良く見えるが、結構遠そうに感じる。

 賽の河原出発時に、雪が深くなりそうなのでストックを出して進む。周りの灌木帯は、まだまだ背が高く、夏場なら見通しは悪そうだ。しかし、木の葉が落ちて風通しは良く、火照った体を心地よく撫でる。10分程で上の賽の河原を通過、少し下り気味に尾根を進み、一気に急登に挑む。スパイク付きの長靴は、威力を発揮。

 熊笹や灌木の枝が顔を撫で、「邪魔スンナ・・」と文句を言いながら黙々と登ると、以外に早く山頂に着く。2名程が下り、先に登った1名が休んでいた。早速、雪景色を入れて記念撮影。数年前に立て替えられた奥宮は、まだドッシリと威厳を持って建っている。建設に携わったボランテアの皆さんのご苦労を思いながら、心ゆくまで景色を堪能し、のんびりと休憩を取る。

 昼食には早すぎるのでコーヒーを飲んでいると、次々と登山者がやってきた。更に休んでいると、次々と下っていく。・・勿体ない・・と思いながら更に山頂を堪能する。

 誰かが古い石碑の周りに、登ったと思われる山名を書いた丸く平べったい小石を数十個も置いてある。自然保護の観点から見ると、植物や石ころを持ち帰っても駄目、持ってきても駄目である。明らかに、違法行為である。こうした行為は何の意味も無い。持ち帰って貰いたいものだ。

 45分程楽しんで、汗が引いたところで下山開始。雪道は腐ってグシャグシャで、転ばないよう慎重に下る。登る人、数名とすれ違いながら一気に下り、中間あたりで小休止。雪が無くなると落ち葉が道を隠し、小石などを踏んで足裏が痛い。次は厚手の下敷きを入れようと思いながら慎重に下ると、程なく傾斜も緩くなって景色は素晴らしい大木の森に変わり、穴の空いたブナ等を見つけては楽しながら進む。

 そんな素晴らしい森を堪能していると、関東圏の山々を思い出した。上州・武尊・・高原山・・等、似たような風景があったぁぁ・・と思っていると、登山口に着いてしまった。うがい清水は、流れる音はするが落ち葉か邪魔をして飲むことが出来なかった。冬を迎えるため、掃除を諦めて駐車場に移り昼食を取る。

 登山口からの標高差は約500mだが、結構良い運動になった。お勧めは、新緑の頃かなぁ。真夏は、暑さに負けそうなので避けた方が良いと思う。熊出没注意の山。茸類は見あたらなかった。 阿部 記

コース時刻:うがい清水8:05−9:18下賽の河原9:30−10:05山頂10:50−11:40約750m地点11:50−12:10うがい清水

H25.2.2

      氷上山   玉ノ湯からピストン   参加者:森、吉家、浅沼、沖、阿部


展望岩から広田湾
 しばらく歩いていないので、皆さんうずうずしていた。「みんな足慣らしに行こう・・」の声で即決まり。2月2日、近場の皆さんを乗せて吉家宅を7時半に出発し、摺沢の沖さんと合流して高田の玉ノ湯を目差す。お空は曇天、小雨がぱらついていたがループ橋を渡る頃には薄日が差し始める。気温の予報は、久しぶりに10度を超えるという。温泉手前の杉林の路面凍結には少し緊張するが、快適に進んで9時少し前に到着する。

 全員、素早く身支度を整えて、積んでいったワカンやスノーシューは持たずに氷上山頂を目差して9時10分出発する。10cm程の積雪の林道を、快適にしばらく進むと登山口の道標が出てくる。いよいよ本格的な登りの始まりだ。杉林の中は積雪も少なく、いつも難儀する凍結もない。しばらす進むと、雑木林に変わって積雪も多くなる。気温が高いせいで、雪はザクザクと腐っている。幸い新しい踏み跡があり、それを頼りに黙々と高度を稼ぐ。9:46一本杉に到着して小休止を取る。


一本杉の上部
 10分程して腰を上げる。まだまだ登りは続き、積雪も増して場所によるが40cmから70cm程ありそうだ。踏み跡はあっても急に深みにはまり、ドップを行く吉家さんは難儀している。時折、鹿らしい足跡が登山道を横切る。元気いいなぁぁと思いながら、重くなってきた足を黙々と進める。長い尾根に差し掛かると、風の通りが良くなり汗ばんできた体を撫でて心地よい。いつもよりペースも捗らないが、久しぶりの山歩きなので丁度良いスピードだ。


祈祷ヶ原
 11時をまわって祈祷ヶ原に着く。高田方面は良く見えるが、山頂方面はガスに隠れている。時間を押しているので、登奈孝志荘には入らずに山頂に向かう。夏場なら15分ほどで山頂だが、更に足が重くなりゆっくりと進む。途中の展望岩で写真を撮っていると、2名の登山者と合流してしばし談笑。山頂の見晴らしは良くないらしいが、重い足を山頂へ向ける。11:50山頂に到着、見晴らし悪く、素早く写真撮影を済ませて小屋へ向かって下山開始。

 下りは早く、登奈孝志荘に入ると先ほどの2名がストーブを焚き暖めてくれていた。談笑をしながら昼食を取る。震災の応援に来てくれていた、岡山と山梨の方々だった。千厩町在住で、職務の合間を利用して昨年から近場の山歩きを始めたと言う。本当に、有り難い方々でした。3月には戻るとのことで、残念。



山頂1

山頂2
 13時、山荘を出発。少し陽が射し、風も大分弱まってきた。踏み跡は大分絞まってきただろうと思っていたが、結構、穴ボコになりやすく歩きづらい。それでも、さすがに下りは早くて楽だ。一本杉まで約1時間、小休止を取って足を癒す。・・何だか足がつりそうと思いつつ、再び下りに付く。14:36全員満足しながら玉ノ湯に到着。足慣らしのつもりが、足酷使をしてしまった。すぐに、温泉入浴に切り替えてドップリと温泉に浸かった。  阿部 記

コース時刻:玉ノ湯登山口9:10−9:46一本杉9:55−11:15祈祷ヶ原−11:50山頂12:01−12:22山荘13:00−14:02一本杉14:10−14:36玉ノ湯登山口

H23.11.20

      砥森山 670m:岩手県遠野市、花巻市境界) 登山者:沖


砥森山

コースタイム:大東町摺沢9:10==(約57Km)==10:10大平登山口10:15---10:55砥森山山頂(標高:670m)11:08---11:39大平登山口11:45===大岳温泉(奥州市大岳高齢者生きがいセンター)===大東町摺沢

 地図を眺めていたら田瀬湖の西側に1/25000図・野手崎(北西)に温泉マークがあるのを発見。丁度田瀬湖を挟んで等距離の東に砥森山(標高670m)があり、温泉マークを調査するついでに砥森山に登ることにした。温泉マークの場所に日帰り温泉施設があったら嬉しいなと淡い期待を持って、まずは初冬の低山歩きを久々に楽しむことにする。


山頂より田瀬湖方面

 砥森山への登山コースは大きく2通りあり、北東面から大平登山口、南西側から向田瀬登山口がある。久しぶりの山でもあり簡単に登れる大平登山口から取り付いた。山名の由来は砥石を産出したことによるとのことだ。また山ろくにある宮守町の由来になった山だそうである。登山口までは砥森山登山口と書かれた標識が要所要所にあり、迷わずスムーズに3台ほど駐車スペースのある登山口に到着。この日は一台の車もなく駐車スペースは貸し切り状態だった。


山頂部に設置された砥森山神社

 登山口から真っ直ぐ延びた牧草地を登っていくと、樹林帯に入り、そこにも登山口の看板。作業道との分岐にも登山口の看板がしっかり取り付けられており、迷うことはない。傾斜がきつくなる直前に種子のいっぱい混ざったやや大きめの黒いウンチが登山道に発見。感覚的には熊っぽいが、今更気にしても仕方がないので鼻歌を少し大きめに口ずさみながら耳をそばだてて登っていく。

 栃枯れの巨樹を通過すると尾根道になり、北側に進路をとると過去に建造物があったような平らなくぼ地がある。そこから急坂を僅かに登ると、石組みで囲まれた祠がありステンレス製の刀が建てられた砥森山神社に到着。


宮守方面

 早速いつもの儀式で両手を合わせて神様に沢山の願い事をして、それから樹間から見える景色を楽しむ。田瀬湖とそれに懸かる朱色の田瀬大橋を確認する。北の方向に見える町並みは宮守町か? その奥にガスの切れ間に見える高い山は何だろう? 前日の雨で視界は期待できなかったけれど、やっぱり地図とコンパスはいかなるときでも必要だったと後悔するも時すでに遅い。


大平登山口を振り返る

 三角点のあるピークのほうに行きたかったが登山道はなく、かなり降りてから登り返さなければならないようだったので、単独行では手抜き優先になってしまい向田瀬の方向へ少し降りかけて即撤退と相成った。

 下山後は大岳温泉を目指して車を走らすが、期待した日帰り温泉の施設はなく奥州市の福祉施設となっていた。日曜日は休館のようで玄関は閉まっており、玄関前に飾られた菊の花が寂しげであった。デイサービスの温泉入浴でもあるのだろうか? 沖 記


H23.7.2−3

    女神山      登山者:吉家

 翌日県内の国立病院退職者組合と現職中高年部との交流会が午後からあるので山にでも登ってから合流しようと思い7月2日午後出発する

 
2日14時20分一関を出発し途中、湯本温泉「スーパーおせん」で食料調達し沢内消防署で登山口までの道路情報を収集し悪路ながら崖崩れヶ所も通行可と聞きまずは覚悟を決めて登山口に向かう。途中で対向車とのすれ違いに苦労するが16時40分登山口到着。 熊に注意の標識も気にせず、ウイスキーの晩酌と何時もながらの粗食で夕食を済ませ就寝する。


白糸の滝
  3日 4時30分起床4時40分出発 10分ほどで白糸の滝に立ち寄り写真を撮りさらに進むと姫滝の標識あり行って見るが、滝らしい所無くコースに戻り爺滝を見ながら山頂までの直登コースに入る。所々に「下前分校児童の俳句符」(古くなっていて判読不能が多い)を見ながら急勾配を40分ほど登ると沢内側に展望の開けた所に出る(661m地点)。水を飲もうと思ったが水筒を忘れてきた事に気づく。諦めて少し緩やかになた斜面を15分ほど行くと水場あり、一口飲んでブナ見平分岐(県境)からまた急斜面になるがまもなく山頂到着(6:23)周辺をを見渡すが霧で何も見えず。


山頂にて
 証拠写真を撮り10分ほどして下山開始。ブナ見平分岐から県境の尾根筋に地図では少々のアップダウンを繰り返しながらの下りであるが、行くと良く刈り払いされている所に刈り払い機2台放置してある。今日も作業に来るのかなと思い頭を下げて通過し、約一時間チョットで岩清水・女神霊泉の滝に出る。小休止後(一番良い降る滝を見ないでしまった)少し登り白糸の滝を横に見ながら駐車場に8時到着する。朝飯前の登山で少々小腹が空いたので遅い朝食を済ませ「つなぎ温泉」に向かうが、林道の4Km区間で15〜6台の車とのすれ違いにかなり時間をロスし沢内街道に出る。

 コースタイム 
 2日 一関14:20→(湯田インター経由)女神山登山口16:40到着
 3日 登山口4:40→白糸の滝4:52→661m地点6:00→ブナ見平分岐6:07→山頂(6:23〜35)→ブナ見平分岐6:45→女神霊泉7:41→登山口着8:00


H22.10.23

      白見山  (1172.05m、 岩手県遠野市、下閉伊郡川井村、上閉伊郡大槌町境界) 山行者・文:沖 


登山口
 紅葉が多分見られるだろうと期待して、かねてから気になっていた一等三角点のある白見山に登る事にした。インターネットで情報を調べると、登山口から一時間程度で登れそうだと分かり、難しそうなルートもなく若干の藪漕ぎを覚悟すればよさそうなので、大東町を7時丁度に出発して遠野市を目指す。


琴畑川の渓流と紅葉
 ネットで取り出した情報を読みながらR282からR340に入り、一ノ渡バス停を見つけてそこを右折して琴畑川に沿って東へ向かう。集落を過ぎると舗装路から未舗装路へ、一気に山に向かう気分になってくる。しかし沢沿いの道は紅葉が美しくて快適だ。神社のある辺りは特に渓谷美が秀逸で、滝が流れ赤く染まったモミジの木の葉が白い流れとの対比が美しい。ここは帰路に車を停めてちょっとだけカメラマン気分に浸ってみた。

 そんな景色に見とれながら慎重に路面を拾いながら登っていくと、沢が二股になるがそのまま真っ直ぐに走り抜けると、開けた谷間の向こうの尾根筋から風力発電のプロペラ群が見えてくる。立派なトンネルを潜ってループを描いて少し走ると樺坂峠に到着だ。ここから真っ直ぐに進むと新山牧場、琴畑牧場の方向へ向かうが、自分は「金糞平の山桜」と書かれた標識に沿って進んでいく。するとネットで調べたヘアピンカーブを通過し、すぐに白見牧場の入口を通過する。ほぼ水平な狭い林道をそのまま進んでいくと、やがてT字路になり多分そこが白見山への分岐だろうと察しがつく。そのT字路の先に車を停めて山の支度をし、四周を見渡す。ブナやミズナラの混交林で、紅葉が始まったばかりで美しい。少し先に看板らしきものがあったので確認に行くと、そこには「熊に注意」の案内がありガッカリさせられる。


紅葉
 気を取り直して白見山の方向に歩き出すと、雑草が伸びて両側から林道を狭く塞いでいる。おまけに足元も湿っていてぬかるんだ所もあり、車を無理に突っ込まないで正解だったと納得する。僅か5分ほどで登山口になり、やっと読めるような朽ちかけた標識からここが登山口だと確認することが出来た。


白見山 山頂にて
 笹に覆われた斜面に紅葉した木々が広がっていて、明るい陽射しに赤、橙、黄、黄緑、茶色と沢山の色彩が混ざって、青空に透かすと趣を変えてまた美しく映える。浮かれ気分で覆いかぶさる笹を掻き分けながら登っていくと、ミズナラの巨木がペアで出迎えてくれる。写真を撮ってそのまま踏み跡をなぞりながら進んでいくと、さらに大きなミズナラが出迎えてくれる。そんな繰り返しをしているうちにブナも太くなってくる。しかし困ったことに刈り払いされてない登山道は、笹が目線を越えて高く伸びて覆いかぶさるため視界も無く足探りで登山道を登ることになる。「熊に注意」が頭をよぎり、ザックから笛を取り出してピリピリリーと精一杯笛を鳴らす。

 紅葉の美しさに感動しながらも熊の恐怖にも神経を使いながら、藪と化した登山道を脱出すると徐々に笹の背丈も低くなり密度も薄くなって登山道がはっきりしてきた。紅葉を愛でながら登っていくが、今度は徐々に傾斜が増してきて呼吸が苦しくなってくる。ここまで休憩なしに早足で一気に登って来たため、息切れでへばってしまった。


新山牧場の風力発電を望む

琴畑川上流部(樺坂峠付近
 ザックを下ろし水分を補給することでやっと身体が楽になり、最後の登りに気合を入れ直した。頭上に広がっていた紅葉も標高を増して行くと落葉した木々が増えて背後の視界がよくなってくる。振り返ると樹林越しに六角牛山、片羽山、五葉山などがシルエットで確認できる。

 登り出して一時間ほどで待望の白見山山頂に到着した。山頂部一帯は樹木も笹も切り払われているが、平たい山頂のため笹原から先の目の前に広がる樹林が邪魔をして期待した展望は得られない。楽しみにしていた早池峰とその周辺の山並みも見えないし、周辺に広がっているはずの放牧場なども望めなかった。期待が大きかった分だけ失望も大きくガッカリだったが、気を取り直して山頂部でセルフによる記念撮影をし、一等三角点(点名:白見山、標高:1172.05m)をカメラに収めた。またいつものように三角点の頭にタッチして、沢山の願い事を呪文のごとく唱えて山の安全などを祈願した。


木々の間から見える白見山
 下山も同じルートだが目線は下りのほうが広い視界を得られるので、紅葉をさらに沢山楽しめる。同じような写真を何度も何度も記録して、納得して無事に下山できた。心配した熊との遭遇も無く、この秋一番の紅葉を堪能して心地よい気分で安全運転して帰路についた。

 後日、金糞平の山桜を調べてみたが、樹齢300年のオオヤマザクラだそうで車を停めたT字路からさらに1Kmほど先に行ったところにあるようだ。一見の価値がある桜だそうで、5月中旬が見頃のようである。

コースタイム:大東町摺沢7:00==(約90Km)==一ノ渡バス停==(12.0Km)==樺坂峠==(1.4Km)==9:20T字路(駐車地)9:30---9:35白見山登山口9:36---10:22白見山山頂(標高:1172.1m)10:38---11:15白見山登山口11:18---11:23T字路(駐車地)11:33===大東町摺沢

H22.8.17

        峠ノ神山 (1229.68m:岩手県下閉伊郡岩泉町)  登山者:沖夫妻

コースタイム:旧新里村・刈屋トンネル出口===10:45新里牧場登山口11:00---11:30峠ノ神山(1229.68m)11:50---12:15新里牧場登山口12:30===亀ヶ森放牧場==宮古市==大東町摺沢

登山口から見た新里放牧場

 2010年の夏は酷暑を通り越して、とにかく暑くてどうしようもない。口だけで暑い暑いと言っていても仕方がないので、対処方法として手軽に登れる標高の高い山を探してみる。北上山地に希望を叶えてくれそうな山が幾つかありそうで、家内と三陸海岸を旅したついでに登山口から25分で登れる峠ノ神山を目指すことにした。

 前泊の田野畑村を8時過ぎに出発し、R45を南下しR106を盛岡方面に向かう。新里から岩泉に抜けるJR岩泉線に沿って走るR340号線に入って、刈屋トンネルを越えるとすぐに右折して新里牧場を目指す。この山の案内は山と渓谷社発行の「岩手県の山」初版に記載されており、そのガイドブックにしたがったルートを採る。道は狭いが舗装されているので安心感がある。ナビには国土地理院のウォッ地図から、林道が交差する登山口手前に座標数値を導き出してセットした。


