半田山 (863.12m:福島県伊達郡桑折町)


  H19.4.13


駐車場より半田山
 福島県と宮城県の県境に櫛の形をした半田山がある。福島県の山で最初に紹介されているこの山は、わざわざ出かけるには遠くて今まで登ったことは無かった。季節的には桃の産地、桑折町がピンクに染まる今の時期が一番だろうと思い、花を楽しみつつ気になっていた山も歩こうと計画した。

 一関を出るときは雨が本降りになって、このまま山に向かって行くべきか思案したが、栃木県は薄曇で雨の心配はないとの家内の電話、福島県まで下がるのであれば何とかなるだろうとの事で不安を抱えつつ高速道に入る。南下するに従い雨も小降りになって、仙台付近ではもうフロントガラスを濡らすようなこともなくなり、無理しても出かけて良かったかと少し安心して国見ICに向かう。


アヅマイチゲ

ショウジョバカマ
 国道4号線から半田山自然公園の標識を見つけて右折し、案内板に導かれて苦も無く目的地の半田山自然公園管理棟のある駐車場に無事到着する。桜の名所と言われており半田池の緑色の湖面に映える景色は絶景と説明されているが、今はまだ麓の桜や桃の花のような見頃ではなく蕾の状態である。駐車場には数台の車が駐車していたが、どうも清掃ボランティアの人達の車のようで登山者は居ないようだ。

 山の支度をして一人で登山を開始するが、気がかりな空は曇っているが雨が落ちてくるような空模様ではなさそうだ。とにかく歩き出せば途中で降られても合羽を着て歩くことが出来るが、出かける前に降られると気力が萎えてしまうので、まずは第一歩を踏み出せてほっとする。


マンサク

登山道
 キャンプ場の中の散歩道を「登山道」の指導標に導かれて歩き出すと、ショウジョウバカマが目に付く。またシラネアオイの保護地という看板を見ながら登っていく。と言う事はタイミングがよければここでシラネアオイが見られるということになる。程なく杉林の中に少し大きめの白い花が目立ったので、カタバミの花だろうと思って写真を撮る。後でよく見るとそんな葉っぱではなく、帰宅してから友人に送った写真よりアヅマイチゲだと教わる。

 杉の植林体験の林を抜けると林道に合流する。暫く林道を歩くと駐車場があり、東屋がある。杉林を歩いているときにパラパラと心配した雨が降り出したが、東屋で一呼吸していると静かになって雨もどうやら止んだようだ。念のために傘を取り出してザックのサイドポケットに入れて、稜線に沿ったハイキング道を登っていく。暫くは少し急斜面の登りが続くが、まもなく緩傾斜になり雑木の林をのんびりと歩く。

 暫く振りの山は足の筋肉も弱り、心肺機能も落ちているのがよく分る。不摂生な生活をしていたツケが表れたようだ。山頂付近は櫛の背のように緩やかで、呼吸を整えつつ山頂に至った。山頂には一等三角点が設置されており、かつて案内板が設置されていたと思われるタイル張りのモニュメントが意味不明の状態で目立っている。小さな石の祠が3つ、並んで急斜面の前方が開けた方向を向いて建てられている。山の無事を祈願し、記念写真をベンチに三脚を立ててセルフモードで写す。曇りで視界はなく展望を得られないため、早々にテルモスのお湯でラーメンを作って食事とする。


半田山山頂にて
 質素な昼食を済まして北側の駐車場を目指して周遊コースを採って下山にとりかかる。途中、幹が真ん中から割れた楢の木を見つけてカメラに収める。強烈な寒さで樹液が凍って割れたのだろうか、こんな姿になった樹を見るのは初めてだ。

 北駐車場に近づくと傾斜も緩くなりマンサクの黄色い花が目立つようになる。マンサクの黄色いリボンのような小さな花びらが可憐で、これもカメラに収める。北駐車場から管理棟に向かう途中、半田池の周辺でショウジョウバカマの群落に出会った。カタクリの群落は何度か見たがショウジョウバカマで林床が紫に染まるのを見るのは初めてだ。感動しながら足元に気をつけてその景色をカメラに記録する。

 半田沼周辺は桜には早かったがコブシが咲き出して、春に季節が変わりつつあることを教えてくれる。また残雪は殆んど消えており、登山道には全くなくて芽吹き前で緑も少ないが早春の山は楽しかった。下山後の桑折町一帯に広がる桃の桃源郷は見頃になっていて、その景色を堪能して春の山、花の季節を実感しつつ福島市の桃源郷・花見山へと向かった。 沖 記

コースタイム:摺沢7:00==(約180Km)==10:00半田山自然公園登山口(管理棟)10:10---10:45林道10:50---11:25半田山山頂(863.1m:昼食)11:50---12:50北駐車場---13:10管理棟13:30===14:00福島市花見山へ