登山口

 ナビの示すルートはもっと国道を奥まで走った和井内を過ぎてから林道に入るようになっており、帰路にその路面状況などの確認を含めてナビルートで戻ろうと考え、往路はガイドブックのルートに従うことにした。

 しかしそれも途中までで林道を少し走ると小さな分岐に遭遇、しかもナビおよびガイドブックと違った北山沢に入って行く方に舗装路が延びていて、轍もその方が利用されているように見えた。多分標識があったと思うが見落としてしまって、そのまま舗装路を慎重に走行していくと尾根筋に出たところで右から未舗装の道と合流した。その未舗装道路を確認すると見晴台や源兵衛平高原のガイドブックに示された方向からの道だったので、たまたま選択した道路が舗装路で正解だったと安堵し道なりに北のほうに向かう。


ノカリヤス

 目の前が一気に開けて開放的な放牧場が広がり、二つの穏やかなピークが行く手に聳えている。どうやらこの地点が25000図による源兵衛平高原で、ガイドブックの表記と若干の乖離がある。些細なことは無視して、目の前に広がる開放感は例えようもなく雄大だ。正面に見える二つのピークは、右が亀ヶ森、左が目的の山である峠ノ神山だと察しがつく。

 稜線付近のスカイラインを気分良く走り抜けていくと2棟の看視舎が見える。その看視舎の脇を通り過ぎていくと、やがてゲートがあり和井内からのルートとのナビにセットした合流点に到着だ。和井内ルートも合流点では舗装されていて、そこからごくわずかで峠ノ神山登山口に到着した。ナビはピンポイントでセットした目的地に案内してくれた。


キンミズヒキ

 登山口にはそれと示す「峠ノ神山」の標識があり、ロボット雨量計と思われる建造物があった。登山口の少し先に待避所があり、そこを駐車場代わりにして山の支度をする。なにせ登り25分の山であることから、荷物は簡単に山頂で食べる嗜好品と水分補給のお茶を持つ程度だ。


山頂(山頂の御夫妻、チョット合成してみました

 登山口から眺める景色も絶景だ。来し方を振り返れば緑の波が遠くまで延びて、いかにも岩手県の牧歌的な山の風情を満喫さしてくれる。目指す山も観光地化されてない静かな山で、登山口に山名を示す小さな標識があるだけで、草の生い茂った中に僅かな踏み跡を拾いながら少しずつ登って行く。足元にはゲンノショウコが多く咲いている。少し早ければウツボグサが一面に咲いていたようだ。 

 少し登って体が山慣れしてくるころに、いわゆる「かぬか」と呼ばれる草原に出る。この草原にはイネ科の植物が多く繁茂している。エノコログサやカゼクサだろうか、それともノカリヤスだろうか、とにかく穂先が気持ち良いほどに繁茂している。ヤマハハコやキンミズヒキも負けずに咲いている。

 一息で峠ノ神山の山頂に到着した。山頂部には峠ノ神山と書かれた新しい石碑がモナドノックの上に設置されている。三角点は何処だろうかと探してみると、何と残丘の後方2mほど下がったところに設置されていた。この三角点は点の記によれば一等三角点本点で、点名は亀ヶ森山、標高は1229.68mとなっている。ついでながら隣にある亀ヶ森山の三角点は、等級は三等三角点、点名は人迷、標高は1112.40mとなっている。


亀が森から見た峠ノ神山

 赤く塗られた一等三角点の頭をポンポンと叩いて挨拶代わりにし、いつものようにたくさんの呪文を無料でお願いする。残念ながら山頂からの視界は霞が強くて期待した遠望は得られず、早池峰や害高森など楽しみにしていた山を確認することはできなかった。また足元の踏み跡を注意深く確認しなかったため、下山途中でルートを見失うというおまけまで引き起こした。どんな山でも、やはり山は慎重でなければと痛感する。

 小さな道草を無視するかのようにあっという間に下山して、帰路に少し寄り道をして亀ヶ森の一本桜(大山桜)を確認しようと、舗装路を亀ヶ森方面に走行した。亀ヶ森方向から峠ノ神山を振り返ると、何処が山頂か分からないようなのっぺりした山に見えた。

 また別の目的だった一本桜に関しては、下れど下れどそれらしき樹木は見出せなかった。おまけに道なりに下った結果、和井内方面に戻らず釜石方面に向かってしまい、途中から林道がダート道になって路面も荒れていたりして、大幅な遠回りになってしまった。 沖 記

H22.6.12

        安家森 (標高:1239.07m、岩手県下閉伊郡岩泉町安家)  登山者:沖

コースタイム:大東町摺沢5:15==(約180Km)==8:25安家森登山口(袖山高原)8:40-8:53安家平-9:17平庭岳分岐-9:35遠別岳(1235m)9:45-10:00平庭岳分岐-10:28安家平10:30-10:48安家森(1239.07m:軽食)11:10-11:35安家森登山口11:50==(平庭山荘・白樺の湯@400円)==17:00大東町摺沢


安家森(右)と遠別岳(左)
 岩手日報社発行の「新・岩手の20名山」に安家森が選ばれているが、そこには『風のBGMと季節の彩を楽しめる。その心安らぐ景色は、太平洋に注ぐ安家川の源流地帯に広がっている。ブナの原生林をはじめ、ダケカンバやシラカバの林が迎えてくれる「かぬか」と呼ばれる野芝のスポットも、この山ならではの優しげなたたずまいを、より印象深いものにする。・・・』と書かれていて、袖山放牧場が南に広がる開放的な景色が大きく展開するところだ。


登山道入口
 岩手県は広い。滝沢ICを降りてからまだ2時間近く走らなければ目的地に到着しない。片道180Kmの距離は東北道でたとえると川口JCTから白河中央ICの先までの距離である。こんなに長い距離を走ってもまだ岩手県北部に差し掛かったところだと思うと、岩手県は途方もなく大きい。その大きな岩手県において、牧歌的な雰囲気を漂わせているのが北上高地で、袖山高原は如何にも岩手県らしい場所という風情を色濃く感じさせてくれる。安家森のある袖山高原はそんなところだ。

 登山としての魅力よりも高原を逍遥すると言うのが特徴的で、丁度深田百名山の美ヶ原や霧ケ峰が選定されたのと似た雰囲気を持つ。登山口には大きな駐車場とトイレが建てられており、その標高はすでに1159mである。道路の北側に安家森、遠別岳への指導標があり、出端で迷うことはない。広い登山道を少し下り気味に北北西に進むが、足元にはアヅマギク、スミレ、ニリンソウ、ズダヤクシュ、キジムシロが咲いている。ニリンソウに紛れてサンカヨウも咲いていた。


サンカヨウ
 歩き出して10分ほどで有刺鉄線の柵が出てきて、細いU字の防護柵を通り抜けると広々した「かぬか」が目の前に広がり、その奥に安家森(右)、遠別岳(左)が端正に座っている。踏み跡は二手に分かれていて左に進路をとると、100mほどで安家平に到着する。

 そこに一人、木陰で休んでいたのでてっきり山菜採りの人かと思ったが、聞くと放牧した牛を監視しているのだとのこと、示された方向に牛が20頭はいたろうか。遠別岳に向かうため安家平で再び柵を通り抜けるが、大きなダケカンバが快い日陰を作っていた。

 遠別岳、平庭岳の表示が掛かる湿っぽい登山道をほぼ水平に進んでいくと、小さいせせらぎにクリンソウが一株咲いている。その先のせせらぎにも一株、またつぎのせせらぎにも数株と、気づいただけで4箇所の沢沿いにクリンソウが咲いているのを見つけた。水気の多い森には大きなカツラがある。ガイドブックにはブナ、ダケカンバ、イチイなどの林と書かれているが、カエデも多く見られ紅葉時も綺麗に変身するだろうと勝手に想像する。また幾つもあるせせらぎが安家川源流の水源に相当する。


恐竜?
 進路を直角に北東方向に向きを変えるとすぐに平庭岳分岐、そのまま遠別岳の登りにとりかかるように真っ直ぐ進。ここが踏ん張りどころと休まず一気に登ろうとしたため、つまらない見栄のお陰で汗をみっちり搾られた。そんな登りにも面白いオブジェがあり、思わずカメラを構えたが、まるで恐竜が首を上げて辺りを見回しているような雰囲気だった。


遠別岳山頂
 もう少しと我慢しながら耐えていると、傾斜が緩やかになり正面が開けてきた。赤い鳥居が見えたと思ったら、そこが待望の山頂だった。遠別岳の山頂には三角点はない。山頂にある祠にいつもの呪文を唱え、落ち着いたところで鐘を鳴らしてみる。カッコウが啼く静かな山に甲高い鐘の音が意外に大きく鳴り響いた。山頂正面は南西方向に切り開かれていて、多分視界の先には岩手山が見えるのだろう。残念ながら今日は霞が強く遠くは見えないので、山岳展望は期待外れだった。でも袖山高原に建設された風力発電施設や、小さな雪渓が稜線下に二塊残されているのが確認できた。多分これら雪渓は「かぬか」を形作っているのかもしれない。

 山頂で汗ばんだ体を冷やし、安家平へ引き返す。途中の山中でガサゴソと異様な音が聞こえる。立ち止まって耳を澄ますと、やはり間違いなく何かが居る気配だ。一瞬凍りついてしまったが、冷静に考えてタケノコ採りだろうと思い至ると少し気楽になった。そうしているうちに不意に登山道に出てきたのは、案の定タケノコ採りの人だった。冗談抜きで山菜採りの人はラジオで存在を示してほしいものだ。ホント心臓が破裂しそうだった。

 そんなにタケノコが採れるものかと登山道から藪を注意してみると、太くて赤みの残った食べ頃のタケノコが一箇所で簡単に10本ほどゲットできた。今夜の肴に丁度良い収穫量になったので、ザックにしまって安家平に戻る。安家平には誰も居なかったが、放牧された牛が安家森に向かう自分をしっかり見つめていた。牛との距離が近づくと、襲ってこないかと気を揉んで目を合わすことに躊躇する。緊張の瞬間を過ぎて後方に離れて牛が休んでいるのを確認すると、もう安心と胸を撫で下ろして安家森へ向かう。


安家森山頂にて
 岩屑が積み重なったところが登山ルートで、非常に歩きにくいが振り返ると「かぬか」が大きく広がって開放的な景色を見せてくれる。安家平から20分弱で待望の安家森山頂に到着。一等三角点(点名:遠別岳、標高:1239.07m)が設置され、その手前にケルンと割れた安家森の標識が置かれていた。山頂到着の儀式として三角点に軽くタッチし、いつものように沢山の事柄をここでも呪文の如くつぶやいた。山頂到着の記録に、割れた標識を手にとってセルフで記念撮影する。

 安家森山頂はさすがに一等三角点だけあって展望が素晴らしい。360度の展望が得られるが、残念ながら遠目が利かないので近場の山だけ確認する。眼下の芝生の「かぬか」の先に登山口が見え、その左に霞んで望めるのは遠島山か。それ以外で気になりそうな山は見出せなかったが、北上高地の凹凸の少ないたおやかな山容を十分楽しませてもらった。


平庭高原のレンゲツツジ
 安家森山頂で一人のんびりとコーヒーを飲みながら展望を満喫していると、ポカポカ陽気で睡魔に襲われる。今が一番紫外線の強い時期でもあり、木陰のない山頂を避けて早々に下山。楽しい山歩きは簡単に終わって、あっという間に駐車場に到着。

 帰路に平庭山荘で入浴することにし、昼食は登山口駐車場の少し手前にあるレストハウス袖山高原にて名物のカルビ定食を食べる。安価で美味しかったが、私には少し量が多すぎた。また平庭高原ではツツジ祭りが催されていて、入浴代も100円引きで利用できたほか、シラカバ林を走り抜けた先にある白樺荘周辺で見頃のレンゲツツジ、ベニバナイチヤクソウに出会うことができた。色とりどりに花が咲く白樺林を散策してから帰路に就いた。

H22.1.31
       氷上山(874.7m、陸前高田市・大船渡市) 山行者:吉家、森、阿部


一本杉にて
 某日、某所で「しばらく行ってないから・・」と吉家氏から声がかかった。ん・・寒いとばかり言っていられない、久しぶりに雪のない落ち葉の日溜まりで足慣らしをすっぺ・・と高田の氷上さんに向かうことなった。

 31日早朝、車の屋根にうっすらと粗目雪。どんより曇った空の下、吉家宅出発が7時半となった。県道19号から国道343号の今泉街道をひたすら東へ進む。殆ど白い物は見られなかったが、大原あたりからは雪景色に変わり笹ノ田峠は少々緊張しながら通過する。ん十年ぶりのループ橋に感激しながら下ると再びの春模様に安堵感を覚えるが、向かう氷上山上部は白く冬模様。テンションが上がったり下がったり、竹駒神社から玉乃湯へと急ぐ。


尾根に向かって
 8時45分頃、玉乃湯より更に少し車道を進み次の登山口に車を置く。・・なにが・・落ち葉の日溜まり・・。積雪約10cmの真っ白い山道が待っていた。想定通りではあったが、さすがに寒い。おまけに粗目雪がパラパラと舞い落ちる。ぎっちり着込んで8時55分出発だ。

 杉林の中に続く林道を5分ほど進むと右側に登山道が現れ、車道から離れて小さな沢に向かって少し下る。沢を渡ると本格的な登りが杉林の中に続き息も上がる。やがて雑木林が混じり出すころ、ゆきが氷を隠して滑りやすい傾斜へと変わる。先を行ったと思われる人の足跡をたどりながら、尻餅をつかないよう慎重に高度を稼ぐ。出発から約20分、最後の杉の木である一本杉に着き、上着を一枚脱いで火照った体を乾かす。


小屋前の広場
 10分ほど休み腰を上げる。積雪は20cmほど、相変わらず粗目雪が舞い落ちている。更に足下に気を付けながら、慎重に高度を稼ぐ。背の高い雑木林に陽光が気持ちよく・・と感じたいところだが、ガスも混じり見通しも悪く冷たい風も加わり完全な厳冬期の山模様。やがて傾斜が緩くなり、西尾根コースの核心部となる。ん十年前の風景を思い出しながら、更に深くなった雪上を慎重に踏み進む。

 鹿やウサギの足跡が、至る所で雪上を横切っている。ガスがなければ広田湾等が木の間から見え隠れはずだが、冷たい風と粗目雪が顔をなで、目立ってきたツツジの小枝が耳を叩く。膝を庇いながら平坦部を黙々と進むと少し登り西の祠が建つピークに出る。景色の良い場所ではあるが、少し立ち止まり風景を思い出して我慢をする。ここからすぐに下り道となり、避難小屋の建つ広場に出る。


氷上山 山頂にて
 小屋に寄るのは後にして、山頂に続く緩い傾斜をひたすら進む。約15分進むと山頂との掲示があったが、中の祠でカッカリ。積雪は30cm位、更に10分ほどかけて東の祠が建つ山頂に到着する。周りにあった灌木は切り払われてスッキリ見通しが良いようだ。しかしガスは途切れず、見晴らしは効かない。はい!栗駒山・・早池峰山・・大船渡湾・・広田湾・・と、指さして、刻んである脳裏から景色を引き出す。足跡の主である地元の方と談笑し、記念写真を撮って避難小屋へと引き返す。

 下りは速い、13分ほどで小屋に着く。気仙沼から来たと言う3人組が、ストーブを暖めていた。早いが昼食を取りながら皆さんと談笑・・。吉家さんが、6月には開通するから是非栗駒へと宣伝すると「数年前の栗駒山山開きで、某新聞にインタビューされ写真が載った事がある」と言うグループだった。小屋には何でも揃っているが、地元の方の了解がなければ使えない様子。良識ある利用を心がけたいものだ。


気仙沼の皆さん(避難小屋内)
 12時少し過ぎて小屋を出る。粗目雪は止んだが、ガスは相変わらず濃く気温も少し下がった様子。ツツジの小枝には、小さな霧氷が付いている。膝加減もまあまあで、歩幅の広い皆さんに何とか合わせてピョンピヨンと付いていく。冷たくなった背中も、やや乾いて暖かくなっていく。一気に一本杉まで来てしまい、大休止を取る。

 再び氷の隠れた急傾斜。下り道なだけに、全員更に慎重に足を運ぶ。太い桂の木を過ぎると、程なく車道に出る。靴を履き替えること無く、玉乃湯に直行するが駐車場は満杯状態。少し離れた所に車を止めてのんびりと温泉に浸かり汗を流す。山の魅力に取り付かれたと言う叔父さんや、地元の温泉好きの叔父さんに須川温泉を宣伝しながら暖かい話で談笑・・。久しぶりの雪山散策は、なかなかのものでしたねぇぇぇ・・。摺沢のラーメンも、うんめぇがったちゃねぇぇぇ・・。 阿部 記

コース時刻:一ノ関7:25(車)8:45玉乃湯上部登山口8:55−9:15一本杉9:25−10:45山頂10:55−11:08避難小屋12:10−12:47一本杉−13:08登山口 


H21.8.8

    女神山  (956m 西和賀町)


登山口

白糸の滝

尾根のブナ林
 奥州市の元職場の山仲間から誘いがあって一緒に登ってきました。7時30分に元職場駐車場に集合。懐かしい面々がそろったところで出発。高速秋田道の湯田インターで、北上、花巻方面の皆さんと合流し出発。


降る瀧
 登山口までの林道は未舗装で狭く、ところどころに崩落後もあり、ゆっくり進行。登山口の駐車場は10台くらいのスペースがあり先客2台停まっていた。身支度して出発。総勢20名。

 登山口からすぐ沢へ急な階段の下り、一本橋(工事用の鉄板)を二つわたると間もなく「白糸の滝」入り口である。急な坂を下りると滝の真下に出る。爽やかな音としぶきは夏の暑さには最適な休憩場所である。

 引きかえし、来た道を進むと右に女神山直登の登山道、左へなだらかに下ると女神霊泉、岩清水と小さな瀧が続き、沢を渡って左を沢沿いに進むと、「降る瀧」落差50Mが現れる。見ごたえ充分。

 戻ってブナ林の登山道にをひたすら登る。風もなく汗が滝のように流れる。動きを止めるとアブが寄ってくる。勾配がきつくなったところを登りきると尾根に出る。左側からの風が気持ちよい。緩やかな尾根を進むと、直登コースとの分岐に出会う。急な登りを20分ほどで頂上である。


山頂の森氏

イサワビョウイン山の会の皆さん
 頂上は刈り払われているが、どんよりと霞んで展望は良くない。昼食後、急な坂を周りの木につかまりながら真っ直ぐに下ると、今朝登ってきた道に出会い、駐車場に戻る。

 帰りは、温泉で汗を流し、着替えて帰路に着いた。 久しぶりに、体の中に溜まった悪汁を噴出した一日でした。 (森 記)

コース・タイム:一関6:40 水沢7:15 7:40発 登山口9:15 9:30発 白糸の滝入り口9:40 白糸の滝 9:45 白糸の滝入り口10:00 降る瀧入り口10:20 これより200m 約5分降る瀧登山口10:30 尾根11:30 分岐12:00 頂上12:20 13:00下山 登山口駐車場14:20


H21.5.16

       櫃取湿原(約940〜1,000m:岩手県下閉伊郡岩泉町釜津田)

 一昨年、青松葉山登山のついでに櫃取湿原を歩いており、湿原の入口は分っていた。念のためカーナビに緯度、経度を入力して走行したが、ナビは確実にピンポイントで入口の駐車スペースまで案内してくれた。その駐車スペースには監視員の車が一台と、すでに入山している車が一台という状況だ。

 標高1000m近い湿原では周辺のダケカンバやミズナラといった木々はまだ新芽が出ていない。ここに来る県道は眩いばかりの新緑で感動しながら運転してきたが、松草峠を越えると驚くほど緑が少なくまだ冬の眠りから目覚めてないように感じる。でも放牧場は緑が萌えだして、牛が気持ち良さそうにミズバショウを踏みつけながらせっせと草を食んでいた。

 特段の仕度もなく運動靴を長靴に履き替えてリュックを背負い、カメラを首に掛けて杖を持って出発する。ゲートを勝手に開けて通り抜けして、暫く舗装路を歩く。牛の放牧を眺めながら西に向かい、舗装が途切れてS字を回り込むと櫃取湿原の起点部が近い。

 櫃取湿原の起点に着くと湿原への入山に当たっての注意事項や湿原の特徴などが書かれた看板が設置されているが、案内図はなく湿原に設置された番号標識に沿って勝手に湿原に入り込まないようにとの注意書きがある。番号標識はこれでもかと思うほど狭い間隔で取り付けられており、湿原を守り観光地化を嫌う地元の意思なのだろうか。指定された標識と踏み跡に従ってゆっくり湿原を散策しながら、ノロメキ沢の上流部へ入っていく。

 湿原は放牧場になっていて沢筋に沿ってミズバショウが葉っぱを少し大きくなりつつ白い花を少し遅かったかなと言う状態で咲いている。そのミズバショウを平気で踏みつけているのは放牧された牛たちで、人様は所々設置された木道と、それをつなぐ踏み跡に従って大人しくルートに沿って散策する。

 期待の花は少し遅めのミズバショウのほかは、ネコノメソウが咲いている程度で、アズマイチゲやヒメイチゲは終わりに近い。代わってギョウジャニンニク、ハンゴンソウが新芽を伸ばしだしている。小鳥が多く枝々をつないで視界から隠れた位置に飛び移っていく。双眼鏡を出して観察してみようと思っても、枝に止まるときは木の幹に隠れた死角になった場所に止まるためさっぱり要領を得ない。

 草地が少なくなって周辺にハクサンシャクナゲが目に付くようになると湿原もお仕舞で、その場所は40番目の標識で終点となっている。前回はここまで来ないで引き返したが、今回は周りの景色に気をとられているうちにいつの間にか終点まで簡単に来てしまった。

 この湿原は季節によりミズギクが咲くようだが、尾瀬のように沢山の花が咲き乱れるようなところでもなさそうだ。でも観光地化されないで自然を保っていければやはり素晴らしいところだし、いつまでもこのまま残しておきたいところだと痛感する。

 帰路は往路をそのまま引き返すが、ミズバショウの花を何度か被写体にしてカメラに収めた。天候にも恵まれ駐車場に戻る道すがら、牧場から谷の開けた方角に青松葉山がたおやかな山頂を見せてくれた。また帰路は若葉越しに早池峰の大きな山容を見ながら県道を下り、爽快なハイキングの締めくくりに色を添えた。  沖 記

コースタイム:大東町6:30==(約140Km、水沢・盛岡南IC@800円)==9:00櫃取湿原入口9:15---9:30櫃取湿原起点---10:30湿原終点---11:30櫃取湿原起点---11:45櫃取湿原入口11:55===害鷹森へ


H21.3.1

         東根山(928.38m:岩手県紫波郡紫波町大字南伝法寺)


東根山の全容
 天気予報の晴れの予報にじっとしていられなくて急遽山の計画を立て、ちょっとだけ足を延ばして東根山を目指す。朝の目覚めは芳しくなかったが、のろのろしながらザックにお茶、お湯を準備し、カンジキを車に積んでアパートを出発。前回同様、高速道路は通勤割引を利用して水沢・紫波間を半額の650円で下車。

 目指す東根山は随分白く、手前の田圃もまだ雪に覆われている。ラフランス温泉館の北端にある東根山登山専用の駐車場に駐車したが、駐車場は一面雪に覆われて轍の跡がない。先行の車は5台と少なく、適当に空スペースに駐車する。


登山口
 登山口から積雪があり、長靴しか準備してこなかったことに反省しながら、二重に履いた靴下の間にホッカイロを挟んで寒さ対策とし、念のためにカンジキをザックに取り付ける。合羽のズボンをスパッツ代わりにして、上着はセーターだけ、デジカメを首からぶら下げてダブルストックで出発する。

 出発当日朝の大東町の有線放送では熊が冬眠から覚めて、摺沢地区で目撃情報があったと報じられていたが、東根山登山口の看板にも熊の絵があって一瞬ドキッとさせられる。この東根山は入山者が多いから熊の心配は無用と思われるが、足元の登山道はカリカリに凍っていて滑りやすく熊より転倒に注意しながら登っていく。


雑木林の明るい登山道
 登山口から山頂まで5000m、行程の半分2500m地点が一の平で、ここまで45分の所要である。丁度一本立てるのに都合のよい地点で、呼吸を整えながらちょっと小腹をアンパンで満たす。

 これでやっと元気が出てきて二の平を目指す。水場分岐では水場に進路を採った人は居ないようで足跡は近道と書かれた右側にしか残っていない。二の平(山頂まで1800mの標記)で右に折れて踏み跡に沿って登っていくと、一本杉が雑木の中に目立って道しるべになっている。昨年登ったときは蛇石展望台に立ち寄ったが、今回は雪が岩を覆っていて誰も寄り道しておらず、分岐の少し先で一本立てて山頂広場に向けて呼吸を整える。


雪庇
 展望広場の手前の急坂を登っているときに、顔見知りの山仲間が降りてきて「やあ、やあ」と立ち話。展望は良いとのことに、益々期待が膨らむ。そして雪庇の張り出した斜面を右上に見上げながら巻いていくと、もうそこは山頂の一角にあたる山頂広場だ。


東根山 山頂
 期待通りの大展望が展開していて、北に岩手山が大きく、その左に秋田駒ケ岳まで白い峰が凹凸を繰り返しながら連なっている。やっぱり岩手山は大きくて高い。天下の秀峰だと惚れ惚れしながら眺める。場所を少し西に移動すると和賀山塊が大きく広がっているのがよく見える。中でも羽後朝日岳が際立って白くて、三角形で格好良く見える。和賀岳から標高を落として左に見えるのは真昼岳。女神岳は何処かと探しているその左奥に薄っすらと鳥海山が一際高く聳えている。


秋田駒ケ岳遠望
 南西から南東方向は霞んで良く見えないが、焼石連峰は薄っすらと峰と空の区分けが出来る。北上平野の白く染まった奥に早池峰が格好良い。一通りの展望を楽しんで北東に雪庇になった春山ルートで、一等三角点のある山頂に向かう。ブナに囲まれた東根山の山頂には東根山と書かれた標柱と一等三角点(点名:東根山、標高:928.38m)が設置されているが、今日は雪の下に埋もれていた。

 早々に山頂を辞して雪庇の写真を撮りながら展望の良い山頂広場に戻り、岩手山を正面に見ながら簡単に昼食のおにぎりとトン汁を食べる。山頂広場には誰も居ない。この雄大な景色を独り占めしていると申し訳ない気持ちになってくる。食事を早目に切り上げ、再度、名残を惜しむかのように360度の展望を楽しんで、下山。


山頂広場にて
 途中で昼食のため休憩していた二組を追い越して、一気に駐車場まで駆け下る。所要は丁度一時間だった。結局、今回は一度も土を踏むことなく山を降りた。

 山の仕度を解いて、目の前にあるラフランス温泉館のヌメッとしたお湯で身体を伸ばす。手足の指の先まで血が通いだすのが分かる。やっぱり山の後の温泉は最高。  沖 記

コースタイム:大東町7:40==(約85Km:650円)==9:00東根山登山口駐車場9:15---10:00一の平10:13---10:23水場分岐---10:29二の平---10:43一本杉---10:55蛇石展望台11:05---11:25山頂広場11:38---11:43東根山山頂(928.38m)11:48---11:55山頂広場(昼食)12:15---12:45一の平---13:15東根山登山口駐車場(入浴@ラフランス温泉館:700円)14:15==(約85Km:650円)===大東町


H21.4.11

          花巻・八方山(716.62m:岩手県花巻市大字大田)


八方山遠景(尻平川ルート手前から)
 2007年秋に長根崎コースから八方山を登っているので、今回は尻平川コースを辿って早春の八方山を目指す。目的はスプリングエフェメラルを感じることで、イワウチワやカタクリを期待しての登山といえる。GPSに登山口となる場所を緯度経度で入力しておいて、それを目当てに走行すると寸分の狂いもなく八方山登り口を示す標識のところに導かれた。その分岐を更に林道を奥まって入り、田んぼと林道の分岐点にあたる少し広いところに駐車したら、おばあさんが遠くから何か言ってきた。聞くと本日堆肥を運ぶからその場所に駐車するなとのこと、もう少し奥まったところに駐車するようにとのことで、言われた杉木立の間に車を停めて支度を開始する。


セリバオウレン
 遠めに見ても山頂付近に雪が残っているのが分り、長靴を履いて出発する。平坦な杉林を少し進むと指導表があるY分岐に出て、それを左に進路を採り軽トラックなら走行できる山道をゆっくり山に近づいていく。いつの間にか登山道らしくなりカラマツ林になると、林床の登山道脇にはセリバオウレンが一面に咲いている。我がデジカメではこの花へのピントは合わせ難く、老眼で小さな液晶画面を見ての作業は労ばかり大きい。


イワウチワ

ショウジョウバカマ
 今時分は雪融けと共に咲き出すショウジョウバカマが登山道脇に赤紫色に丸く染めて目を楽しませてくれる。ただ何となくカメラに収めたいというインパクトに乏しく、そのまま次々と見過ごしながら山頂に向かう。尾根筋に出る頃になってカタクリが咲いているのと出会い、その先にはイワウチワも咲いている。やっと期待の花々に出会えてカメラを構える回数も一気に増えてくる。


ブナの根開きと山頂の祠
 ブナとミズナラの混交林になったあたりから林床には雪が現れ出した。登るに連れて残雪も多くなってきて、夏道が時々分からなくなってルート探しをしなければならなくなってくる。所々に赤テープが残されているが、それに頼れるだけの表示でもなく、ある程度の勘を働かせて登っていく。時々現れる夏道に軌道修正したり、ルート上にあることを確認したりしながら、いつの間にか長根崎ルートとの分岐に到着。

 この先はもう夏道は見えずブナの林の中の急斜面を一直線に山頂を目指す。息があがるところだが山頂も近いことが分かっているので、ここは我慢と亀足で一歩一歩を確実に標高を高めていく。傾斜が緩んで根開きのブナが目に付きだすと、もう山頂の祠が近い。


山頂の祠にて
 登り始めて一時間半で山頂祠に到着。紅葉の長根崎ルートでも同じ所要時間で登ったが、今回の早春の尻平川ルートでも同じ所要時間だった。誰も居ない山頂で早速いつものように沢山の願い事を無料でお願いし、更に奥にある三角点を目指す。往復約10分で八方山の三角点山頂(二等三角点、点名:八方山、標高:716.62m)を踏んできたが、三角点は雪に隠されて見えなかった。

 祠に戻って記念写真をセルフで撮り、花巻方面を見下ろす根開きしたブナの幹に寄り添って昼食をする。今日はかすみが強くて北上平野すらぼんやりしている状況で、山の展望は全く駄目だった。

 下山は自分の踏み跡を辿りながら、慎重にルート確認しながら下っていく。心配したほど雪が腐ってなくて、踏み抜いて靴の中に雪が入って困ることもなかった。標高も下がり、まばらに消え残った雪を見るようになるとまたカメラが活躍する。登りに撮りそびれた花々をゆっくりファインダー越しに眺める。意識はプロカメラマンになっている瞬間だ。失望はシャッターを押したときから始まることを何度も懲りずに体験することになるが・・・。  沖 記

コースタイム:大東町8:10==(約65Km)==9:25尻平川コース登山口駐車場9:40---10:50長根崎(大田)コース分岐---11:10八方山山頂(716.6m:昼食)11:50---12:00長根崎(大田)コース分岐---12:45尻平川コース駐車場12:50===大東町


H21.1.17

          種山(物見山)(870.59m:岩手県気仙郡住田町世田米)


唐松林の直線登山道
 新雪が降った後の種山高原に久しぶりにスノーシューで遊ぼうと摺沢をゆっくりの時間に出かけた。道中も路面は白くて、ゆっくり慎重に走行する。いつもの遊林ランドの駐車場は、相変わらず登山者が居ない。今日は比較的暖かな気温だったので、除雪不十分な登山者用の駐車場に駐車して山の仕度を整える。


雪で枝がしなる林
 積雪は登り口で50〜60cm程度だが、雪が柔らかくて坪足では到底歩けない。スノーシューでもバージンスノーを歩くため、下がアスファルトの遊歩道も予想以上に沈む。しかしそこは文明の利器、スノーシューは浮力十分で流石と感動するものの、一歩一歩に負荷が掛かって運動不足の身体にはかなりきつい。フリューベルの広場までの一直線の登りが特にきつく、ここで息切れしてしまった。所要は約35分だった。


残丘と霧氷
 フリュ−ベルの広場から傾斜は緩くなって唐松林の一直線に採られたルートを歩くが、そこには兎の足跡が沢山あり今朝の縦横に遊びまわった痕跡がしっかり残されている。眩しい日差しを背に受けて白銀の世界を、兎の足跡を楽しみながら呼吸を整えつつゆっくり登っていく。いつの間にか晴れていた空が厚い雲に覆われてしまい、無風状態の樹林帯が随分暗くなってきた。


山頂部の岩と標柱
 雨量計観測所に通じる車道を横切り、ツツジの生い茂る低潅木帯になると急に風が強くなってきた。種山高原の吹きっ晒しの風は冷たく、「風の又三郎」も凍てついてしまいそうだ。明るかった空も鉛色に変わり、しかもガスも出て俄かに冬山の様相になってきた。

 今日はのんびりと残丘(モナドノックス)の写真などを撮ろうと思って登って来たが、霧氷の付着した小枝が風に震えて定まらずシャッターを押すチャンスが無い。結局納得するような写真も撮れず、ガスでぼんやりした山頂の一角をカメラに収めて、早々に山頂部を辞して往路を引き返した。 沖 記

コースタイム:摺沢9:40==(32Km)==10:35種山登山口(遊林ランド)10:50---12:25種山山頂12:35---13:40遊林ランド(入浴@500円)14:20===15:10摺沢


H20.5.24

         女神山 955.80m(岩手県和賀郡西和賀町)

 腰の調子が少し改善してきたことや、翌日の日曜日は雨との予報で、霞の強い白っぽい青空ではあったが久しぶりに山に向かった。高い山はまだ花の時期には早いだろうと、ブナの新緑を楽しめ滝見物も出来る女神山に登ることにした。


林道から女神山を望む
 大東町から水沢に抜け北上・藤根からR107号を横手方向に錦秋湖を経て湯田温泉に入る。県道1号線のトンネルを抜けて程なく「白糸ノ滝」の標識に沿ってT字路を左折し、5Kmほど走ると右に「白糸ノ滝」の標識がある。ところがこの林道の入口に思いもかけない大きな看板で「車両通行止」とバリケード閉鎖。

 車を停めて入口にある案内板より白糸ノ滝まで、まだ5Kmもあることが分った。また良く考えると通行止めをする場合は、警察の許可とか工事期間とかが明示されているが、そんな表示も無く、これは地元の山菜採り保護のための部外者締め出しだと判断し、勝手にゲートを動かして車を進入さす。フジ、タニウツギの咲く5.3Kmの林道を慎重に走行して、終点の女神山登山口駐車場に到着すると、すでに3台が駐車されていた。


岩清水
 蒸し暑い天候だったが女神山まで往復3時間はかからないと、軽い気持ちでコンビニおにぎりとペットボトルお茶をザックに入れて、片手に杖、首からタオルとカメラを提げて出発する。ブナ林の登山口を出端から階段状に下っていくと、程なく白糸ノ滝への分岐に到る。帰路に滝見物をすることにして先を急ぎ、しばらく水平に進むと姫滝の分岐標識があり、その先の小さな沢を飛び越えると直ぐに女神山登り口分岐に到る。県境コースは下山路に採る事にしてブナ林の尾根に取り付く。


降る滝
 見渡す限りブナの新緑に覆われて清々しく、和みの森に全身から癒されていくが、蒸し暑くてゆっくり歩いても汗は癒しに比例して噴き出して来る。急坂を過ぎて少し傾斜も緩やかになり、足元にツクバネソウ、マイヅルソウの花に慰められながら新緑の真っ只中を歩く。ブナ林の広がりが大きく見えるところで一本たてて、ザックにしまってあった団扇を取り出して涼風を顔面に送る。

 傾斜の緩やかなブナ林を癒されながら登っていくと、所々に面白い格好のブナが目に付く。巨木と言われるブナは少ないが、立ち枯れてぽっかり空いた空間には、これから太陽を求めて熾烈な戦いが行われようとしている。新緑のブナ林は多彩な表情を見せてくれて、見飽きることは無い。

 しかし標高が上がるにつれて増えてきたのは羽虫だ。汗の匂いを感知してか、油断をすると一面に顔や腕に纏わり付いてくる。団扇でパタパタと扇いで追いやっても追いやっても付いて来る。これには閉口してしまう。県境尾根分岐の手前から山頂まで羽虫の大群に襲われ、ゆっくり休むゆとりも無い。


女神山 山頂

真昼岳遠望
 やっとの思いで女神山の山頂に到着。山頂には女神山と書かれた標柱と、三等三角点(点名:女神山、標高:955.80m)および昔の山林局が設置したと思われる三角点も併置されている。ガイドブックには視界の無い山頂から西に視界の良い場所があると書かれており、山頂手前から分岐する道を左に進むと北西に開けた展望台地があった。北側に真昼岳が至近距離で見える。その右肩に和賀岳が霞んでぼんやり見えているが、羽虫が邪魔をしてゆっくり展望を楽しむゆとりが無い。西南にはこれから進む県境が延びている。眼下には新緑のブナ林が大きく広がっているが、期待した鳥海山はガスっていて見えない。展望もそこそこに羽虫を避けて山頂部を退散する。北に兎平へ向うルートはちょっと進んだだけで薮になっていた。今はそんなルートを歩く人はいないのだろうか。

 団扇を最大限に活用して羽虫と戦いながら下山開始。県境尾根分岐から往路と離れて県境へ向う。足元はミヤマカタバミの白い花が多い。相変わらず羽虫に攻められるが、急ぎ足で歩くと羽虫の攻勢も弱まってくる。県境ルートは歩く人が少ないのか、刈り払いされてないのかちょっと笹が登山道を隠し気味になっているところもある。

 誰も居ない静かなブナの森に一人で居ると、美しい森に癒されながらもフッと不安がよぎってくる。ゆっくり景色を堪能しながら歩こうと思っていても、自然と足早になってきて早く西南方向から南に方向を転換するところまで来ないかなと、逃避する気持ちが増大してくる。

 期待した曲がり角に至ってルートの約半分を歩いたことに安心をし、再び心にゆとりが生まれてくる。南に方向を変えて直ぐにコシアブラの若芽が目に付くようになってきた。何本かの枝を手繰り寄せて美味しそうな若芽を採取し、一人分の夕食用ビールの肴にさせてもらった。心にゆとりがあると何でも出来るものだと、我ながら呆れてしまう。


ブナ見平
 コシアブラの細い樹が沢山あり、もっと摘もうかなと思う欲を抑えつつ下っていると、ガイドブックに休憩ポイントとある「ブナ見平」に到着。ここで指定どおり一息入れて、食べそびれた昼食分のオニギリを一つだけ食する。羽虫もいつの間にか居なくなり、ブナの林を快調に下っていく。


サンカヨウ
 前方に樹林越しに女神山の三角形の山頂部が見えてきて、それに気をとられていると足元に白い花が目に付く。なんと私の好きな花、サンカヨウがいくつも花を咲かせていた。見頃をやや過ぎているが、それでも幾つかの花株をマクロモードで写す。今年最初のサンカヨウとの出会いだ。

 思いがけない花に気分良くジグザグ道を下っていくと、沢の音が聞こえだし、前方が開けて直ぐに沢に降り立つ。そこには「岩清水」が二条の流れを岩に沿って白い筋を見せている。頭上の岩壁には新緑にヤマツツジの赤い色が映えて、際立って美しい。沢の上流部には「降る滝」が中々見応えある姿で出迎えてくれた。カメラのアングルを変え、シャッター速度を変えて何度かトライするが、乱れた呼吸では腕が震え身体もふらついていて納得の写真は撮れない。

崖に咲くヤマツツジ


白糸の滝とシラネアオイ
 登山道に戻り、直ぐ下流にある「女神霊泉」は標柱が倒れていたが、足元には可憐なシラネオアイが咲いている。これまた今年最初の出会いであり、嬉しくて思わずシャッターを押す。女神山登り口分岐を過ぎ、締めくくりに「白糸ノ滝」を見るべく谷に下りる。ちょっと急峻なロープの張られた崖を降りて、下前川を飛び石伝いで右岸に渡り「白糸ノ滝」を正面から見えるところに到着。するとここにも一輪だけシラネアオイが滝を背にして咲いていた。格好の被写体を見つけたりと、滝を背景にしてシラネアオイを撮る。

 「白糸ノ滝」は全国何処にでもあるが、この滝もまた白い布を広げたような水流で美しい。女神山を代表する滝だと納得する。「白糸ノ滝」と対峙する様にキバナイカリソウが数輪、名前と同じ形の花を白っぽく咲かせていて清楚だった。

 帰路、沢内バーデンに立ち寄って、上着まで汗で濡れた身体をさっぱりして、雲が増えてきた北上路をエコ走行で大東に戻った。 沖 記

コースタイム:大東町6:50==(約100Km)==9:00女神山白糸ノ滝駐車場9:15---9:25女神山登り口(分岐)---10:25県境コース分岐---10:40女神山山頂(955.80m)10:55---11:05県境コース分岐---11:26県境から南下11:30?(コシアブラ採取)?11:48ブナ見平11:52---(滝見物:降る滝、岩清水、女神霊泉)---12:42女神山登り口(分岐)---(滝見物:白糸ノ滝)---13:15女神山白糸ノ滝駐車場13:25===13:55沢内バーデン(入浴@300円)14:45===16:30大東町

H20.4.28

  兜明神岳1005m) 岩手県下閉伊郡川井村)岩神山1103.03m) メンバー:沖 章夫、昌枝(計2名)


登山口のウオーキングセンター
 青松葉山に登ったときに区界峠で見た兜明神岳山頂部の岩が、区界高原のシンボルのような印象を受けて、花冷えで震える気温の中を家内と登ることにした。区界高原道の駅でトイレ休憩をしたが、なんと昨日までの初夏の陽気が一転して霰が降ってきた。登山口駐車場には一台の車も無く、霰がひどくなって車の中で少し様子見をして天候の収まるのを待つ。暫く待つと少し落ち着いてきたので、身支度を整え往復2時間強の軽いハイキングのつもりで出発する。


スプリングエフェメラル
 登山口がウォーキングセンター駐車場と言う事で軽いハイキングルートが色々と整備され、区界高原を散策するようにコースレイアウトされている。幾つかあるハイキングルートのなかで見晴山との鞍部に向かう一番ポピュラーなコースを採ってハイキングを開始する。登りはじめからカタクリやキクザキイチゲ、アズマイチゲが寒さに震えて花びらをすぼめて咲いている。


兜広場と山小屋
 霰は雪になることも雨になることも無く時々強まったり、また小休止したりで天候は安定しない。気温は低く手袋をしていても暖かさに慣れた身体には冷たく、衣類に付着する霰の白さがやたら寒々しく感じる。呼吸を乱すことなく見晴山との鞍部に到着し、そこを右折して兜明神岳へ標識に従って登っていく。まもなく放牧地の草地に出て、それを登りつめた稜線部が「かぶと広場」だ。そこには山小屋があり芝生の広場が広がっていて、晴れていれば絶好の昼食ポイントと言える。


兜明神岳
 「かぶと広場」から南に反時計回りに兜岩の基部を巻く様に半周すると、兜神社からのルートと合流して兜岩に取り付く。兜岩の中ほどに方位版があり、早池峰などの方向を示されている。今日は風が強く霰が顔を打ち良いコンディションとは言えないけれど、とにかく三点確保を基本にして確実に兜岩の頂を目指す。


兜明神山頂の祠
 5mほど低い南にある小さな祠にまずお祈りし、次いでルートを変えて山頂部に至り山頂にある祠に到着。風が強くて立って写真を写せないので、岩に屈み込んで霰の吹きすさぶ360度の展望を急いで見回す。青松葉山は何処かなとコンパスを合わせてみるものの、ガスっていて良く分らない。これから向う岩神山が丸く山頂部にアンテナが高く聳えているのが分る程度。区界高原も霞んでカメラには吹雪く霰がしっかり写されている。


岩神山
 暫くすると急にガスが晴れてきて霰も止んだ。風は相変わらず強いがこの瞬間にカメラを回して適当にシャッターを押す。眼下はダケカンバの樹林が大きく広がっている。放牧場の伐採跡が良く見える。ゴルフ場のような酷い山肌の禿と違って、放牧場は広々していて見る側の気持ちも大らかになる。


区界高原を望む
 直ぐにまた霰に襲われだしたので急いで兜岩を降りて「かぶと広場」に戻り、そのまま北に岩神山に向かう。広い車道のような道を少し下がり気味に北に向うと「うまっこ広場」の開放的な草地に出る。ここもまたのんびり昼寝を楽しむには最高の場所だなと思いながらも、今日の天候はそれを許さずただひたすらに北に向う。


岩神山より兜明神岳
 緩やかな登りが続くハイキング道は快適で、足元にはイワウチワの葉っぱと思しき葉が一面に敷き詰められているが、花芽が一つも無いことからどうも違うようだ。樹木は相変わらずダケカンバが多くブナやミズナラも混ざる落葉樹で覆われている。小さな草地を抜けると岩山が二つのピークを持つ岩神山に到着。手前の雑木がこもる方に二等三角点(点名:岩神山、標高:1103.03m)が静かに埋設されている。


アンテナ広場と岩山
 アンテナ広場の向こうにフェンスを巻くように進むともう一つの大きな岩山があり、踏み跡にしたがって登っていくと小さなテラスのある頂に出る。視界はこの岩山のほうが遮る雑木が無くて圧倒的に素晴らしいが、生憎今日はいずれの山から見てもガスと霰で良く見えない。霰は時々止んで青空が急に広がったり、また俄かに降り出してガスに覆われたりと天候が急変して落ち着かない。逆にそれだけ気温も下がって不安定になっていることを証明しているようだけれども。


見晴らしにて
 昼食を食べ損なってばかりで、空腹に力も出なくなり「うまっこ広場」手前まで戻って、広い景色を見ながら樹林の中で軽く空腹を癒す。そして「うまっこ広場」から違う樹林ルートで「かぶと清水」を経て見晴山の鞍部に戻ったが、このルートにはカタクリやアズマイチゲが一面に咲いていてスプリングエフェメラルを堪能できる。しかし今日は寒さに花も閉ざされたまま下を向いている。でも群落は縮まないので、その雰囲気はカメラに残すことにする。

 見晴山の鞍部に出てそのまま往路を引き返すのも芸が無いので、見晴山に登ってみる。すると天気も晴れて来て太陽が出て急に暖かくなってくる。区界高原の広大な景色を眼下に眺める絶好のポイントで、兜岩も良く見えるようになってきた。早池峰も裾野だけだが見えるようになってきた。そんな風景をカメラに収めてここで再び軽食を摂ってから駐車場へ別ルートで下る。


貞任湿原

貞任高原の風車群
 帰路は往路を戻らず兜神社に参詣して、遠野を経て大東町に戻ることにした。途中の遠野地方にある貞任高原に寄り道して、貞任湿原のミズバショウを見物。また貞任高原に建設された風力発電のプロペラが天空高く回転するのを、冷たい風に吹かれながらカメラに収める。遠野市に向う途中の路面温度計の表示は0℃を示していた。真冬に戻ったような気候にちょっと面食らった一日となった。 沖 記

コースタイム:大東町8:00==(約120Km、水沢・盛岡南@800円)==10:00区界高原ウォーキングセンター駐車場10:30---11:15兜明神岳(1005m)11:25---12:05岩神山(1103.03m)12:20---13:15見晴山(昼食)13:40?(自然少年の家経由)?14:05区界ウォーキングセンター14:15===兜神社===貞任高原===大東町



H20.4.20

      青松葉山 1365.63m:岩手県下閉伊郡岩泉町)


登山口を振り返る。
 早池峰の北に位置する青松葉山は期間限定の山として、岩手日報社の「いわての雪山&ハイキング」に紹介されている。この青松葉山は岩手県の岩泉町と川井村の境に位置していて、登山道が無く無雪期では藪がひどく、そのため積雪期の藪ガ雪に覆われているときに限定して登山を楽しむことが出来る。しかも登山口となる立臼峠へは県道171号大川松草線の冬季閉鎖解除を待たなければならず、今年は積雪が少ないことから予定を早めて4月10日開通となった。と、まあ、制約だらけの山であり、以前から気になっていたが今までチャンスはなく、今回天候も回復基調であり二日酔いも回復して勇躍出かけることにした。

 時間節約のため高速道を利用して盛岡南ICまで北上し、区界峠を越えて川井村に入る。JR山田線に沿って満開になった桜を見ながらのドライブは快適だ。ほどなく岩泉町への分岐標識があり、この標識に沿って右折し、県道171号線に入る。舗装された県道の路肩には雪はほとんどなく、山肌にも雪は無い。雪不足を心配しながら予想より早く峠に到着、ゲートから約8Kmの距離だった。特に定めた駐車場は無いが、路肩に駐車スペースがあり、早く山を降りた人の空スペースに辛うじて駐車する事ができた。数えるとマイクロバス2台を含めて、合計で13台駐車していた。


小ピークから青松葉山
 登山口にも雪は無くダケカンバと牧場の境界辺りを登っていくと書かれている通り、境界がはっきりしているのでとっつきで道に迷う心配はなさそうだ。上空には青空が大きく、目の前には放牧場の伸びやかな高原風景が広がる素晴らしい景色が待っていてくれた。しかし風が冷たくて支度中も何度か風に煽られる。高揚する気持ちを抑えながらスパッツをつけ、念のためにカンジキをザックに取り付け、ダブルストックでいざ出発。


区界高原
 区界高原の伸びやかな景色を背にして、雪がまばらに残った牧場の縁をゆっくり登っていく。風は冷たいが緊張しているので余り気にならない。少し登るとスキー登山の一行が車道を経て合流。その先には管理棟跡があり、米軍基地跡だと教わる。念のために写真を撮るが、単なる事務所の基礎跡の様にしか見えない。それよりも雪が少なくて先行きが不安だ。

 管理棟跡から林道を少し歩き、東に真っ直ぐ赤いリボンに入口を教えられて藪に分け入る。車の数の割りにトレース跡が分かり辛く、所々で立ち止まって確認するところもある。また雪の締まりも悪く、踏み抜いた跡が随分多い。所々で雪が消えてネマガリダケを踏み越して行かなければならず、前途が思いやられるが見渡すとダケカンバの林が見事だ。

 踏み跡や赤テープを頼りに緩やかな傾斜を東方向に登っていくと、進路が左になり小さなピークに至る。ここには三等三角点(点名:湯の沢、標高:1185.00m)が設置されているようだ。このピークから北東に青松葉山が良く見える。また目の前に広がるだだっ広い雪尾根には所々に青々としたネマガリダケが露出している。ダケカンバの林が見事に赤味を帯びて尾根一面を覆っている。


根性カンバ
 これから登る山を記念撮影して緩やかな斜面を下っていくと、所々に見事なダケカンバの巨木が見られる。下って直ぐに面白そうな造詣をしたダケカンバがあるが、これは「根性カンバ」と名付けられているそうだ。見るからに風雪に耐えて曲がりくねりながらも生き長らえられてきたという風に見える。他にも色んな形をした太い幹の巨木が多くて感動的だ。

 踏み跡がネマガリダケの藪の中へ消えているところも多くあり、特にこの辺りのネマガリダケは太く立派で、これが立ち出したら手に負えないと感じる。今日はまだ藪漕ぎといえるほどひどい藪にはなってないが、あと一週間もすればかなり厳しい登山を強いられそうな気がする。


青松葉山 山頂の沖氏
 緊張のせいか休息もとらずひたすら歩き詰めだったため、最後の登りでさすがに息が切れだした。ちょっと立ち止まって呼吸を整える回数が増えだしたが、そんなことをしているうちに傾斜も緩やかになりダケカンバの林も背が低く幹も細って、岩手の山では一般的に見られるような景色になってきた。


立ち枯れた笹
 小さな雪庇が現れて暫くすると、アオモリトドマツが見られるようになる。すると山頂は間近だとガイドブックに書かれていたが、程無く視界が開けて大きな雪庇が正面に見える。もう山頂へは指呼の間だが、雪庇の上に立つと南にデンと大きく早池峰が霞んでいる。何人かが雪庇の下の風下で昼食をしている。登山者に出会ったのは登り始めて直ぐのスキー登山の一行と、山頂に至る息切れ状態の時の10名ほどの団体だけだった。

 雪庇の上から早池峰の写真を撮って山頂に向かう。山頂には団体が丁度引き上げるところだった。二人組みが残ったので、その人に頼んで山頂での記念写真を撮ってもらった。山頂はアオモリトドマツに山頂を示す標識が掲げられているだけで、二等三角点(点名:青松葉山、標高:1365.63m)も雪下に沈んでその所在は分からない。写真を写してもらった二人組みも立ち去り、一人樹林の中の山頂に残り四周を歩き回ったが、視界は得られず薄暗い山頂から早池峰の見える明るい雪庇に戻る。


櫃取湿原と青松葉山遠望
 自分も雪庇下の風下で腰を下ろすべく腰掛けやすいように雪を均し、銀マットを座布団代わりに敷いて昼食の準備をする。今回も春雨スープにコンビニおにぎり、それに自家産の八朔だ。正面にぼんやり霞んだ早池峰と枝振りの良いダケカンバを見ながらの食事は、ずっと休み無しで歩いて来たため本当にホッとするひと時となった。


ノロメキ沢
 ゆっくり体を休めて再びザックを背負い往路の足跡を拾いながら下っていく。でも往路と大して時間は変わらない。心なしか雪解けが進んで藪が大きくなったような気がする。でも下り方向はネマガリダケも進路方向に倒れているので所謂順芽で踏みつけやすく、足を取られることも少ない。立ち枯れた笹の葉は黄色くなっているが、これは冬の間も雪の上に出ていたためだろう。太すぎるがゆえに雪に倒れず、結果として枯れてしまうのかも知れない。

 無事に登山口駐車場に戻り一つ未知の山を登ったことに安堵し、峠の少し下にある櫃取湿原を目指して車を走らせる。ほんの数分で何の表示も無い橋手前の駐車スペースに車を止め、カメラだけ提げて長靴に履き替えて舗装路を放牧場に向かう。勝手にゲートを開けて放牧場に入るが、牛はまだ放牧されていない。2Kmほど歩いてやっと櫃取湿原に到着、看板には指定コースから外れないようにとの注意書きが書かれている。一番から順に表示が狭い間隔で立てられてあり、その指示に従って湿原を散策する。


キクザキイチゲ
 ミズバショウには早すぎ、今はキクザキイチゲが白、青、紫に咲いているくらいだが、ノロメキ沢の流れを何度か丸太橋で横断して放牧地の中を奥に向かっていくと次々に変化のある景色が展開し、これがまた素朴で素晴らしい。もっと花の咲いているときにゆっくり散策したいと思いながら、今日は風もあって花の写真を撮るには無理があるので程々で切り上げて引き返した。引き返す途中で正面には先ほど登った青松葉山が大きく横たわっていた。頂上部だけ黒っぽく見えるのは、アオモリトドマツなのだと直ぐに理解できた。

 県道171号を下っていると正面に早池峰が山で見たよりクッキリ見えてきた。山を見る標高が下がり仰角が増したこともあるが、雪を纏った早池峰が途方も無く大きく立派に見えた。 沖 記

コースタイム:大東町7:00==(約135Km、水沢・盛岡南@800円)==9:30青松葉山登山口(立臼峠)9:45---10:00管理棟跡---10:20小ピーク(1185.0m地点)---10:45鞍部---11:30青松葉山山頂(1365.63m:昼食)12:10---12:40鞍部---13:10小ピーク13:15---13:30管理棟---13:45青松葉山登山口13:50==(約2.5Km)==13:55櫃取湿原入口14:00--(櫃取湿原散策)?15:25櫃取湿原入口15:30===15:35青松葉山登山口==(約135Km、盛岡南・水沢@800円)==18:00大東町


H20.3.23

     東根山 928.38m:岩手県紫波郡紫波町大字南伝法寺)


東根山遠望
 岩手県のほぼ真ん中にあって標高1000mに満たない低山でありながら、第一級の展望が得られるとのことで是非登ってみたいとかねてから願っていた東根山に向かうことにした。天気予報は季節外れの春の陽気で快晴とのこと、願ってもない天候だが身体は日ごろの不摂生でどうも調子が出ない。昨日も好天気だったが早起きが出来ず、一日アパートに居て窓を開放にして布団を干し男臭を風に流した。

 今朝は普段どおりに起床してそそくさと準備し、逃げるように大東町を出発し山に向かった。ところが急ぎすぎて肝心のカメラを忘れてしまった。しかしつい先日携帯電話をムーバからフォーマに切り替えたばかりで、遅ればせながらカメラつき携帯になっていて、それを頼りに山に登ることにする。展望を期待する山に登るのに、こんなことでよいのだろうかと思いながら、いまさら引き返すこともしたくないのでそのまま車を走らす。

駐車場

 高速道路は通勤割引を利用して水沢・紫波間を半額の650円で下車。目指す東根山は台形状に北上平野の西端に盛り上がっているが、予想より雪は少ないように見える。ラフランス温泉館の北の端に東根山登山専用の駐車場があり、大きな看板で初めてでも簡単にその場所に導かれる。そこには8台の車が駐車してあった。

 念のためにカンジキを持参してきたが登山道入口の印象から長靴だけで十分だと判断し、カンジキは車に残し長靴にダブルストックで出発する。暖かい気温にシャツ一枚だけでセーターはザックに入れたままだ。ザックに取り付けている簡易の寒暖計は15℃を越えているように見える。

 駐車場先の登山口には登山カード入れがあり、東根山まで5Kmあることや紫波三山ルートなどの表示板が掲示されている。それを横目で見て林道の登山道を汗をかかないように意識してスローペースで歩くようにするが、どうしても一人だと早足になってしまう。登山口から続いた杉の植林された人工林は、一ノ平まで続いた。一ノ平には山頂まで2500mの表示、つまり距離的に半分歩いたことになる。


山頂手前

 この一ノ平で一本立ててお茶を飲み、飴で糖分を補給する。一ノ平を過ぎると進行方向左の山側は自然林、右の谷側は杉林になっている。それもまもなくでいつの間にか杉林は無くなり、水場への分岐を近道と書かれた右側に進路をとって登って行く。

 そこから5分ほどで水場からの道と合流し、さらに1分ほどで二ノ平(山頂まで1800mの標記)に到る。この先、一本杉が雑木の中に目立って道しるべになっている。雪が山肌一面に覆われるようになり、南に開けたところに蛇石展望台がルートを外れた所にあり、高度感のある足場から紫波の町並みと早池峰が望める。丁度真東に早池峰が見えるため、右に谷を隔てて薬師岳が見慣れない形で存在感を示している。

 先行パーティーにやっと追いついたと思ったら、もうそこは山頂の一角にあたる展望広場だった。余りの展望に思わず歓声を上げ、正面に鎮座する岩手山に見入ってしまう。一呼吸置いて我に返って落ち着いて足元を眺めてみると三角点と書かれた標識が右方向を示している。この展望広場には展望盤も設置されていると言うが、一面雪に覆われていてどこにそれがあるのか分らない。


東根山 山頂

 山岳展望は簡単に一通り見回して、まず最初に北北西に雪庇になった春山ルートで三角点のある山頂に向かう。約10分弱でブナに囲まれて視界の無い東根山の山頂に到着。東根山と書かれた標柱と三角点(点名:東根山、標高:928.38m)だけ陽だまりに露出しており、一回り大きい一等三角点の頭をタッチし山頂の記念写真を撮る。この先に南昌山に向かうルートが北に延びている。


岩手山遠望

 早々に山頂を辞して展望の良い広場に戻り、岩手山を正面に見ながら無風快晴の雪面にマットを敷いて昼食用のおにぎりを食べる。展望を肴にしての食事はたとえようもなく贅沢なひと時だ。それにしても岩手山が周辺の山々で一番高く、横綱の貫禄で白く威風堂々と鎮座している。その左側は秋田駒ケ岳に至るまで幾つか白い起伏が屏風のごとく大きな高みを保ったまま左(北西方向)に延びている。真西には和賀山塊がこれまた長々と白い峰を連ねている。左(南)側にあるピークが和賀岳のようだ。

 さらに左に一旦白い峰が途切れて、ちょっと抜きん出た山が見えるが、これは真昼岳だと帰宅してカシミールで判明。それよりもう少し左奥の方の西南西方向に遠くぼんやりと霞んでピラミダルな山が他を抜きん出て聳えているが、この山は見紛うことの無い鳥海山の雄姿だ。南には焼石の山々が白い峰を持ち上げている。栗駒山は焼石の峰に消されて見えない。東に目を転じると北上平野の先に早池峰がやはり大きい。


秋田駒ヶ岳遠望

 見飽きることの無い岩手山の片富士の裾野の先に低いが七時雨山が見える。さらに先ほどの東根山山頂稜線に少し隠されて姫神山が美しい裾野を広げている。南には山王海ダムがあり、花巻方面の低山がボコボコと沢山の凹凸を見せている。ナメトコ山はどれかなと探してみるも、さっぱり要領を得ない。

 こんな豪勢な展望を見せてくれるのに肝心のカメラは携帯電話に付属しているヘナチョコカメラとは情けない。それでも一応望遠機能もついているようで、色々と構図を考えてカシャカシャとセットされたシャッター音を響かせて記録する。


和賀岳遠望

 足元が冷えてきたことや数名の団体が入れ替わったのを潮時にして、展望の山を十分に堪能して東根山の山頂展望台を辞することにする。下りは高温で雪が腐りだしていたため、何度か雪を踏み抜いたが長靴の中に入り込むようなことも無く、快調に一気に下っていく。下山時は二ノ平の先から水場のほうに降りるルートを歩いた。

 陽射しの良いところには春を教えるフキノトウが沢山芽を出していた。美味しそうだったが単身の身では後始末が大変と、そのままそっとしておいた。駐車場に戻り目の前にあるラフランス温泉館に立ち寄り、そこで入浴をし、休憩室で食べ残した昼食の残りを片付けてから帰路に就いた。帰路は高速を利用せず県道13号を南下し、北上市和賀町藤根にあるザゼンソウ群生地に道草をして丁度見頃になったザゼンソウを見物した。 沖 記

コースタイム:大東町7:35==(約85Km:高速利用)==9:10東根山登山口駐車場9:20---10:05一ノ平10:10---10:20水場分岐---10:26二ノ平---10:55蛇石展望台11:00---11:20山頂展望地11:22---11:30東根山山頂(928.38m)11:33---11:40山頂展望地(昼食)12:05---12:33二ノ平---12:45一ノ平---13:15東根山登山口駐車場(ラフランス温泉館で入浴:700円)14:35==(約90Km:北上藤根ザゼンソウ群生地見学)==16:30大東町


H19.11.4

     仙人山 (882.16m:岩手県北上市和賀町仙人)


登山道入口
 紅葉も里に移り、山は冬に向けて準備を急いでいる。今日は全国的に好天気に恵まれるとの予報に、じっとしていられず山に出かけることにした。事前準備として体力回復を図るべく栄養ドリンクを週半ばから飲みだし、その効果で何とか今朝は早起きできて朝霧の中を出発する。


秀衡街道の広い登山道
 目的の山は1000mを越えないで比較的近場の山、そして温泉が近くにあるという条件で検索して、錦秋湖の近くにある仙人山に登ることにした。

 R107を西に和賀仙人駅を過ぎ、工場地帯を抜けて和賀川の橋を渡る直前を左に、工場へ入る道と勘違いするような道を入る。少し走ると、舗装が切れてその僅か先に姥杉専用駐車場がある。ここに車を停めて山の支度をするが、時間が早いためか登山者は居ない。これでは熊に心配しなければならないかなとちょっと不安になるが、余り神経質にならないで支度を整える。

 駐車場から林道を少し進むと鳥居があり、仙人山登山入口の標識も設置されている。大きなケヤキだろうか、その横を通ってJR北上線のガード下の沢を越えると気持ちの良い山道になる。落ち葉で黄色く染まった広い山道は秀衡街道と呼ばれ、昔から金を運んだ道だったとか。所々でその名残のような苔むした石積みが見られる。


久那斗神社
 またこの道は現在では鉄塔巡視路にも利用されていて、随所に分岐があり鉄塔に導かれる。一番紛らわしかったのはY字路にあった標識で、ここには中央の杭を挟んで左に「左矢印と仙人山」、右に「久那斗神社」と書かれていて、右に行くと久那斗神社だと思ってしまう。右矢印がないことから久那斗神社へ登る人も左だと案内しているのだが、勘違いする人が多く下山時に二組の夫婦連れが間違えて鉄塔に導かれていた。


姥杉の威容
 丁度この危なっかしい表示のあるY字路付近が一番の紅葉見頃の標高にあり、ブナが逆光に映えて黄土色に輝いていた。林床はシダ類が多く、登山道脇にはカタバミが多く見られた。

 標高480m付近に仙人峠があり、ここに姥杉の巨木と少し先の尾根上に久那斗神社奥宮が祀られている。もっと低いところに峠を造れなかったのかと疑問も湧くが、理屈抜きで姥杉の巨木は立派で一見の価値がある。案内板によると「樹齢約900年、幹周り11.5m、樹高約30m」とかで、林野庁の「森の巨人たち100選」にも指定されているとのこと。現在この姥杉保護のため根っこを守るべく迂回路を設けているが、下山時に出会ったパーティーは気にせず大杉に近づいて見上げていた。


ブナ林の紅葉
 久那斗神社奥宮の小さな境内にはベンチも置かれて休憩場所を提供してくれる。山の安全を無料で祈願して鈴を鳴らし、ここから尾根に沿った細い登山道を南に向かって登っていく。

 登り出してまもなく巨大な鉄塔に至る。綺麗に刈り払われた鉄塔の足元から和賀川と登山口の工場を眼下に眺めると、丁度和賀川の両岸が紅葉の見頃になっている。石羽根ダムの左上方向には早池峰が霞んで見える。

 鉄塔を過ぎると稜線は傾斜を増してくる。ブナの木が多いが若木なのか全般的に幹が細い。斜面東側つまり左側は潅木で囲われているが断崖になっている。稜線に沿った登山道は急傾斜が続くが、そんなところはトラロープが取り付けてくれており、ありがたい。足元にはまばらにイワウチワの葉が見える。

 やがて見晴らしの良い706m地点の第一展望台に到着。ここには四等三角点と思しき石柱と壊れたベンチがあり、錦秋湖やその奥に続く山並みが良く見える。毒ヶ森山域も一望できるが、山座同定できるだけの知識は持ち合わせていない。気になった三角点を後で国土地理院のネット地図で調べたが、そこには三角点はなくどうも別の石柱のようだ。


毒ヶ森山塊と手前はR107
 細いブナの森を相変わらず尾根に沿って急傾斜を登っていくと、やはり東側の足元が切れ落ちた第二展望台に至る。標高はかなり稼いでいて羽山が随分低く見えるようになる。この第二展望台のすぐ先に岩沢と夏油を結ぶ林道から登ってくる登山道との分岐になるはずだが、その場所は気づかずに通り過ぎてしまった。


仙人山の山頂プレートと三角点
 仙人山山頂へは小さな登り降りを繰り返して、やっと笹薮に囲まれた最高地点の台地に到着。山頂には二等三角点(点名:仙人山、標高:882.16m)が頭を僅かに出した状態で設置されていた。また山名を書いた小さなプレートは三角点から少し離れたブナに掛けられていた。飾り気のない質素な山頂は好印象だが、期待した展望は北西方向が僅かに望めるだけだった。

 セルフで記念撮影を行い簡単に昼食を済まして、あまり長居することなく引き上げることにした。山頂から見えた北西方向の「山」文字型の頂はどうやら真昼岳のようだ。また下山途中、南の方角に山頂直下に大きな屋根が見えたが、多分夏油温泉スキー場の施設のようで高い山は兎森山であろう。その奥には牛形山も見える。


石羽根ダム越しに見る仙人山(中央)と日帰り温泉(右)
 下山時は慎重に下ったつもりが急坂で何度か足を滑らし、尻餅をついてズボンを汚してしまった。下山後は仙人山の全容を眺めるため石羽根ダムの対岸に渡り、湖を前景に逆光の山を写した。その先の湖畔に建つ「つなとり温泉」で内風呂と露天風呂をハシゴしながら、ゆったりと左右に聳える羽山と仙人山を眺めた。結構な借景とお湯であった。 沖 記

コースタイム:大東町6:30==(約70Km)==8:00姥杉専用駐車場8:20--9:15姥杉(久那斗神社)9:25--9:55第一展望地(706m地点)10:00--10:20第二展望地--10:30仙人山山頂(882.16m:昼食)10:55--11:25第一展望地(706m地点)--11:45姥杉(久那斗神社)11:50--12:20姥杉専用駐車場12:35==(入浴:つなとり温泉@500円、約70Km)==15:00大東町

H19.10.28

   花巻・八方山 (716.62m:岩手県花巻市大字大田)
 
 毎週登山でバテ気味な身体に鞭打って岩手の里山に紅葉を求めて出かけました。


大田部落から眺める八方山
 紅葉も終盤を迎えて里山が見頃を迎えるようになり、今回は花巻市の西にある初心者コースの東北自然歩道にも指定されている八方山に登ることにした。登山ルートは南東側の尻平川コースと東側の長根崎コースがあり、杉林の尻平川コースとガイドブックに書かれていたので、紅葉を求めるには長根崎コースが良かろうと思い、東側から登ることにした。


長根崎コース登山口
 ところが長根崎コースの登山口は県道37号からだと入口がちょっと分りにくく、高村山荘を起点にして地図上のルートをトレースして何とか登山口を見つけた。しかし駐車場は前日の雨でぬかるんでいて、ドアを開けても車から出られないような状況だ。先行車5台はそれなりの場所に駐車しているが、私の後はスペースはあるが多分駐車する気にならないと思われるひどい場所しか残ってなかった。

 何とか車を置いて山の支度を済まし、明るい日差しの下、林道を西に八方山を目指して登りを開始する。今日は気温も暖かく風も穏やかで絶好の登山日和である。期待した紅葉も登山口から色付いており、カエデ、ナラと松が多い混交林の中を緩やかに標高を上げていく。

 空気が赤や黄色に染まっていそうなほど視界がカラフルな暖色に染め上げられて、そんな景色を見ているだけでもうきうきしてくる。カエデは真っ赤に、また真っ黄色に変色し、コシアブラは薄黄色に色彩が抜けているように見え、ブナは黄色と茶色の混色になり、雑木林がそれぞれ思い思いの色彩に衣装替えをしていて、そのグラデーションの見事さは言葉で表現できない。

 次々に色彩が変化して楽しませてくれるため、一気に山頂まで突き進むことになる。四等三角点付近は真っ赤なカエデが印象的だったし、山頂直下のブナの急坂は明るい黄葉が見事だった。陽射しが発色を際立たせてくれ、今日も沢山シャッターを押した。頭上ばかり気にしているのではなく、足元を注意してみるとイワウチワやショウジョウバカマの葉っぱが多く見られ、春先もまた楽しみな山であることが分る。


ブナ林に囲まれた広く平坦な山頂の祠
 ゆっくり休む暇なく一気に山頂に向かったので最後のブナの急登は息が切れそうになった。暖かくて思い切り汗をかいて山頂に到着した。その山頂直下は花巻方向だけブナが伐採されていて視界が良い。ブナの山頂には小さな祠が祀られている。しかし三角点はこの平坦な山頂には無く、山頂の少し奥まったところに小高い雑木に囲まれたところに設置されていた。この二等三角点(点名:八方山、標高:716.62m)まで登ってくる登山客は少ないようだ。私は儀式として三角点にタッチし、写真を撮って納得する。

 期待した八方山からの展望はブナの林に邪魔されて焼石岳方向の山は殆んど見えず、駒頭山などの毒ヶ森山塊の山並みも写真に撮るような景色にはならず、山座同定もままならない状況だ。しかしいずれの山も標高は高くなく、どんぐりの背比べで山登りの対象にはなりにくい。おまけに宮沢賢治の本にあるように「熊がうじゃうじゃ居た」という山域では尚更だ。

 下りも紅葉を楽しみながら往路を引き返した。登りに思い切り汗をかいたので、帰路は千貫石温泉に立ち寄って、山の汗を流した。ヌメッとしたかけ流しの湯は心地よかった。 沖 記


コースタイム:大東町8:30==(約70Km)==10:05長根崎コース登山口駐車場10:15---11:00四等三角点11:05---11:35尻平川コース分岐---11:55八方山山頂(716.6m:昼食)12:30---12:45尻平川コース分岐---13:08四等三角点---13:40長根崎コース駐車場13:50==(入浴:千貫石温泉@300円、約70Km)==16:00大東町

H19.10.14

   高倉山・三角山  ゴンドラに乗って・・千沼ヶ原を展望


岩手山遠望
 職場のOB会懇親会の前に、「山へ登りたい」という要望があり私が案内することなり、網張に9時集合。参加者は女性3名と男性1名、ちょと肌寒さを感じるなか、防寒装備をした登山者はリフトで次々と登っていく。さて我われはどこにしようか三ツ石か犬倉・黒倉か、それとも高倉か迷いましたが、高倉のほうの紅葉が良いということで雫石スキー場駐車場へ出発。


三角山と乳頭山
 身支度をして、ゴンドラに乗り込む。ゴンドラから眼下の盛岡市街、後方に岩手山を眺めながら空中散歩を楽しみながら山頂終着駅へ。紅葉した低灌木帯に作られた道を進むと高倉山山頂である。靄がかかって展望はよいとはいえないが灌木の中は風もなく暖かく登山日和である。



高倉山を望む
 ここ1408mから黄葉したぶな灌木の中を1162mまでの下りである。ロープが張られた急な坂を下りれば「しゃくなげ平」見晴らしもよく、前方に目指す三角山、その奥に乳頭山、左側の秋田駒ヶ岳方面はガスがかかっているが、右側の八幡平、三ツ石方面はよく晴れている。さらに右へ転じると岩手山。頂上付近はガスがかかっているが西斜面には新雪がうっすらと確認された。さらに下るとブナも大きくなり射光を透したブナ黄葉は今一番の見ごろである。下りが終わるころ「休みの木」と名づけられたブナの大木があり周りも休めるように整備されている。ここで大休止。


三角山にて、後方の原っぱは千沼ヶ原
 これから最後の登りである。急な坂にはロープが張られていたが、思ったより乾いていて歩きやすい。潅木となり見通し良くなるとまもなく1418mの頂上である。頂上には10人ほどが風を避けて昼食中である。草黄葉に包まれた千沼ヶ原を眺め、記念写真を撮って這い松の陰に陣を取り昼食とする。

 風の当たらないところは暖かく昼寝でもしたい気分であるが、夜の楽しみもあるので腹いっぱいになったところで下山開始。帰りは下りも登りも楽に感じた。ゴンドラ山頂駅付近には家族ずれでにぎわっていたが、日が陰ると急に寒く感じる。冬が足早に駆けてきていることが感じられるようでした。  森 記

コース・タイム:ゴンドラ9:30−−山頂駅9:50・・高倉山10:10・・しゃくなげ平10:30・・休みの木10:55・・三角山11:50 (昼食)12:40発・・休みの木13:10・・高倉山14:05・・ゴンドラ山頂駅14:30(ゴンドラ往復1500円)

H19.6.10

      駒頭山 (939.98m:岩手県花巻市下沢)

 岩手県花巻地方に毒ヶ森山塊と言う気になる山域がある。標高は1000mを越えず登山としての魅力が薄いが、ブナの宝庫で自然が豊かな賢治ワールドの森が広がっているという。今回はそんな山域でもっともポピュラーと思われる駒頭山を出羽沢林道を利用して登ることにした。しかし熊に注意が必要とのことで一人で登ることに躊躇したが、日曜日なら誰か登っているだろうと信じて出かけた。


左上〜右回り:マイヅルソウ、イワカガミ、熊の糞、タニウツギ
 天気予報は終日小雨の予報だったが早朝の大東町は薄日が射している。出かけるときは小雨模様に変わったが、雨のときは温泉でのんびりすれば良いと考えて出発。鉛温泉から先は初めての道だったが豊沢ダムには簡単に到着。そのまま湖畔縁を走り野外活動センターを目指す。ネットで調べて「この先を左折して出羽沢林道に入る」とあり、その通りに林道入口を見出してダート道に入り込む。


ナメトコ山方面

登山口
 林道を走行すると所々で落石注意の看板と落石がセットで出てくるが、走行に問題となるような酷い崩壊はない。山菜取りの車が数台路肩に置かれていた。大変成沢林道分岐まではそれなりに路面も良く安定して走れるが、駒頭山へ向かう3.6Kmは悪路だった。落石は到る所に転がっているし、180度折り返す地点から先は両脇からせり出した草木と生い茂った路面でブラッシングされ、まるで洗車機の中を走行しているようだ。

 「これは大変なところに来たぞ」と言うのが第一印象だが、もう引き返せないので林道終点まで突き進む。蕗と雑草で覆われた林道終点の登山口に到着してほっと一息だが、期待した登山者は居ない。不安を感じながらも山の支度をしていると、天候も回復基調で太陽が眩しく輝きだした。

 不安を覚えつつ一人で熊が居ると思われる深山に入り込むことにする。ホイッスルを出してピュルルー、ピュルルーと頻繁に鳴らしながら歩き出す。登山道はよく踏まれていて快適だし、ブナが生い茂って緑が濃く申し分ない山の環境だ。しかし一人で登っていること、熊と遭遇したらどうしようかと思うと心細くてたまらない。


ブナ林につづく登山道

駒頭山方面
 足元にはマイヅルソウやツクバネソウが可憐だが、ゆっくり花を観賞するゆとりが無い。登山道脇の藪を見るとネマガリダケが顔を出している。これは熊の好物だ。つまりここには熊の好物がいっぱいあるということだ。腹いっぱい食べて満腹状態であれば襲われる事は無いが、出会い頭に遭遇しないとも限らないので、笛を吹くにも力が入る。

 歩き出して35分、尾根筋に出て暫く登ったところでまず吐きたてのペレットを発見、その先にはホカホカ状態の糞を発見。未消化のネマガリダケも混ざっている。とにかく今しがたこの辺に熊がいたことは確実だ。不安が的中して、もう山登りの気分は完全に消え失せてしまった。そのまま引き返そうかと迷ったが、とにかく山の雰囲気が見えるところまで行こうと気を取り直して慎重に進む。

 痩せ尾根まで登ると展望が良くなりもう少しで出羽沢分岐という所まで来て、これから進むべき山の姿をカメラに収める。その時、下のほうで「グルルーン」という低い喉を鳴らすような音が聞こえた。空耳だったかもしれないが恐怖が先に来て、もうこれ以上前に進むことはできなくなった。ホイッスルを夢中で鳴らすがハルゼミに消されて、遠くまで届かない。


松倉山方面
 ビビリながら前方を注意しつつ慎重に下山開始。山歩きは楽しくなければと思うが、今回は恐怖に引きつっての登山で全く楽しくない。「一人で登ると確実に熊と戦わなければならない恐怖感があるが、複数で登ると熊も逃げる確率が高くなるし、襲われる確立も人数比で低くなるから心強くなるのかな」など、勝手に確率論などを考えて気を紛らわしている。

 登山口近くになって夫婦連れに出会ってホッとしたが、再び登り返す気力も無く、二人に気をつけて登るよう話をして別れた。帰路、ナメトコ山を湖畔の淡島神社からダム湖越しに眺めた。痩せ尾根から見た駒頭山周辺の山も含め、目立ったピークはないが深い森が幾重にも連なっている毒ヶ森山塊は豊かな自然の残る山域だと感じるが、私には少し毒が強すぎたようだ。次回登るチャンスはあっても一人で登るのはやめようと思う。心身ともに疲れた山になってしまった。  沖 記

コースタイム:摺沢6:45==(84Km)==8:20出羽沢林道入口(野外活動センター)==(1.7Km)==白沢林道分==(2.6Km)==大変成沢林道分岐==(3.7Km)==9:00駒頭山登山口9:10---9:46熊の糞---10:15痩せ尾根10:20---11:05駒頭山登山口11:25==(8.0Km)==12:00野外活動センター==(84Km)==14:00摺沢


H19.5.3

     羽山 (599.89m:岩手県北上市)


シラネアオイ
 岩手の里山を探していると、イワウチワやキクザキイチゲ、スハマソウ、カタクリなどが咲く山として花巻地方や北上地方にも結構面白そうな山があることを知り、手始めに北上にある一人でも安心して登れそうな羽山にトライすることにした。春山に一人で登ることで一番心配なのは熊との遭遇であるが、里山に近く山が小さければその確立はかなり低くなり不安なく登れそうだ。


イワウチワ

ニリンソウ
 羽山登山口へはR107を西に進み、石羽根ダムを和賀橋で越すと左に岩沢駅の表示に従い、岩沢駅へと向かう。駅手前に羽山登山口の標識があるが、駅でトイレを借りてから登山口に向かう。羽山登山口の標識を無視してちょっと裏道を入って高速道路を越えたところに水道施設と赤い鳥居がある登山口になるので、そこまで車を進める。今回は家内と一緒の登山で連休中に色々と所用があり、自宅を出たのがすっかり遅くなってしまった。でも事前に登山口を確認していたので簡単にニリンソウの咲く目的地の駐車場へ到着し、暖かい気温の中を随分遅い時間に登山を開始する。


羽山全景

登山口
 登山口は水道施設の手前から新道が尾根に向かってジグザグの急登が、虎ロープを伸ばしている。鳥居を潜って沢の左岸から同じ新道が尾根上部で合流する形で歩きやすく整備されている。もう一つ沢の右岸に祠の脇を通って旧道が延びている。山そのものは登山口で標高200m、山頂が600mであり標高差400mを登るだけで、一気に登れば一時間程度の山である。

 私たちは水道施設手前から尾根に取り付くルートで山に取り付いたが、その斜面で早速カタクリとスミレ、キクザキイチゲに迎えられた。イワウチワの花を期待して登山開始したが出迎えてくれたのは思いもよらぬシラネアオイの花だった。登り始めて5分としないうちに、高山植物のイメージが強いシラネアオイが次々と出迎えてくれてはもう嬉しくてたまらない。しかもブナの芽吹きが頭上で始まりだして快い環境が整い、これだから山はやめられないと言う印象だ。標高350m付近で山頂が見える尾根上に出る。ここで一本立ててコブシが咲き、谷間に残雪が残る羽山の姿を眺める。足元にはこの辺りからイワウチワが咲き残っており、カタクリの花も目立ってくる。マイズルソウが若葉を出してイワウチワと勢力を入れ替わろうとしている。


山頂にて沖御夫妻

石羽根ダム方面を望む
 急坂の連続する登山道を登るが道はしっかりと踏まれていて、迷う心配はない。おまけに道の両側にはイワウチワやカタクリが一面に咲いていて、カメラを構えて構図を考えたりして中々前に進まない。傾斜がやや緩くなるともう山頂で、山頂部は北側が刈られて石羽根ダムが良く見える。その向こうには月山も見える。南の展望はブナの樹林越しになり、今日は霞んで視界はなく焼石連峰は白く閉ざされているだけだった。

 山頂には湯殿山と書かれた石碑と祠があり、三等三角点が設置されている。もうひとつ隣り合わせに三角点標石があるが、その意味は分らない。不可解な思いをしながら写真だけ撮って遅い昼食をする。

 羽黒山に向かう尾根ルートの踏み跡は東方向に直ぐ分ったが、どこまで踏み跡があるのやら。下山は登りと同じルートを辿ったが、山頂から少し下がったところで踏み跡が真っ直ぐ谷に向かうルートを見つけた。多分このルートが旧道にあたるのだろう。谷にまだ残雪があり傾斜も急だったことから、安全第一で新道を戻ることにする。

 下山時に少しだけコシアブラの新芽を頂戴し、山の味も堪能させてもらった。登山口に戻り旧道を少し歩いてみたが、祠の裏にはシラネアオイが沢山咲いていた。この地域は関東では簡単に見ることの出来ない花々がごく自然に見られて、これからも精力的に歩き回りたいと思う。 沖 記

コースタイム:摺沢10:45==(約80Km)==12:15羽山登山口(岩沢)12:35---13:10標高350m地点13:20---13:45羽山山頂(599.9m:昼食)14:15---15:00羽山登山口15:30===17:15摺沢

室根山 折壁ルート

天候は晴れからガスに変わり展望はなく残念。積雪は50〜80cm程度でした。

H18.2.12



室根山遠望

神社下の鳥居
 室根山は車道が山頂まで通じていて登山の対象になりにくいが、富士山のように何処から見てもそれと識別でき、県南では目立った山である。冬場は車道が何処まで通じているか分からなかったため、行ける処まで車を走らせたら年中無休の室根山荘まで除雪していて、そこで登山口を教わり、少し戻った室根山頂へ向かう車道との分岐に車を止めて、そこから登山開始することにした。

 通常はもっと下にある蟻塚公園駐車場を起点としてそこから車道を2回横切るような形で直登するように登山道(参道)が付けられている。今回駐車した三叉路は最短ルートになり、そこから直登する登山道に合流するところまで雪深い車道を歩くことになる。

 歩き始めてまもなく車道に子供のカモシカとはち合わせになった。暫く見つめ合ったが、向こうの方から先に移動したため、私はそのまま車道を進んでいく。ほどなく登山道とクロスするところに到着。ここが2番目に車道を横切るポイントにあたり、そこから鳥居を潜って沢山の踏み跡が残った参道を真っ直ぐ登っていく。


迷子のカモシカ?

山頂付近の電波塔群

山頂の沖氏
 雪山の感触を楽しみながら出来るだけ汗をかかないようゆっくりペースで急な登りに高度を稼いでいく。8合目にあたるところに鬱そうとした杉木立に室根神社が鎮座していた。この室根神社は「・・・紀州・牟婁郡本宮村から熊野神勧請を元正天皇に願い出て、紀州から船団を組んで5ケ月を経て宮城県本吉郡唐桑町の鯖立(しびたて)に到着、舞根神社(瀬織津姫神社)を仮宮とし、のちに神託により現・室根山に勧請されたという。この勧請以来室根山は「牟婁峯(むろね)山」となり、安元元年(1175年)に「室根山」と改めたといわれている。・・・」とあり、私の故郷である和歌山県と密接な関係がある。

 本宮と新宮の2社ある右側(本宮)の横から登山道があるようで、踏み跡はそこから山頂に向かっていた。車道を横切り東屋の脇を通って山頂へと続く踏み跡に沿って無人の山頂に到着。登り始めは青空が広がっていたが、山頂に着く頃にはガスって来て視界もおぼつかなくなってくる。一等三角点をカメラにおさめ、セルフで自分自身を写してみる。樹氷は珊瑚のように綺麗だが、光がないので発色が冴えない。スノーシューは浮力十分で山頂部の積雪に踏み抜くことはなく、楽しく散策できる。もっと晴れて視界が有ればあちこち動き回りたかったが、ガスって来たため早々に山頂を辞して東屋付近で昼食をとる。

 下山時はスノーシューを外したが、山頂の散策以外は登りでも坪足で十分だった。下山時も室根神社からちょっと下がったところで、往路で遭遇したと思われる子供のカモシカとまたご対面をしてしまった。折壁駅付近の踏切から鳥居越しに見る室根山は一幅の絵になり、そこからほぼ真っ直ぐに山頂に向かって参道が付けられている。その途中にある蟻塚公園から登るのが一般ルートと言える。室根山はツツジとヤマユリの時期だけでなく、この時期は手頃な冬山入門の山としてこれからもお世話になりたいと思う。 沖 記

コースタイム:摺沢9:30====10:00室根山荘10:10===10:15三叉路(駐車)10:25---10:45鳥居---11:30室根神社11:35---11:55室根山山頂(895.4m:昼食)12:40---13:25駐車場13:35==(21Km)==14:00摺沢


H19.1.8

    種山ヶ原(物見山)(870.6m:岩手県気仙郡住田町)


物見山山頂

残丘

雪化粧
 今年の冬は雪不足でスキー場は悲鳴、ゴルフ場はホクホクという状況が続いているが、1月6日から天候が荒れてやっと少し雪模様になってきた。成人の日の今日は荒れ模様の空が少し落ち着きだしたので、遅めの出発で種山に遊ぶことにした。種山は宮沢賢治の好んだ地域で岩手山、早池峰山そしてこの種山を賢治三山と位置づけているとのことで、風の又三郎をモチーフした銅像が山頂近くの奥州市(江刺市)種山高原交流施設に建っている。そして宮沢賢治の作品のいくつかが種山を賢治ワールドの世界に誘ってくれる。立石や道の駅・種山ヶ原には賢治の歌碑がある。


新雪のトレース
 遊林ランド駐車場は殆んど積雪は無く、一人で支度して新雪に繰り出す。念のためにスノーシューを持参するが、歩き始めは積雪10cm程度で側溝が見えている。長靴だけで苦も無く登っていけるので楽だが、嵐の後だけに小枝が登山道に随分落ちている。汚れのない白銀の世界が嬉しくて、ついオーバーペースになってしまう。動物の足跡が沢山あり、登山道にも痕跡を多く残しているが、面白いことに登山道をジグザグに歩いていて、自分は真ん中を歩いているのと対照的だ。途中の監視小屋も殆んど積雪は無く、余りの少なさに思わずカメラを出して記録に残す。その後は真っ直ぐに伸びた唐松林の緩やかな登りを一直線に、しかも歩幅を変えることなく前方を見据えて進む。帰路に自分のトレースを確認したが、一定した歩幅で綺麗な歩行をしていたと自画自賛する。


唐松林
 樹林帯を抜けると冷たい風の吹きっ晒しになることを覚悟していたが、意外と天候が安定していてガスに閉ざされているだけであった。小潅木には海老の尻尾が付着していて珊瑚のような美しさを見せてくれる。種山のシンボルのような残丘と霧氷をセットで写真にし、山頂に向かう。山頂部も殆んど積雪は無く、一等三角点を記念撮影して早々に下山にとりかかる。この三角点、インターネットで調べると現在「低下高上処置」を実施中との事、どうも傾斜していて基準点としての役目を果たしていないとの事である。

 下山に差し掛かると今まで閉ざされていた視界に変化が生じ、ガスが晴れてきて太陽が顔を出すまでに回復してきた。でもまだ雲の動きが早くて黒雲が低く上空を支配していたので、下りながら晴れた時点でカメラを出すことにした。光が射すと白銀の世界がいっそう際立つが、そんな景色を時々垣間見ることができてラッキーであった。今日は誰とも会わず一人だけの登山だったが、心地よい山歩きを満喫できた。下山後、遊林ランド檜風呂で山の汗を流しすっきりした気分で帰宅する。 沖 記

コースタイム:摺沢10:00=(32Km)=10:50種山登山口(遊林ランド)11:00-12:00種山(870.6m)山頂12:10-12:55遊林ランド(入浴@400円)14:10==15:00摺沢


H18.12.24

    矢越山 (519.55m:岩手県一関市室根町矢越)


麓から矢越山
 久しぶりの山であり、足慣らし程度の軽いコースを探して旧室根村の矢越山を一人でのんびり歩くことにした。ところが前日から天候が怪しくなり、24日の朝は白銀の世界が広がり、仕方なくゆっくり支度して遅い出発を心がける。それでも裏道は路面が白くなっていて、安全運転を心がけながらの走行になった。


登山口

山頂直下

矢越山山頂
 摺沢から僅か20Kmで目的地に到着する近場の山だが、標高も低く今まで登山対象ではなかったが前述の理由により登ってみようと思い、事前調査を行う。その結果、林道を利用すると矢越神社直下まで車で行けて、登りは30分程度とある。これではつまらないので地図上の標高222m地点の由緒ある登山口から登ることにする。

 県道18号線の千厩への分岐に案内板があり、登山ルートの概要が理解しやすく描かれている。その案内板から僅かに戻ったところの分岐から入ると、石の鳥居と矢越神社、羽山神社の2つの石碑が建つ登山口に到着。ここにも矢越山登山口の標識がある。駐車場はその先にあるように標識で示されているが、見当たらないので手前の広くなった路肩に駐車し、登山を開始する。

 登り始めると直ぐに民家の人から「ご苦労様」と声をかけられ気分が良い。要所要所に標識があり昔から歩かれた参詣道である事が広い道と所々石畳になっていることより理解できる。心配された雪も登山道をうっすら染める程度で、長靴で歩くには丁度良い。


切り株のオブジェ
 杉の切株を利用して旨く彫刻したオブジェがあり感心して記念写真とする。この辺は林業が盛んなようで、昔からの参詣道に植えられた太くなった杉を切り、20年ぐらい経た若木を残して育てている。こんな営みが矢越神社の上のほうまで行われていた。矢越神社直下の林道には「山頂まで30分」の標識と案内板があり、案内板には矢越山の由来と山頂にある羽山神社の由来が書かれてある。それによると「矢越山は昔、釘山と呼ばれていたが、源義家が戦勝祈願して射た矢がこの山を越えたことから矢越山と呼ばれるようになったこと。羽山神社は慈覚大師が村人の病死をなげき薬師如来を勧進、明治維後羽山神社と改める」とある。

 石の鳥居は登山口、最初の林道手前、矢越神社手前、それから矢越神社上部の尾根上に出たところの4箇所に建てられており、信仰が厚かったことを感じさせられる。最後の鳥居を潜ってからはツツジが登山道の両側を覆うようになり、雪が付着して珊瑚のような美しさを見せてくれる。


大森山遠望

室根山
 やがて大岩が出てくるともう山頂で、立派な銅葺きの羽山神社が建っていた。その左手前に二等三角点が目立たないように鎮座していた。大岩から祠が正面になり、写真を撮る絶好の展望岩だが、今日は雪が付着して注意を要する。南にはツツジが美しい大森山と徳仙丈山が重なって見える。また祠の後ろ側に室根山が均整のとれた美しい姿を見せてくれる。その左に阿原山や蓬莱山が確認できる。右側には氷上山辺りまで見渡せる。東側は気仙沼から太平洋が望め、海の見える山は違う雰囲気の景色を味わうことができる。この時期、奥羽山脈は雪雲に閉ざされていて、やはり見えなかった。

 下山は早く、矢越神社手前で「八人ばらし」という大きな岩を寄り道して見てきた。ここも案内板があり「むかし数人が雨宿りしてその名が付いた」とある。久しぶりの山を満喫し、帰路ローカル色の濃い「たまご湯」のヌメッとした柔らかいお湯に浸った。沸かし湯であるが地元の熱意が伝わる結構なお湯であった。 沖 記

コースタイム:摺沢10:15==(千厩奥玉経由:約20Km)==10:50室根沼田登山口10:55---11:17矢越神社11:18---11:33矢越山山頂(519.6m)11:40---12:15室根沼田登山口12:20===(たまご湯@500円)===13:30摺沢

H18.10.29

   東根山(紫波町)


木々に熊の爪あとを観察する参加者
 山の紅葉も終わりを告げているので、今日は川崎町民登山で里山である紫波町の東根山(標高928M)に行ってきました。4時45分目を覚ます、あたりはまだ暗いが洗顔朝食をとり一関出発。川崎町へ、総勢20名の参加との事。

 午前6時30分川崎町を市営バスで霧のなか一路北上。ラ・フランス温泉館の裏手が登山口。表示板の脇には熊に注意の表示有。先ずは杉林の杉の落ち葉のじゅうたん道を進む。50分ほどで一ノ平この辺から片側杉林、その反対が雑木林紅葉が見ごろ、でも林の中で展望は悪いが廻りの木々は紅葉していて観頃。二ノ平辺りよりぶなまじりの紅葉。


山頂にて
 1本杉からは紅葉も過ぎ木々は落葉し登山道は雑木の落ち葉のじゅうたん道。苦にもならない雨が降ったりそうかといえばあがり、合羽も着ないで歩くうち頂上展望台到着。360度の展望が出来るとの事だが今日はガスがかかり展望悪い。頂上はこれより十分ほどとのこと。折角着たのだから向かうこととする。頂上は見晴らしは悪いがこの頃より陽がちょっぴりさしてきたのでここで昼食とする。1時間ほど休憩し下山する。帰りはラ・フランス温泉館に浸り汗を流し帰路へ。 浅沼 記

コースタイム:登山口〜一ノ平〜二ノ平〜蛇石展望台〜頂上展望台〜頂上〜袖滝の清水〜登山口 8:14   9:05   9:23     10:00      10:20  10:37   12:40     13:45

写真1と2枚目 中腹の紅葉 3枚目 木々に熊の爪あとを観察する参加者 4枚目東根山頂


H18.10.28

   愛染山(1,228.47m:岩手県気仙郡住田町)


愛染山

登山口

不明瞭な道

山頂付近の祠
 先週の片羽山・雄岳(釜石市)に登ったことで、五葉山から見える近隣の山で残されたのが愛染山だけになっていたので、今回は紅葉ドライブをかねて出かけてみることにした。五葉山の北西に位置する愛染山は釜石市では五葉山とともに市民登山対象になっているようなので、箱根峠からしっかりした登山道があると信じて出かけた。愛染山周辺は鉄道ファンなら気になりそうな釜石線が微妙に入り組んでいるところで、上有住駅だけぽっかりトンネルの谷間にあり、気仙川の源流にも位置する山深いところである。その奥地から釜石に向けて狭い林道が通じており、住田町と釜石市の境界地点が箱根峠である。

 出発が遅れたので滝観洞の見学もできなかったが、住田町上有住は五葉山へのアスナロ荘を基点とした昔からの登山道が通じるところでもある。そして現在は釜石自動車道のトンネルの谷間にあたり、現在その工事で谷間も大きく変貌しているところである。紅葉が見頃になった箱根峠を越えると直ぐに谷側に狭い駐車スペースに導くように細いわき道がある。そこに数台駐車できるようになっていて、後続車が来ても駐車できるように少し奥の方に停めて身支度を整える。箱根峠には愛染山入口と書かれた標柱があるが、目立たないので見逃してしまいそうだ。

 箱根峠から南へ愛染山を目指して登りを開始するが、開始早々に尾根沿いに直登するルートが藪気味に目立つが、右に注意して踏跡を拾うと整備された巻き道の登山道に続く。20分ほどで尾根ルートとの合流地点になり、山用の腕時計では標高800mの表示であった。この先にアスナロの若木が足元に目立ってくるが、同じように傾斜もまた一気に急になってくる。西側の谷向こうで「ガルルゥ―ン、キーン」と明らかに動物の声、誰もいない山で鹿の鳴き声だと思いつつも不安が先にたってくる。急ぎザックに入っているホイッスルを取り出して、ピーピー鳴らしてみる。また咳払いをしながら急斜面の上のほうを注意しつつ耳だけは細心の注意を払って神経を尖らせながら登る。生憎前日の雨で落ち葉がしけっていてガサゴソした音は発しない。先ほどの巻き道にはどんぐりのイガだけ沢山落ちていたことなど思い出し、不安を助長する。しかしいつまでもそんな状態で急斜面を登る余裕は無く、咳払いだけは続けているが滑りやすい苔むした細い道に段々声も小さくなっていく。

 1100mを越えた辺りから踏み跡は獣道と化して分りづらくなってくるが、ピンクの道しるべがあちこちにあるので適当に上を目指して進む。積雪期に取り付けているようで、踏み跡と一致しないマークも多々見受けられたが、気にすることなく上を目指していく。日光の中禅寺湖南の黒檜山から社山あたりの獣道のほうがもっと入り組んでいて大変だが、ここは上に向かえばよいので気が楽だ。ここまで登れば動物に怯えることはないと信じ、山頂へ向けてスパートをかける。


山頂

五葉山遠望
  尾根を登りきると小さな祠がある。上有住からの登山道との合流点だがそれらしい踏み跡は良く分らない。山名の愛染明王が祭られている祠かなと思いながら写真を撮ってみるが、シャクナゲで正面が見えない。山頂へは笹原とシャクナゲの道を、丁度五葉山の黒岩へ通じるミニチュア版のような平坦な尾根を進んでいく。程なく進むと殆んど埋まった三等三角点が笹の中に設置されている愛染山山頂に到着。意外と早く着いたのは、動物に怯えて自然と足が速くなったからだろうか。南側の五葉山が見える方向だけ刈り払いされて鯨の背のように大きい五葉山が真正面に横たわって見える。カメラで2回に分けて写さなければ山稜が水平にしか写らない。とにかくでかい。

 北側の透けた所から遠野地方の山々を眺めたが、六角牛山はガスに山頂を閉ざされていた。片羽山は雄岳・雌岳が重なって見える。雲が低く遠望は利かないので山岳展望は諦めて五葉山を見ながら食事とする。日向ぼっこをしながら食事をして、熊に神経を払いながら下山に取り掛かる。紅葉は700〜800m辺りが見頃であり、雑木林の登山道は相変わらず綺麗だった。何度も立ち止まって見栄えしそうなアングルでカメラに収めた。 

 無事下山して箱根峠から釜石市方向へ向かったが、狭いヘアピンカーブの続く県道は紅葉の真っ盛りで見事であった。先週も同じようなことを書いたが、今回はさらに美しい紅葉ドライブを楽しめた。紅葉越しに見る愛染山は見栄えのする山だった。箱根峠から国道まで丁度10Kmのドライブだが、対向車は僅か5台だけだった。 沖 記

コースタイム:摺沢8:25==(上有住経由:約75Km)==9:50箱根峠登山口10:00---11:20愛染山山頂(1,228.5m)11:50---13:00箱根峠登山口13:15==(釜石鉱山・遠野経由:約115Km)==15:45摺沢


H18.10.21

   片羽山・雄岳


片羽山 山容
 2006年の紅葉も一気に山から里に下りてきた。今時分は標高1000m以下の山の中腹が見頃であり、その辺りに雑木林が広がっていそうな近場の山を求めて調べてみた。すると片羽山の中腹はダケカンバの林になっており、隣り合わせの六角牛山でも山頂直下はずっと綺麗なダケカンバの林であったことから、残り紅葉を求めてまた遠野市に向かうことにした。


登山口

ブナの紅葉

見事な紅葉
 六角牛山登山口の糠ノ前分岐までは難なく過ぎ、その先の笛吹峠を越えると釜石市に入る。この峠一帯は丁度紅葉の見頃を迎えていて、ヘアピンカーブが連続する狭い県道は楽しいドライブを堪能できた。そしてガイドブックに示されていた通り青ノ木橋を渡るとすぐに右折する林道があり、その入り口に「片葉山登山口」の標柱と切割された斜面に朱書きの看板が設置されていた。標識のお陰で迷うことなく林道に入ることが出来たが、轍以外は結構草生していて車の腹を撫でる。気にすることなく0.9Km走ると立派な鳥居のある登山口に到着した。

 林道の路肩に数台駐車できるスペースがあり、宮城ナンバーの車が一台駐車してあった。木洩れ日が射す林道脇で身支度を整え、いよいよ登山を開始する。登山者カードを見ると先行者は少し前に出かけたようだ。 [片葉山]と書かれた立派な鳥居を潜り、落ち葉をガサゴソ踏みしめながら林道のような緩やかな作業道を登りだす。


山頂にて

釜石湾遠望
 雑木林の山は歩いていて心地よく、しかも前方を見通せるように空間が透けていて、木立が空気を黄色く染めているような淡い紅葉を醸し出している。林床のクマザサがひざ辺りまでしか伸びてないことから冬場の積雪量が40〜50cm程度だと想像できる。また登山道には1合目から順に8合目(9合目は見落としたか不明)まで、しかも10〜15分おきに設置され、刈り払いも行き届いている。

 高度が増すにつれて紅葉も徐々に綺麗になっていく。所々で立ち止まって紅葉の写真を撮るが、写真には表現できない微妙なグラデーションが、多彩な色彩を放っている。またブナの巨木に沢山の葉が黄土色に染めて天空を覆っている様は、オーラが降り注いでいるような荘厳な気持ちになる。日射しが余計に華やかさを増幅させてくれる。上空を仰ぎながら何度もカメラを構える。

 ダケカンバはほとんどの木で葉を落としていたが、わずかに葉を残した木々は黄色く染めて青空とマッチしている。4合目辺りまで目線の高さにカエデ類の色彩が綺麗だったが、7合目辺りまではブナやダケカンバの大きな木が頭上で秋を演出していた。そんな紅葉風景を愛でながら徐々に高度を稼いでいくが、段々と傾斜も増してきて頭上よりも足元を見ながら歩く度合いが増えてくる。ダケカンバ帯を抜け出して森林限界になると急に視界が開け、冷たい風を受けるようになると頂上は近い。

 先行した人が降りてくるのと出会い少し会話をしたが、山頂は風が強く長居出来ず早々に下山してきたとのことであった。アカミノイヌツゲとおぼしき木が増えて、その背丈が低くなったころ足元にコケモモが敷き詰められるようになるともう山頂が目の前だ。雄岳山頂直下に鳥居が見え奥宮が祀られている。まず最初に祠にお参りして、それから二等三角点をタッチして無事山頂に至ったことの儀式とする。

 山頂は先行者の話の通り冷たい風が吹きっさらしだが、360度の展望が得られ小さな羅針盤が山の方向を示していた。西正面に六角牛山が近くで大きい。その足元に笛吹峠の放牧場が目立つ。早池峰は山頂部がガスっていたがやはり大きい。手前に無粋な電力風車が林立して景観を損ねている。東に釜石湾方向を見るとやや左手の海に近いところでピラミッド型に抜き出た山が見える。羅針盤と照らし合わせて鯨山だと判明、既知の山であることに安心感を覚える。


早池峰山遠望
 南は五葉山が大きく横たわっているが、手前には登山道のない片羽山雌岳が連なっている。その奥に隠れるように愛染山の頂も確認できる。ひとしきり展望を楽しみ記念写真を撮ると山頂での儀式も終わり、昼食する気分にもなれず早々に下山する。下山時にダケカンバの林を見下ろすと、白い幹に赤い枝が広がっているが、すでに冬の装いで葉は皆無である。今の時期、標高おおよそ800mより下のほうが紅葉の見頃といえる。帰路笛吹峠から南へ舗装された牧場へ通じる道を唐松の落ち葉を踏みながら車を走らせ、片羽山が見えるところで写真を撮り、風を避けて車内で遅くなった昼食を済ます。その後、遠野に戻りトロン温泉で山の汗を流す。

 また遠野と釜石境界の高原地帯には「釜石広域風力発電事業」として平成16年12月より事業を開始した43基の風力発電機が稼動している。資料を見ると釜石市の和山牧場などに17基、遠野市琴畑牧場などに12基、大槌町新山牧場などに14基、合計43基とのことである。

 車所有者にとって気になることで、地域事情によるのだろうが遠野市内はガソリン代が随分安くセルフだったが126円(銀行カード支払い)であり、142円の一ノ関地区と随分値差がある。盛岡でも遠野並みの価格であることから、一ノ関地区が割高であると感じる。早期に改善して欲しいものだ。  沖 記

コースタイム:摺沢5:50==(約100Km)==8:05片羽山登山口8:15---9:10四合目9:15---10:20片羽山山頂(1313.2m)10:30---11:18四合目11:20---11:50片羽山登山口12:00===笛吹峠放牧場(昼食)==(たかむろ水光園:入浴@520円)==摺沢  (注意:登山口には片葉山とあるが、山頂には片羽山とある。本文は双方とも使用しましたが、ゼンリン地図では片羽山とあります。)

(989.6m)

H18.4.29


4月29日  晴れ

 一関ライオンズクラブの事業計画(今後の希望らしいが)で祭畤山に登山道と山頂に、東屋などを造り市民の憩いの場所を提供できないかとの企画の予備調査として現地踏査・ガイドを引き受けての山行ですが余りデーターがないので参考にして下さい。

 一関の伊藤神経内科宅に8時に集合し山行参加者を伊藤ドクターより紹介を受ける。少々年齢が高いことに不安を感じながらも予定の山の高さからしたら楽勝かとたかをくくり出発する。

  途中で食料調達し9時に祭畤スキー場健康の森リフト前に付く、パッキング準備していると健康の森職員が予定コース・到着時刻などを聞きに来たので、今日のルートを健康の森から見て3本ある稜線の中央よりの雪渓を直登する予定と下山予定時刻を13時30分ぐらいと話し、最近の祭畤山の情報を聞く。

 9時10分頃出発リフト終点まで15分、標識がないが登山道らしい道から登り始める。約15分行くと祭畤温泉との分岐らしい所に出る、その後は獣道らしい所を10分ほど行き沢を越えて残雪を直登開始する。やや斜面が急になり始めたところで、小規模の雪崩の跡(デブリ)があり左前方に小規模の雪庇が残っているため万が一のことも考え、右手稜線よりの雪渓にルートを取り直登して行く。

  予定ルートの中間ほどに来ると、傾斜がキツクなり始め同行者から雪渓登行に対しスリップの不安から稜線のブッシュ登行を提案される。その後は10分行き5分休みの状態となり予定時間を大幅に遅れ13時に山頂稜線に到着したのが、下山予定時間になるため携帯で連絡しようとするが出来ず。稜線で昼食を食べて山頂を三角点とGPSで確認にする。山頂より5mのブナの木に「祭畤山」のプレートあり、縄文時代の催事場が有るらしいと聞いていたので探すが残雪で確認できず。14時下山開始稜線からグリセードで行くと快適な下山コースだがスリップの不安からを感じ安全策を取り稜線のブッシュを下る。

 健康の森着15時30分「あと30分遅くなったら探しに行く予定だった」と話される。* 感想として残雪期以外は登りたくない山だ!! タケノコ取りは最高と思う!  吉家 記

タイム:健康の森(9:10)→リフト終点(9:25)→山頂稜線(13:10)→山頂(13:30)→健康の森(15:30)


鯨山 大槌町−山田町
2005.5.4

(610m)


オオバキスミレ

オオバクロモジ

鯨山山頂


 岩手県リアス海岸からピラミッドに頂点を持ち上げた標高610mの鯨山に家内と登ってきました。釜石から北に向かうと吉里吉里海岸と吉里吉里駅がありその先が目指す浪板海岸と浪板駅、その南側の小さな道路を山側に向かいアンテナ建設道路を利用して鯨山を目指す。

 途中不動の滝を車道下に垣間見て、鯨峠との分岐へ向かう。ここに数台駐車してあり、遅い出発組と早い登山者と入れ替わるように駐車スペースが出来たので、ためらい無くそこに駐車する。

 久しぶりに雪のない山に登り、足元にスミレのムラサキ、山吹の黄色、木苺の白、山ツツジの赤いつぼみとご機嫌だが、思いの外だらだらと車道歩きが長く、おまけに羽虫がまとわりついて閉口。またタラノメが気の毒なほど新芽を欠かれている。車道建設で日当たりが良くなった斜面にはタラノメがいつの間にか育っているが、ここも同様で、それを採取する人もまた多く芽が延びた木は一本もなかった。キケマン、ムラサキケマンを道路脇に見出してから暫くするとやっと車道歩きから解放されて雑木の中の登山道に入る。

 登山道脇にオオバキスミレ、オオバクロモジなどを見ながら高度を上げていくと8合目と称するビューポイントに到着。ここから浪板海岸、船越半島、ヒョッコリひょうたん島のモデルとされたタブの大島が眼下に見える。8合目から私鉄駅のような間隔に9合目があり、あっという間に610mの山頂に到着。細長く小さな山頂


鯨山からの展望

には二等三角点と一坪ほどのブロック小屋が建ち、その先に鳥居と鯨山神社がある。神社奥は断崖になっていて太いロープが下げられ、青年の家ルートからの最後の登りとなっている。この断崖からリアス海岸の展望が美しい。

 山頂で恒例のビールと遅い昼食をすまして、アンテナのある尾根沿いのルートを採る。ここにはヘリポートがあり、車道はここまで延びている。下山はこの車道を忠実に辿り、途中から分岐した山道ルートと合流して駐車スペースまで黙々と歩く。 沖 記

コースタイム:摺沢==3:00(120Km)==鯨山峠分岐(駐車)--0:45--車道分岐--0:30--鯨山山頂----0:15--アンテナ--0:45--鯨山峠分岐==3:00==摺沢


七時雨山

H18.4.29



七時雨山
 2006年度5月連休の初日、弘前の桜を見るべく家内と共に摺沢を出発。温泉通なら是非出かけてみたいランプの宿で有名な青荷温泉を予約し、そこへ行く途中の「ついで登山」ということで選んだのが今回の七時雨山。安代町から入るルートと西根町から入るルートがあり、東北自動車道を通勤割引利用にて水沢ICで乗り、西根ICで降りて田代平を目指す。

 西根町から国道を離れて北上すると白い双耳峰がランドマークのように目だった裾野を広げた姿で行く先を案内してくれる。路面に雪はなくバッケが柔らかい黄緑色をして沿道を彩っている。広く開けたところが田代平で、そこに赤い屋根の七時雨山荘がルートからちょっと入ったところにある。


岩手山方面遠望

山頂にて

七時雨山荘にて
 山荘で指定された芝生地に駐車して登山の支度をする。広く開けた牧場の先にゆったりと裾野を広げた七時雨山が「早くおいで」と言うように悠然と聳えている。家内は布製登山靴、私は万能防水登山靴を履いて標識に導かれて林道に入る。すぐにゲートがあり小さい川を渡るともう林道には雪が現れる。道端にはキクザキイチゲが白い色、青い色で咲いている。林道を避けて勝手に牧場に入り込んで歩く。まだ放牧が始まってないので柵が撤去されていたことや、糞が昨年のもので雪に洗われて匂いがないことなど、この時期ならではの良さもあり楽しい山歩きができる。

 小さな谷を越えて林道からいよいよ雪の残る牧場に入り、細く延びた夏道も途中途中で雪に消されている。広大な牧場をゆっくり少しずつ高度を上げていくと、牧場の終わりになりミズナラの林に入る。ここで一本立てて背後を振り返ると、パラグライダーで遊ぶ姿が道路を挟んだ向こう側にあった。

 林の中に入るともう完全に雪の中で、踏み跡を見失わないようにしながら尾根筋らしい方向を目指して登る。急勾配を過ぎて尾根に出ると六合目の標識があり、ここでやっと夏道が露出していた。尾根筋に沿った夏道とその東側(左側)に延びた雪のプロムナードが平行して、ほぼ八合目まで続いている。ただ夏道は所々でしか見えず、大半は雪上歩行を強いられる。

 八合目のピークから少し下がって登りきると九合目になり、ここで10名程度の団体が食事を楽しんでいた。山頂を目指す稜線上の所々に南側が開けて岩手山が秀麗な姿を見せる。一気に元気が出て山頂への足取りも軽くなる。岩手山は西に連綿と山並みが続くが、東は北上平野に裾野を大きく広げながら標高を下げ、南部片富士の名の通りの姿を確認できる。しかし悲しいかな山肌に無数の傷跡が痛々しい。

 一等三角点のある山頂は無雪期だと視界は良くないとのことだが、今の時期は南峰に行かなくても十分展望を楽しめる。南峰へは一投足だったが急斜面を下らなければならず、無理をせず3m低い北峰でお仕舞いにする。


キクザキイチゲ
 今日は晴れて霞んでいるが、それでも視界はまずまずで早池峰山がそこそこに識別できる。岩洞湖や姫神山が正面に見える。北側に目を向けると高い山は見出せないが、稲庭岳らしき山が目立つ。自分のいい加減な展望知識では断定できる自信はなく、同じ理由で森吉山と思しき山も西南西に見えた。展望図を作画して山に持参すると天候に恵まれないため、ゲンを担いで帰宅してからPCで確認するが、今回は写真もなく明確にできない。反省です。

 山頂部で風を避けて遅い昼食をする。最近はポットにお湯を入れて持参するだけで、コンロは持ち上げないで楽をしている。スープと食後のコーヒーができるので、昼食には十分役に立つ。今回はアルコール抜きのため、簡素な昼食になってしまった。 昼食を終えて下山に取り掛かる。下山は往路を戻るが、残雪期の下山は早い。足の遅い家内でも一時間で降りてしまった。  沖 記

コースタイム:摺沢8:00==(約140km)==10:40七時雨山荘登山口10:55---11:35牧場終点(三合目)11:40---12:30八合目12:35---13:00七時雨山頂(北峰1060m:昼食)13:40---14:40七時雨山荘登山口15:00===青荷温泉へ

陸前の霊峰

H11.12.19  参加者 森、阿部

コース
玉の湯荘脇 登山口
第二ピーク付近
小屋と山頂
広田湾

一関−陸前高田の大船渡線、竹駒駅まで大東町経由、車で約1:30。 
大船渡線竹駒駅近所の竹駒神社入り口の看板のところから入り、大きな鳥居をくぐり舗装道路を玉の湯荘まで進む 車で約20分。
登山コースは、大船渡側と陸前高田側に2つあり、高田の玉山高原側のコースをとる。
玉の湯荘下駐車場ー氷上山山頂 約1:30。

登山案内
山頂
五葉山
大船渡湾

 玉の湯荘下の登山者用駐車場に車をおき、舗装された道を玉の湯に向かうとカーブの所に登山口の案内版があり、まっすぐ雑木林に向かって進む。間もなく唐松林に入り、道は2つに分かれるが迷わず右手に進む。10分ほどで車道が現れ、ここまで車でくれば良かったと後悔しながら更に登りを進む。
 やがて唐松林から背の高い雑木林に変わると、最初の水場が現れて、小休止を取る。このあたりから足首ほどの残雪があり、やや急斜面に道は続くが、雑木の灌木の小枝の合間から稜線が見えだし、気も楽になる。
 尾根の第一ピークを過ぎると、右手に高田方面が見え隠れして平坦な道となり、快適に進む。更に小さなピークを通りツツジ林のなかを第三ピークへと進む。霊峰らしく小さな祠があり、視界が急に開け第三ピークに立つ。
 素晴らしい展望で、高田の町や広田湾が眼下に広がり、夢中にカメラをまわす。遥か南方には、金華山までも見渡せ絶景であった。ここから10分ほど下ると小屋やテントサイトが現れ、道は平坦になり山頂も左手奥の方に見える。水場も少し北側に下るとあるらしい。
 緩やかな登りを5分ほど行くと、右側に灌木の合間から広田半島や大船渡側が見えだし、心も弾む。そこから約5分で山頂の大きな祠に着き、裏に回ると狭い山頂が現れる。
 少し灌木が視界を妨げるが、360度の大パノラマが我々を魅了する。残念ながら、急に西の空に雪雲が現れ栗駒山までは見えなかったが、早池峰山や岩手山らしき山も霞んで見えた。この季節には、太平洋からのぼるご来光が間違いなく良いと思う。
 大船渡側から昇った女性登山者と談笑や写真を撮りあい、山頂をあとにする。先ほどの展望の利く岩場で昼食をとり、帰途につく。


参考

氷上山:   875m 低山ながら、天候がよいと岩手山、栗駒山、宮城の金華山も見える。
携帯電話: 稜線に出るとすべての携帯通話可。
注意:    冬季間鹿狩りが行われている。


石上山 遠野市

2006.9.16




遠野遠望

登山口

ツリフネソウ

奥宮
 2006年9月16日の天気予報は沖縄地方に接近している台風13号の影響で岩手県は曇りで夕方から雨とのこと。そのため早めに山を下りられる里山程度とすること、丁度祭りが始まった遠野に絡めることを条件に登るべき山を選ぶ。今年4月に六角牛山に登っており、石上山に登れば遠野三山の全てに登ることになる。そんな理由で石上山を選び、山の本やネットなどでコースの難易度などを調べてみる。すると意外と手強いと書かれていて、中でも山頂直下にある梯子は難場だとある。

 当日、大東町の朝方の気温は12℃と低く曇り空が広がり、低い山に登るには涼しくて丁度良い天気に恵まれた。摺沢のコンビニで食料を調達して、人首を経て遠野に至る。目指す石上山は遠野市街に入る手前、砂子沢川の谷あいから北北西に認められた。国道との分岐には登山口を示す標識があるが、ミラーでその所在が分かりにくい。地形からここを曲がると判断して、後で標識を見つけた。谷あいを北上すると、道路左に鳥居があり向かいには数台駐車可能な登山者専用の駐車場がある。里山登山では登山口入口が分かれば、ほぼ7割方登山成功といえる。登山口の標高は約450m、山頂部は1038m、標高差約600m弱であり、所要時間は2時間前後の数字上は誰でも登れる里山だ。また国道から見ても際立ったピークは無く、遠野の町並みから東に鎮座している六角牛山にくらべ目立たないなど、遠野三山に選ばれた理由が分からないような山だが、山岳信仰の山として岩場を巡るコースを歩くことでこの山の価値が分る。

 前置きはこれくらいにして鳥居を潜って真っ直ぐ伸びた農作業の緩やかな道を、朝露で靴やズボンの裾を濡らしながら登っていく。しばらく進むと「婆石」が出てくる。そこを過ぎて再び朽ちかけた鳥居を潜ると真っ直ぐな杉林の登山道に変わる。林床にはツリフネソウが可憐だ。少し汗ばむほど歩くと小沢があり苔むした丸太橋を渡ること数回、周辺の樹相が自然林に変わりサワグルミが沢に沿って育っているところで「水のみ場」が出てくる。その少し先に「馬止め」と書かれた標識と籠堂の朽ちかけたトタン屋根の小屋がある。なだらかな斜面はここまでで、この先はブナ林になり傾斜は一気に急になる。足元には小さなキノコも目に付くが頭上のブナはまだ緑が濃い。急傾斜で立ち止まる回数も増えてくる。


山頂にて

遠野祭り

鎖梯子の難所
 不意に目の前に「刀納めの岩」が行く先を塞いでいて、岩の下に鎖が左右の両ルートに下がっている。それをよじ登ると不意に「中之堂」と書かれた石上神社奥宮が岩棚に建立されている場所に出た。お堂の裏手に迂回路があるようだが、左に鎖梯子が行く手を圧倒している。緊張感を保ちながら鎖梯子に取り付く。この鎖場は靴先だけで登らなければならず軽登山靴では支え辛いが、できるだけ岩場と鎖の間隔を広げて足場を安定させながら登っていく。登りながら梯子を支えている支点は大丈夫だろうかと不安になるが、今は登ることに集中するだけだ。第一難関を無事突破して鎖場を越えていくと、今度は鉄梯子が行く手を阻んでいる。立派な鉄梯子は登りやすく、一気に高度を稼ぐ。足元を見ると遠野盆地が曇り空に霞んでいる。六角牛山の山頂はガスで閉ざされている。なかなかの高度感をもって眼下の砂子沢の谷が望める。

 この先にも鎖場はあり「兜岩」を過ぎると、ほどなく大きな岩があり、その岩を回り込むと石上山の山頂だった。「アンドロメダ」と名付けられた岩に標柱があり、陶器製の小さな社が設置されていた。一等三角点はここから南へ10分ほど稜線上の踏み跡を辿るそうだが、藪っぽく三角点だけを求める趣味も無いのでこの山頂で満足する。ここからの眺望は曇っているせいか期待の山岳展望は得られなかった。また樹木が茂っているため東側だけ透けているにすぎない。小型三脚でセルフ写真を撮り、早々に下山に向かう。やはりあの鎖場や梯子が気になり、山頂でゆっくりするという気分になれない。

 下山は慎重に足場を確認してゆっくりと確実に降りる。奥宮に到着すると、登山者一人が休憩しているのと出会った。今日最初に出会った登山者だ。いつものことだが栃木ナンバーの車にあれこれと質問が飛ぶ。ここから先にもう危険箇所はなくなり急坂で膝を痛めないよう下り、途中「不動岩」を経由するルートで「馬止め」に合流し、石上山登山を無事に終えて駐車場に戻る。その後、岩手県で2番目の高成分とかの天然ラドン温泉「踊鹿温泉天ノ湯」という隠れ名湯にて山の汗を流し、遠野祭りを駅周辺で見物してから帰ってきた。民話のふるさとらしく遠野祭りは観客より市民の参加者のほうが多いような結構な祭りであった。 沖 記

コースタイム:摺沢6:50==(約80km)==8:30石上山登山口8:40---9:20水飲み場9:25---10:03中之堂10:05---10:15石上山山頂(1038m)10:25---10:35中之堂10:45---11:45石上山登山口11:55==(踊鹿温泉:525円、遠野まつり見物)==摺沢

六角牛山  遠野郊外

H18.4.23

    六角牛山 


山麓より六角牛山

五葉山方面遠望

山頂の沖氏
 2006年4月23日 摺沢から陸前高田、住田を経て遠野へ向かう。今朝は住宅の草刈行事があり、それを終えてからの出発となった。遠野物語や民話のふるさととして親しまれ、早池峰山、石上山とともに遠野三山にも数えられている、ちょっと奇妙な曰くのあるような山名で気になっていた六角牛山に登る。


山頂直下にて(上左奥・早池峰山)

片羽山遠望
 糠ノ前にある六角牛神社から山道に入り峠登山口に駐車して、そこから山頂をピストンする計画で出かけた。糠ノ前までスムーズに走行でき、そこから約3kmの砂利道を雪を気にしながら走行する。峠登山口付近で路肩に雪が現れたが、走行に支障はなく10台は駐車可能な峠登山口に到着。一台だけ先行車がいた。

 登山口にある案内板は壊れていたが、尾根筋に付けられた林道が登山道になっていて雨量観測施設まで延びている。そこから登山道らしくなり緩やかな登りにピッチも早い。4合目に休石という大きな石のある場所に到着。ここから急傾斜が8合目の先まで続く。また雪は標高1100m辺りから登山道を覆うようになる。ダケカンバが目立ってくると山頂は近く、視界も開ける。廃小屋を過ぎると小さなピークになり、そこから5分で2等三角点のある山頂に着く。

 この山頂からは360度の大展望が得られる。まず目に付くのは五葉山の鯨の背のような大きな姿と、東に片羽山が指呼の間にあり登行欲をそそられる。北北西に早池峰山が群を抜いて大きく高く白い。また今日は視界がよくて岩手山が随分近くに見える。秋田駒ケ岳も真っ白く高い。そこから左に少し標高を下げて和賀山塊が連なり、焼石連峰が高く白い。焼石岳の高さが始まりだした奥にひときわ高く白い山が双眼鏡で確認できた。なんと鳥海山が見えているのだ。とにかく展望の山旅を満喫して大満足だ。これだから山はやめられない。

 山頂直下に六神石神社を祭る避難小屋風の赤い屋根の小屋があり、その陰で風を避けるようにして昼食をとる。久々にビールを飲んだが、展望を肴にすると格別にうまい。栗駒山がガスで見えなくなったのを潮時に、展望の山頂を辞して往路をそのまま下る。しかし気温が上がったために融雪が進んで、見え出した夏道に雪解け水が流れ出し、時々雪を踏み抜いて長靴を越えて雪が足の中に入り込む。それも僅かな区間だけで、あとは急斜面をゆっくり下り、登山口に50分かけて到着。  沖 記

コースタイム:摺沢8:30==(80km)==10:05六角牛山糠ノ前登山口10:15---11:35六角牛山山頂(1294.3m:昼食)12:30---13:20登山口13:30===摺沢